登場人物:シャントット ルテテ
CP傾向:シャンルテ
制作時期:2008年梅雨
まさかの百合、まさかのタル。
ここまで妄想できたら逆に清々しい。
※死にネタですご注意!
「だめっ消えないでっ!」
薄れゆく光を追い掴むように少女の小さな腕が空を掻いた。
周囲には、タルタル族の遺体が無惨に転り、死の香りを漂わせていた。
倒れた少女は身を起こそうとするも、僅かにもがくだけで、光はみるみる小さくなって行く。
「だめ……よ、それは希望の光なの。ここを守らないと……みんなが…」
ガルレージュ要塞の隠し通路が見つかったという報が届いた時には、既に戦闘が始まっていた。
休息をとっていた駐屯部隊は不意を突かれて、一気に混戦に持ち込まれた。
ヤグード族の部隊だけではない、獣人血盟軍闇の王親衛隊の姿まで見えた。
完全に不利だ。
守ることより、生かすことを優先した白羊戦闘魔導団隊長のルテテは、幻術で光を呼び出して逃げ道を守った。
決して退く事はできない。
たとえ、こうやって地に墜ちることになったとしても……
隊専用のLSに問い掛けても、声が聞こえることはなかった。
文字通りの全滅。それでも、誰かに伝えなくては……
震える手を動かして、必死にひとつのパールを掴む。
取り出したのは、真っ白のシェルだった。
「応えて……お願い……」
辛うじて耳に当てて、ルテテは力を振り絞ってスニークとインビジを己にかけると、全身の力を抜いて目を瞑って祈った。
遥か遠くの異国の地で、その者は穏やかな山道を歩いていた。
この山を越えれば、雪原が見えてくるだろう。
国外追放されても、貴重な時間を無駄に費やすつもりはない。
お気に入りの頑張る、遠い祖国の為に、いつか必ず帰ると約束した地へ戻る前に、彼女は単身氷河へと向かっていた。
その金の髪のタルタルの少女は、ふと声を聞いて、足を止めて耳元に手をあてがった。
この声は……。
間違いない、別れ際に貰った、これまで数えるほどしか会話のないパールから
かすれるようなか細い呼び声が聞こえた。
「ルテテ、聞こえていてよ!何がありましたの!?」
ただ、酷く嫌な予感がした。
暫く、小さな息遣いが聞こえて、ようやく声が届いた。
「シャン…トット……ごめ…なさい……ガルレージュは、落ち…るわ…」
「!!!」
「隠し通路が……見つか…たの、全滅…よ」
「なん……ですって」
声が震えるなんて初めてのことだった。
「ここは、もうだめ。お願い……ウィンダスを…守って……ね」
「冗談は好まなくてよ、ルテテ!」
ルテテは、ゆっくりと目を開ける。
ただでさえ薄暗い要塞の通路が、更にぼやけて見えた。
「あなたの…声、最後に……聞けて嬉しいわ」
「ルテテッ!!!駄目よ、気を強く持ちなさい!
そんなところで死ぬなんてこの私が許しませんわ!」
怒っているだろう顔を思い浮かべて、ルテテは少しだけ笑う。
思い出しながら、重い右手で頭を探って、そこで初めてコサージュが散ってしまっていることに気がついた。
花びらを探そうと思うのに、それ以上身体が重くて動きそうになかった。
やっぱりあれはお守りだったのだ。
無くしたから……いけないのだ…。
ねぇ、シャントット。
……また会えたら、その……時は
もう一度お花を…………
ちょうだい ね?
「ルテ……!」
パァン。
声が途切れて、パールが壊れた。
聞こえるものは空を切る風の音のみで、もう声は聞こえない。
パールブロゥクン、それはマスターシェルを持つ者の死を表わすものだと、どこかで聞いた。
上手く思考が紡げなくなるなど、初めてのことだ。
理性が働かない……大きな魔力を抑えていたそれは、いとも容易く堰を切り、雷となって崖を砕いた。
熱風が吹き荒れて、雪を溶かし、僅かな植物は燃え尽きる。
「わたくし、ブチ切れましたわよ……」
崩れ行く岩は、少女を襲う前に木っ端微塵に四散して、風に舞って消えた。
うわぁ、来たよ死にネタすみません。
でもガルレージュ要塞が戦中の最後に、敵に隠し通路を発見されて
部隊全滅してるのは公式設定なんですよね。
ゲーム内で要塞担当はルテテの白羊戦闘魔導団ですから
最悪、白羊は全滅です。
く……暗い……。
でもあのシャントットが、ほわほわのほほんそうなルテテとラブラブだったら絶対かわいいと思うんだ。うん。
自己完結!
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