登場人物:リョーマ 幸村
CP傾向:リョ幸(ちょっぴし赤→幸)
制作時期:2009年春
リョーマは幸村を救える人やっちゅーはなしや
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
「やぁ、ボウヤじゃないか、お久し振り」
声を掛けられて顔を上げると、そこに居たのは神の子と呼ばれたかつての対戦相手だった。
「あ……幸村さん」
「あれから元気にしていたかい?」
太陽の光を浴びて、柔らかく微笑んでいる彼は、対峙した時よりも随分と雰囲気が違う。
「それなりに」
「すぐにアメリカに行ってしまったと聞いたから、もう手合わせできないのかと思ってたよ。良かった!ここに居れば打てるかもしれないし、その時は宜しくな」
本当に嬉しそうに笑うものだから、何故か急にいたたまれなくなり、帽子の鍔を深く下げて短く答えた。
「……うぃっす」
あの戦いを思い返すと、様々なことを思い出す。
勿論、相手の幸村が病から復活してあの場に立って居たのも知っていた、しかしだからといって互いに遠慮することはしなかった。
本気でぶつかりあって、生まれて初めてテニスが辛いと感じ、その末にテニス本来の楽しさを改めて見い出したのだ。
越前リョーマの場合はそうだった。
しかし、対峙していた幸村はどうなのだろうか?
最後は……崩されたにも関わらず、静かに笑みを称えていた気がする――胴上げされてしっかり見えなかったが――だから楽しんでいたと信じたい。
それまでの彼は、きっと五感を失っている自分と同じくらいに苦しそうだったから尚更。
今は、どうなのだろうか?
テニスは楽しいのだろうか?
「もう、いいんスか?」
「……何が?」
思っただけなのに、言葉が口から出ていた。
「しんどそう、だったじゃん」
「決勝の時?ちゃんと病気は治ってたよ、だから病気のせいで負けたんじゃ……」
「違うよ、身体でなくて心」
「!!!」
地雷だったかな?
動きを止めて絶句する彼をチラリと見上げれば、予想通りの驚いた顔が見えた。
パチクリ、と瞬きをすると、ふわりと身体の力を抜いて笑みを取り戻す。
「フフ、適わないな。でも、もう大丈夫だよ。
次はもっといい試合ができると思うから、楽しみにしておいで?」
こんな風に笑うんだ……?
いつもピリッとしてないで、こうやって居れば神の子さんも可愛いのに。
……。
あれ?
可愛い?
誰が?
今度は思ったことを口に出さず、越前リョーマは相変わらずの無表情で
「た、楽しみにしてるっス」
少しうわずった声で返問した。
「くっそー!あんなに親しげに幸村部長と!!!」
「喋ってるだけじゃん…」
「絶対アイツにだけは負けないっスよ俺!!!」
「既に負けただろ……」
「違ぇよジャッカル、テニスじゃなくて恋だろ恋」
「は?鯉?」
短い、そして今日も落ちてない。
かなり前に書いたリョ幸が出てきたのでup。
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