登場人物:幸村 赤也
CP傾向:幸赤に見えそうな赤幸
制作時期:2007年10月
「愛してる?」10のお題。その4。
また逆に見えそうな赤幸です。懲りてねぇwそして短い。
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
俺はこんなにがっついてるのに、あの人は気がつけばいつもいない。
俺ってやっぱり愛されてないのかなぁ?
なんて寂しくなって、暮れかけの薄暗い空に息を吐き出した。
部誌を書いている幸村部長を待つためだ。
「赤也!ごめん、待たせたな!」
間もなくして、声だけ急いだ幸村がおもむろに部室から出て来た。
「ちょっとだけっス」
すぐに近寄るけれど、どうも気分が沈んでしまって話題が見つからない。
そんな赤也に気付いたのか、幸村はカギを掛け終えると、顔を覗き込んでくる。
「どうしたんだ?赤也」
答えるべきか悩む。
下手に言って嫌われたらどうしようとか、どうしても考えてしまう。
「赤也、言わないと分からないよ?遠慮はするな」
珍しく、試合中を思わせるような強めの言い方に、逃げ道なしと判断した赤也は、顔を背けてテニスコートに目をやる。
「幸村部長は、なんで……」
「ん?」
「俺のこと好きって言ってくれないんスか?」
俺はいつも言うのに……部長は言わない。
嫉妬するところも一度も見たことがない。
この人はいつも自由で、恐ろしいくらい自然だ。
それが当然で付き合い始めたのだから、気にしないようにしていたのに最近は特に寂しい。
すぐに側を離れてしまって落ち着かない。
他の生徒や部員と仲良くされると、どうしても嫉妬してしまうのだ。
同時に、全く相手にされてないのかもしれないとも感じる。
「赤也は、言われないと寂しいかい?」
「寂しいというか、不安……になるっス」
「ふふ、可愛い。赤也は今時の子なんだな」
くしゃりと頭を撫でられて、にこりと笑いかけられる。
全然答えになってないんですけどっと見上げたら、部長は少し困ったように遠くを見た。
「あんまり、得意じゃないんだ。……その、愛してるとか、好きだとか、そういう言葉を使うの」
「照れっスか?」
「んー……」
幸村部長は少し首を傾けると、次にぱっとこちらを向いて抱き締めて来た。
「わっ!」
「こうやって伝える方が好きだな」
母が子を慈しむように、顔を擦り寄せられて胸が熱くなる。
「言葉が全てじゃないんだよ」
「でも、すぐどっかいっちゃうのは、やっぱ不安っス。幸村部長、嫉妬とかも全然してくんないし。俺だけ空回りしてんじゃないかって」
「そんなことはないよ、嫉妬はしないけど。……してほしい?」
無言で頷く。
それを空気で感じたのか、幸村がころころと声に出して笑った。
「俺は、たとえ赤也が俺を嫌いになったとしても好きでいる自信がある」
「そんなたとえありえねぇっス」
「だろ?だから愛されてる自信もあるし、愛してる自信もある。だから言わないだけだ」
「う……」
まさかそんな理由……反則っしょ!
俺が好きでも嫌いでも、部長は俺が好きってことで、でもだからこそ言葉にしてくれないなんて、なんて飴と鞭なんだ!
「でも幸村部長、博愛主義ですよね」
「そんな俺だから好きなんだろ?」
すごい自信……でもその通りだったりして、赤也はこくんと頷く。
「言葉に出すのは苦手だけれど、俺は赤也を大切に思ってる。だから、忘れるな、胸を張れ」
「幸村部長……」
――いつでも、ちゃんと見守っているから――
そんな幸村が好きで好きでたまらない赤也君でした。
うちの幸村は意味不明な自信ありまくりで嫉妬しません。
とんだ電波ちゃんです。
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