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ひとつのまとまり (跡部×日吉)

CP傾向:跡部×日吉

姉にもらったあとひよ。
関東大会の後のお話。

 







ざああああ。

 蛇口から流れ出る冷たい水道水。

 ざああああ。



 両手にすくっては何度も顔を洗って。
 日吉はさっきから、そんなことを数えきれないほど繰り返していた。何度も、何度も。


 関東大会が終わったあとのことだった。テニスコートに隣接する倉庫の裏側、部活や体育の授業用に手洗いの設置されたスペース。
 偶然とも必然とも言い難い。跡部は練習になかなか現れない日吉を、人にはそれとわからないようにさりげなく探しているところだったのだ。
 日吉は跡部が見ていることに気付く気配もなく、何度も何度も顔を洗っていた。
 そのまま、放って置けばよかったのだが、跡部らしくもなく見過ごせなかった。洗いすぎたのか真っ赤になった、顔と手を見てしまったからかもしれない。そして、なぜ日吉がそんな行動をしているのか理解できてしまうからこそだったのだろう。
 関東大会の結果を、ただ自分だけの責任だと感じ続けている。日吉の性格からそうなのではないかと跡部は考えていたが、どうやら予想通りのようだった。

 跡部はおもむろに、大股に日吉のそばへ歩み寄った。さすがに人の気配を感じて振り向いた日吉の顔に、隣りに置いてあったタオルをぶちこんで、そのまま抱きしめた。

「泣いてんのか」
「……泣いてませんよ」
 その声は震えてはいなかったがかすれていて、とても普通の状態ではなかった。跡部は少し腕の力を強めた。
「泣けよ、ここで」
「……」
 日吉は動かず、抗うでもなく無言のままだ。
「意地はってんじゃねえよ。テメェまだ13だろうが。溜め込むとロクなことにならねーぞ」
「……そう言う跡部さんは14でしょう」
 いいから泣け、と跡部は言い、顔を拭き終わった日吉からタオルを受け取る動作から流れるようにその手を取ると、ぐいと引き寄せてくちづけをした。

 瞬間。
 ガチ、と音がして。

「つ……」
 くちびるに走った痛み。思わず手をやれば、跡部の指先には赤いものがにじんだ。
 なぐさめるつもりだったが、さすがにその辺の少女たちなどとは違うのだろう。他になにか手立てはないかと考えを巡らせる跡部だったが、日吉は唇をかみしめたまま、跡部の胸に埋もれて声もなく泣き出したのだった。
 どうせなら声を出して泣けばいいものを、堪えるために息が詰まって時折苦しそうにむせかえるのが少し痛々しい。
「……泣けるだけでも上等だ」
 耳元で、本人にだけ聞こえるように言ってやり、背中を撫でてやった。
 シャツが涙と鼻水と、もしかしたら血で汚れるかもしれないと思ってはみたものの、結局のところ跡部にとって可愛い後輩であるところに違いないわけで、とても引きはがす気になれない跡部なのだった。





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 題目:泣くひよとなぐさめるべ様 でした。
 妹に捧ぐ(笑)ひよ難しい……
 日吉→跡部は「跡部さん」ってよんでほしい。  by




とのことで姉にもらった跡ひよでした。
うおお……跡部に慰めて貰う日吉萌える!!!!!
跡部様も慰めるとか得意じゃないので、いっぱいいっぱいんですよ。
うぁーかわいいー(*´v`*)

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