登場人物:幸村 赤也 存在だけ立海組
CP傾向:赤也×幸村 ハグするだけですが
制作時期:2007年6月
なんだかシリアスになってしまった
赤幸のなれそめ?話の最初。短い(´д`)
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
不覚にも、好きだと自覚したのは
幸村部長が倒れてしまった、その時だった。
力なく崩れ落ちてしまった部長に、駆け寄ることさえできなくて
ただ呆然と俺は、抱き起こされる幸村部長を見ていた。
まるで別世界の出来事を見ているように、世界が止まっていた。
俺は、自分で思っていたより強くはなかったらしい。
精密検査が終わり、医師の診断結果を受けたとき
これまで感じたことのないような絶望と恐怖を感じていた。
「幸村君、お友達が面会に来たみたいよ」
「え?」
「貴方のこと、部長って言っていたから部活のお友達かしら?」
虚勢を張って、泣くなんて無様なことだけはしなかったけれど
この涙腺がいつ切れるかなんて、わかったものじゃないほど衝撃を受けていたことは確かだ。
みんなの前では、絶対に泣きたくない。
たかが中学三年の俺だけど、でもそれでも王者立海の部長なのだ。
虚勢でいい、意地でいい、弱い姿なんて見せたくなかった。
「あの、すみません……面会謝絶ってことにしてもらえませんか?
今は、人に会う気分になれなくて……」
「あら、少し残念だけど。結果を……聞いたばかりだものね」
看護婦さんは、俺の意思を汲み取ってくれたのか、仕方が無いわ、と優しく頷くと
静かに病室の扉を閉めて行った。
夕日に向かって歩く、遠くに見える仲間の背中を、窓辺で見つめながら
俺は手を強く握った。
みんな、すまない……。
今は辛すぎてみんなに会えない。
けれど、いつか絶対に立ち上がって見せるから。
もう少しだけ時間をくれ。
熱いものが込み上げてきて、頬を濡らしてしまったものだから
俺は慌てて、顔を伏せて声を殺して泣いた。
今日は調子が悪いらしい。
だから、面会はできないといわれて俺達は来た道を戻ることになった。
幸村部長が倒れてしまって数日、活気が衰えてしまったテニス部も
今では真田副部長と柳先輩のおかげで徐々に元に戻りつつあった。
てっても幸村部長のいない寂しさは残っていたけれど。
俺達は、幸村部長がいなくとも無敗で勝ち進むっていうスローガンを立てて
その為に全力で努力していた。
俺だって、本当はがんばるとか柄じゃねーけど
目の前で崩れ落ちた幸村部長を思い返すと絶対負けられないと思う。
あの時に気づいちゃった気持ちは、自分では想像もつかなかった想いで
しかも、無くしかけて初めて気づくなんて、ほんとダッセェし
実際、何度も困惑した。
でも、俺、好きなんだよな幸村部長が。
今、どんな気持ちでいるかなんて想像もつかないし
元気でいるかとか、そういうことすごい気になったけど、面会謝絶。
正直、すごい残念だ。
会いたかった。
俺頑張ってるんですって言ったら、褒めてくれるかな?
なんて考えながら、去り往く病院を見上げ直したら
したら、丁度泣き崩れる幸村部長が目に入った。
え?
次の思考に入る前に、俺の体は引き返していた。
「おい、赤也、何処へ行く!」
「ちょっとロビーに忘れ物しちゃいましたんで、先帰っててください!」
引き止める柳先輩の声を振り切って、走って病院に戻った。
幸村部長が泣いてる。
一人で、辛そうな顔してた。
走ってるせいじゃなくって、動悸がした。
一度だけ、真田部長にくっついて行った、幸村部長の個室の場所を思い浮かべて
エレベーターなんて待ってられないから階段を2段飛ばしで駆け上がった。
「あ、ちょっと、君」
なんて、声がかかるがお構いなし。
実際会って、どうするとか、どうしたいとか全然考えてなかったけど
とにかく走った。
「幸村部長!!!!」
扉を勢い良く開けると同時に名前を呼んだ。
「赤也……?」
涙で震えた声と共に、両手で隠された顔が静かに上がる。
俺の大切な人、誰よりも強いと思っていた。
そんなあなたが、泣いている。
胸がドクンと痛んだ。
俺は駆け寄って、力いっぱい幸村部長を抱きしめた。
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短くてごめんなさい。
二人の関係を書いてみたくなって、最初のほうを書いてみました。
男前幸村大好きなんですが、病気を知ったあたりは
ちょっと中学生らしく弱気になってくれるといいなー……と。
実際弱ってたみたい(by学園祭)ですし
復活して雰囲気変わってるように見受けられましたしね!
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