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今日という最後の日 (幻水3 ユーバー×アルベルト)

登場人物:ユーバー、アルベルト、使い魔のレディちゃん

CP傾向:ユバアル

書いた年:2003年

EDの遺跡崩壊が時間軸です。
ユーバー側に付くのはまずいな、とか思ってる兄。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。



拍手[1回]






今日という最後の日







 儀式の地が轟音を上げて崩れだしたのが合図だった。


       真なる風の紋章の継承者、ルックが負けた。


 それを理解するには、何もかもが充分で、そして自身が読んだとおりの結果である。


 アルベルト・シルバーバーグは、未だに儀式の地に残っていた。
 ここで危険を冒すのは、自分が今すべきことではないと、重々承知している。
そしてこれは、失敗の感情だとも自覚もしていた。
 思わず、そんな自信に苦い笑いを零してしまって……改めて周囲に人が居ないことにほっとする。
こんな顔を見られてしまっては……困る。
 強い揺れが一時的に収まり、軽い震動のみになると、
アルベルトは後ろに佇んでいた命令待ちの使い魔を一瞥して、小さく命令を放つ。

「お前の主人の下へ連れて行け」

 使い魔のレディは、小さく頷くと同時に、黄色い亜空間を作り、共に揺れる地面へと消えた。








 そこは、少し広めに場所を取ってある、開けた広場だった。
欠けた遺跡の残骸、屠られた魔獣の屍、飛び散った血の跡。
激戦を物語る空間を見て、微かに焦りが生まれる。

――奴が負けるはずがない…例え負けたとしても、死ぬわけがないだろう?――と。



 古びた柱の影に、黒い物体を見つけて足早に駆け寄った。
予想道理にそれはユーバーで、あちこちから血を流して眠るように倒れている。
 金の髪に全身黒の服、戦いの跡があちこちに見られ、破れ、乱れていた。
かがんであちこちを調べてみるが、命に関わる深い傷はないようだ。
どうせ、こいつは人外であるのだから心配することもないのだが…?

 とりあえず、未だじくじくと血を流している左腕に、スカーフを巻き付けて止血する。
 医学というほどのものでもないが、傷口の処理の仕方くらいなら教わっていた。
後はどうすることもできずに、そっと頭を持ち上げて膝の上に乗せて座りこむ。
 また、遺跡が揺れ始めたが、ここはぐらぐらと小さく揺れるのみでさほど強くもなかった。


 ユーバーの顔は安らかと言えるほど穏やかに目を閉じたままでいて。
少しの間だけでいい、だからこのままで居たい……そんな気持ちが心の中でモヤモヤとうごめいていた。
 こんなところでこんなことをしている場合ではないのも分かっている。
 しかし、離れたくなかった。
そっと、血の気の失せた頬に触れると、その、目を開かない顔を見つめ続けた。





 一体、何時間…否、何分の時がたったのだろう?
それともたったの数秒なのかもしれない。
 アルベルトはハッと顔を上げると、周囲に気を張り巡らせる。
遠くで…――多分、儀式の中央祭壇で――…遺跡が倒壊する轟音が聞こえる。
 これ以上、ここに留まっておくのは無駄だと決断し、震動を与えないように頭を降ろして立ち上がる。
 そして、ポケットからクシャクシャの回復の札を取り出して、ユーバーの左手に握らせた。
ここで自分が回復して、起きられても困ると、そう思ったからだ。

「お前に、傍に居ろと言われれば、私はどうしていいのか分からない…」

 跪いて、髪を少し掻き上げて、血の滴る額に触れるだけの口付けをする。
まるで、それは何かの儀式のように……甘く儚い。

「軍師である私に、迷いは不要。あってはならぬもの」

 短く、呟くように言葉を紡ぐ、その言葉は自分に言い聞かせるものでもあるから。
もう、何も見まいと瞼を閉じて、
少し離れたところから、何処か心配そうに主人を眺める使い魔に最後の命令を送る。

「レディ、私をハルモニアまで送れ。
これが、最後の命令だ……終わればおまえは主人の元へ直ぐに戻れ、いいな」

 帰ってくるのは無言頷きと、愛情が沸いたのか、切なげに見つめる獣の瞳。
それをも振り払うように鋭く目で射抜くと、いつもの黄色い揺らぎが足元に生まれる。

「次は何処でどのように会うのだろうな。さようなら、ユーバー」

次会う時は、自分は老けていて、相手にもされないかもしれない。

次会う時、もしかすれば自分はもうこの世に居ないかもしれない。

 過酷な運命の神様は、自分に笑いかけることがあるだろうか?
そんな、軍師にはあらぬような、非現実的な事を思いめぐらせて、光に包まれて浮遊した。








 その、光が完全に消え去ったその時。
黒服の男の目が、ぱちりと開いた――男、ユーバーは辺りに目を馳せた後、
 左腕に撒かれたスカーフと札を見て、そして残された清潔な石けんの匂いを認識する。

「赤毛……さっさと遺跡から出れば良かったものを」

 クシャクシャになって、使えそうもない札をポケットにつっこみ、どこか嬉しそうに笑みを漏らす。

「これは……脈有り…か?」

 何が可笑しいのか、喉の奥でクツクツと声を上げてまた笑うと、
崩壊の道を辿る遺跡に向かって、のんびりと歩き出す。
この、札とスカーフを押しつけ返してやらねばと、目に宿る光は、狂気すらも称えていた。







ショボ…

雰囲気だけで成り立っている妄想駄文。

らくがきの付属小説らしいです。
色々と穴がありそうだ……ァイター!

乙女な兄は嫌なんですが……優しさは持っている兄でいてほしいな。
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