CP傾向:ハンス×アドレット
制作時期:2015年11月~
※ Twitterで一日一回やっていた、ハンアド+お題で140文字ショートノベルの11月分のログです。
※ 6巻ネタ大好きなので、当然のようにネタバレ出ます!ご注意!
※ あとがきに作品解説や妄想や補足といった+αがあります。
「ちっともわからん^^」というものは解説読むと書いてあるかもです。
『お腹いっぱい君をください』
初めて剣を交えた時の高揚感をまだ覚えている。
怖いと感じたのは本当に久々だった。
またあの時のように刃を交えたい。
ギリギリの命のやり取りをこの男としたい。
ああ、アイツが七人目であればいいのに。
そう願いながら、男は飢えた目で揺れる炎を見る。
「腹、減ったにゃあ」
『約束破り』
「もし俺が足枷になったらその時は躊躇わずに殺してくれ。どうせ死ぬならお前の手がいい」
「やだにゃ」
碌でもない願いが約束になる前に叩ききる。
「そのくらいの願いなら聞いてもらえると思ったんだがな」
「甘えるな、お前は地を這ってでも生きろ。いや、おらが生かしてやるだ」
「明日生きる意思を示すために、約束をするんだ」
そう言っていたのは遠い過去。
何があっても生を諦めないと約束したのに、悲しい微笑みを残して去った男はとうとう帰って来なかった。
あんな所で失くすなら、世界を滅ぼせばよかった。
この世界は恐ろしく平和なのに、まるで夢の墓場だ。
『身勝手な論理』
太陽が地におちて輝きを失った時、心の底でしめたと思ったのは間違いない。
あの輝きに焦がれてはいたが、光を失っても太陽は太陽だった。
あいつは必ず帰ってくるはずだ。
そして常闇を知った太陽はその存在に気づくだろう。
反撃の時は近い。
狼煙を上げよ、おらはここに在る。
『なんだって知ってた』
「小さい頃は何でも知ってるつもりでいた。
けどな、外の世界に出てわかったよ。
俺は井の中の蛙だったんだ」
「……つまり、毒茸かわかんねーわけだにゃ」
「わかるわけないだろ!食べてみろよハンス!
先人は食べて毒のあるなしを判別したんだぜ!」
「にゃにゃ!?絶対御免だべ!」
『どこまでも行くよ』
焔のような風が地を駆ける。
二人の男は踊るように凶魔を屠りながら前進していた。
景色がゆっくりと通り過ぎ、全神経が研ぎ澄まされているのが解る。
何も恐れることはない。
この男とならどこまでも行ける気がした。
だが、欲しいものはいつだって手に入らない。
それは知っている。
『恋、拾いました』
それはとつぜん いずこよりうまれました。
すこしずつはぐくまれ りっぱにせいちょうしたそれは ヒカリをえて花さきます。
ときはうつり 花が実となり そしてじゅくすころ
その実は くろい手にもぎとられ 地におとされました。
その実はころころと 谷をころがっていきます。
それをひろったのは 花にこがれていた 猫でした。
『ずるい人』
「まず聖者でもないのに強いだろ?あれは天賦の才ってやつだ。
それに加えて経験も豊富で頭がキレる。
落ち着きもあるし、感情に流されないけど良い奴なんだよな。
たまに変な悪戯を仕掛けてくるのが鬱陶しくて玉に瑕だが、頼れるし憎めないから困る。
……要約すると?色々ずるい」
『若いときには無茶をしとけ』
がら空きの背中に凶魔が飛びかかる。
寸のところで首を跳ねた。
助けが入ることを完全に読んでいたらしく当人が慌てた様子はない。
「無茶すんにゃ」
「お前が来てくれるってわかってたからな」
「おらが七人目ならどうするだよ」
「それに俺は死中に活を求めるくらいで丁度いいんだ」
『境界線の引き方』
そんなものは簡単だ。
まず感情を切り離して客観的にモノを見る。
そうして様々な物を秤にかければ自ずと答えとやるべき事は見えてくる。
今回もそうやってアイツを七人目にした。
これが正しいはずだ。何も間違っていない。
なのに何故だろうか、心の奥底に刺さった棘が抜けない。
『慕情』
接する時の優しい笑顔とやわらかな声。
その相手が離れる時に浮かべる少し淋しげな瞳。
そんな姿を見れば嫌でも解る。
あそこに入り込む隙などない。
経験上、愛などという感情は身を滅ぼす火種にしかならないというのに……何故だろう、眩しく輝くそれを羨む気持ちが確かにある。
『隣との距離』
「なぁ、ハンス」
隣にいる男に助言を求めようと見ていた地図から顔を上げる。
「っ!?」
だが不意に顔と顔がぶつかりそうになり身を引いた。
「わ、悪い。そんなに近くにいるとは思わなかったんだ」
「うんにゃ、構わねえだよ」
男が意図的にその位置にいたなどと、彼は知る由もない。
『期待した』
この男が側にいるなら何にも負けない気がした。
凶魔も魔神も不思議と怖くはない、そんな安心感があった。
知識はあるが実戦経験の浅い自分を理解し、期待に応えてくれる姿に強い信頼を覚えた。
もしそれを忘れなければ、今でも地に足をつけていられただろうか?
今は遠い夢想だった。
この男が側にいるなら何にも負けない気がした。
最も弱いからこそ巡らされる知能の高さには舌を巻いた。
背中を預け、作戦を聞くに足りる相手というのはそう多くはない。
いつかこの男を手に入れられたら……と夢想する。
それを忘れた矢先、空っぽの傀儡が腕に転がり込んできた。
『わかりやすいけれど、わかりにくい』
「大丈夫だ、問題ない。俺は地上最強だからな」
そう言った彼の瞳は少し不安に揺れていた。
その頭に手をのせて軽く掻き撫でる。
「な、何だよっ」
「にゃ~?地上最強という割に不安そうに見えたべよ」
「子供扱いするな。もう成人してるんだからな」
「難しいお年頃だにゃあ」
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