CP傾向:ハンス×アドレット
制作時期:2015年10月17日~31日
※ Twitterで一日一回やっていた、ハンアド+お題で140文字ショートノベルの半月分のログです。
※ 6巻ネタ大好きなので、当然のようにネタバレ出ます!ご注意!
※ あとがきに作品解説や妄想や補足といった+αがあります。
「何が言いたいのかさっぱりわからん^^」というものは解説読むと書いてあるかもです。
『君以上、僕未満。』(おめえ以上、おら未満)
「猫さんはあいつの事を買いかぶりすぎだよ」
「そうかにゃ?あいつは強えだよ。
武勇に勝る知略とはあいつみたいな事を言うだ。
下に見てると足元を掬われるにゃよ」
「むう、絶対チャモの方が強いのに」
「にゃはは、そうむくれるでねぇだ。まぁ、あいつもおらには勝てねえがにゃ」
※ボツネタ(お題を踏襲できなかった……)
「そんな面白くねえって顔するだにゃ」
「してない」
「それだけやれれば生きてくには困らねぇだよ」
「嬉しくない」
純粋に片手剣だけでの勝負。
ハンスにしてみれば戦力半減だが、それでもアドレットは敵わなかった。
言った通り十分だと思うが、若き戦士は不服らしい。
「困ったにゃあ」
『絶対絶命』
「くそっ離せ!」
「ほらほら、逃げないとここで終わりだべ、アドレット」
ひねられた腕も体重をかけられた体もびくとも動かない。
首に指をかけられ、終わりかと思ったその瞬間、額にキスが降りてきた。
「にゃはは、びっくりしたにゃか?」
思わず叫ぶ。
「そういう遊びはやめろ!」
『日常崩壊寸前』
日常なんてものはない。
魔神が復活してから常に非日常だ。
けれどこれは何だ?どういう状況だ?
ここから見えるものは俺に覆い被さったハンスのニヤついた顔だ。
肩を押すがビクともしない。
「男に興味はないんじゃなかったのか!?」
「残念だったなぁ、背に腹はかえられないにゃ」
『しゃらっぷ、きすみー!』
「そもそもなんで俺がお前に!」
「アドレット」
「お前だって別にこんな事は望んでないだろ!?」
「アドレット」
「不条理だ!理不尽だ!」
「アドレット」
「絶対罠だ!罠に決まってる!こんな事して喜ぶ奴なんているのか!?」
「アドレット……負けは負けだにゃ」
「ちくしょう!」
『最初からやり直したい』
「俺が村を滅ぼされた時に復讐なんて考えなければ、こんな事にはならなかったんだ」
戻ることのできない過去を妬ましそうに視ながら彼は呟く。
「うーん、それは困るだにゃあ」
彼が復讐を考えなければ、こうして自分と会うことはなかっただろう。
それでは嫌だとハンスは思った。
『最後の言葉』
「夢を見たんだ。俺が死ぬ替りに魔神も世界も救われる世界だった。
夢の中の俺はそれを受け入れて、やっと目的を果たせるんだって泣きながら笑ってやがった。
バカだよな。お前は泣いてくれてた。だからさ、俺は最後に言ったんだ」
その先を聞きたくなくて、背後から抱きしめた。
『手探りのキス』
さて弱った。目の前にはガチガチになった18歳の青年。
キスしていいかと迫ると意外にもOKが出たのだが、見ての通りだ。
顔を近づけるとギュッと目を瞑るのは可愛い。
よしそのままと更に近寄ると腕を捕まれ体が宙に浮いた。
見事な一本背負いだ。
ほろ酔い気分も一気に覚めた。
『君と僕の終末論』
六花の全滅。それは即ち人の世の終わりを意味している。
けれども世の人々は凶魔を恐れこそすれ勇者が負けるなどと考えた事はないだろう。
「愛が世界を救うって信じるにゃか?」
「当然だ、俺は仲間を守りきる、だから絶対に魔神は倒せる」
豪語する男を冷めたくハンスは見ていた。
『無理をするのは得意』
「痛みには慣れているんだ。この程度でへばってたら何もできないまま終わるからな」
まだ痛むであろう傷に顔を顰めながらも彼は笑う。
「概ね同意はしてやるにゃが、精神論は嫌いだべよ」
「我慢強いって言ってくれ……ん?」
腕を取って傷口を舐めてやると小さな悲鳴が耳に届いた。
『もしも、願いが叶うなら』
「あの日に遡る。俺が間違ってしまう前に、俺を殺す」
「ちょ、ちょっと待つだよ!せめて間違いを教えて正してやれにゃ、それだけで済むはずにゃよ」
「正しきれなかったら?伝えきれなかったら?」
「にゃにゃ、それでも駄目にゃ」
「じゃぁ、戦えるように、俺の心を返してくれ」
『なんて言ったの?』
「どうしたのじゃその頬」
先程まで腫れていなかったはずだ。
「にゃはは、出来心でアドレットをからかったらやられたにゃ」
「なんと言ったのじゃ?」
「うにゃ、背後から近寄って首舐めただけだべ?」
「そ、それは……信賞必罰じゃな」
「だにゃ」
モーラは癒やそうとした腕を下げた。
『きっと大丈夫』
「きっと、とか。おそらく、とか。不確かな言葉は嫌いなんだ」
「でも恐ろしく使い勝手がいいだにゃ。
おめえの『地上最強』も似たようなもんだべ?」
「おい、一緒にするなよ。そっちは真実だろうが!」
「うんにゃ~?あれ虚勢じゃなかったべか?」
「ぜ、全然違う。違うからな!」
『受け止めてくれるのはあなただけ』
視線と視線が交差し、一つ頷くだけで意図が伝わる。
それが外れたことはまだない。
会って間もないが互いの次の行動が手を取るようにわかる。
不思議な感覚だった。
「あいつは天才だからな、ちょっと腹立つ」
「アイツは洞察力がずば抜けてるんだべ」
これがそれぞれの言い分である。
『こんなにも愛されている』
愛が世界を救うのならば、愛がなければ世界は救われない。
つまりそういう事だ。
縋る手を握り返して、ふるえた背中をあやすように抱く。
堕ちた太陽はまた昇れるはずだ。こんな所で終わらせやしない。
愛が必要ならばくれてやる。
なあ、気づいているか?
お前はこんなにも――
『ひねくれた告白』
「ここにいてもいいだよ。全てが終わったら、おらが迎えに来てやるにゃ」
六花ではない操られて来ただけのアドレットが命を懸ける必要はない。
「いいや、俺も行く。まだやらなくちゃいけない事があるんだ」
それを聞いて男は笑み曲ぐ。
大丈夫だ、本質は失われていない。
「上等!」
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