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蜘蛛注意報 (サガフロ ヒューズ×サイレンス)

登場人物:ヒューズ、サイレンス

CP傾向:ヒューサイ

作成時期:2006年2月

ヒューズ×サイレンスの日常の一コマ。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。





 

 

 

(……ヒューズ!)


 

 

 


 突如、頭に自分の名が響いて俺は顔を上げた。
自然と自分が仏頂面になるのが解る。
こんな芸当ができる奴など、知っている限り周囲に一人――あれを人と数えていいものか?――しかいないからだ。

「ぁんだよ」

舌打ちしながら、誰もいない空間で返事をする。
そう。ここは、俺「クレイジーヒューズ」の住まうアパートだった。

今日の夕方から、明後日の昼までの休暇を取りつけた俺は、
久々の余暇をゆったり自宅で楽しもうと近所のビデオ屋で映画をレンタルして、
ソファーにどっかと座りこみ、ビール片手に寛いでいた――オヤジくさいとか言うなよ――。

その平穏を突き破るように、嵐を呼ぶ妖魔の声が聴こえたのだから、
萎れた野菜のようにげんなりしてしまっても仕方がないと自分に言い聴かせてみる。
どうせ、奴が慌てて自分を呼ぶというような事は、どうでもいい用事が多いのだ。

(ヒューズ!部屋に蜘蛛がいる!!)

次の瞬間、蝶の鮮やかな色彩の翅が目の前に広がり、空間を渡って飛んできたサイレンスが、
俺の首に手を回して抱きついていた。

ほらな…。

思わずがっくり肩を落としてしまう。。
体制がなんとも辛いから、正してやろうとサイレンスの脇に手を添えてやると、微かに震えているのが分かる。
様々な能力を持つ、上級妖魔と言われる大の男(あくまでも見掛け)がこれである。

「お前なぁ…」

更にコイツは警察組織である『IRPO』の一員でもあるのだが…。
情けない姿に思わず溜め息をついてしまった。

(前に私の部屋に出たやつより大きいんだ…)

弱々しく脳に響く言葉に、頭を掻く。

「へぇ。…大きさは?」

何気なく聞いてみると、胸に埋めていた顔を恐る恐る上げて、片手で小粒の苺程度の円を作って見せた。

「って!それくらいの蜘蛛なんぞ、そこら中に居んだろうが、いちいち怖がっててどうすんだよ」

ウゼー…と全力で感情を表現している俺をみて、サイレンスは弱々しくイヤイヤと首を横に振る。
おいおい、コイツ歳いくつだ?あ?

「とりあえず、離れろバカ」

肩を掴んで引きはがすと、名残惜しそうなションボリした目とぶつかった。
俺がはまったく悪くないのに、罪悪感を感じなければらないこの理不尽さについ苛立ちを感じてしまう。

 暫しの沈黙が流れ、やけに映画の音が大きく聴こえて来て、止めておこうとリモコンに腕を伸ばすと、
ちょうどいかがわしいラブシーンに突入した所だった。
しかも、丁度今の俺達のように、座っている男性の上に女性が跨って座っているような感じだ。

(!)

俺の目線を追って、テレビに目を向けていたサイレンスが何故過剰に反応して、パッと俺から離れる。
くそっ、そんなところで一丁前に意識すんじゃねぇよ、やりにくい!
そしてまた双方口を閉ざしてしまった――もともと奴は一言も喋ってないが――。

 

 


最初に言葉を紡ぎ出したのはあっちだった。

(取り乱して悪かった…)

気まずそうな申し訳なさそうな顔でうつ向いている。

「そんなに虫が怖いなら、部屋に殺虫剤でも撒いときゃどうだ?」

(…!)

さっとサイレンスの顔が青くなる。
なんとなく打った相槌なのだが、失言だったかと思い直す。

「って、お前も『蝶』だから虫か…」

(そうじゃない…いや、それもあるが。私が恐れているのは虫ではなくて蜘蛛なのだ!)

いや。
必死な目で訴えかけなくとも安心していい、俺にとっちゃどっちでもどうでもいいことだ。

(蜘蛛でなくゴキブリなら片手で潰せる)

片手に握りこぶしを作って、なにやらとても得意げだ。
見目麗しい奴がそんな事いうな!と、心で激しく突っ込んでみる。

「わぁったよ。ったく、人騒がせな…」

テープを撒き戻しつつ悪態をついてやる。

(だからそんな顔するな、申し訳ないと言っている)

「はいはい、で?」

(?)

「お前はどうするんだよ」

コイツ、前にクモが出たときも結局「怖い」などと抜かして俺の部屋に泊まっていきやがった。
後日笑い話のネタにしてやろうと口にしたら、ドールに

「あなた、ゴキブリが出た場所には最低三日は近付けない心理がわからないの!?」

などと意味不明な説教を食らったのを俺はよーく覚えている。
ちなみに俺はンな心理わかるはずもない。警察がちっちゃい虫ごときを怖がっててどうすんだよ。
こちとら毎日のようにモンスターや銃刀を持った犯罪者を相手にしてんだ。
そんな、理解できない奴のために、俺は何、気を使ってるんだか?

「泊まってくのかって事だよ」

不思議そうに小首を傾げているサイレンスに単刀直入に聞いてみる。

(……ヒューズ。……ああ、頼む)

奴はこくりと頷くと、嬉しそうに翅をぱたぱたとひらめかせて、
隣の空いてるソファーに腰掛けた。
誰が座っていいっつったよ……。ったく!


 その後、撒き戻したテープを並んで鑑賞していて、例のシーンでいい雰囲気になり
ずるずると流されてしまったのは…言うまでもない。









とうとうやっちゃったサガフロSS、ぬるいですがヒューサイです。

サイレンスって可愛いですよね。
喋らないから妄想しほうだいです。(こら)
ヒューズもなんだかんだいって甘やかしてたりするといいよ!ツンデレ!

しかし、サイレンスがゴキブリに対して強気で怖いです。
見た目綺麗なんだからあんなこといっちゃだめだ!(書いたお前が駄目だ)


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