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楽園を求めるは (ラジアータ フランクリン×フェリックス)

登場人物:フランクリン、フェリックス、ローズ、シルビア

CP傾向:フラフェリっぽい

制作時期:2005年

フェリックスがフランクリンにナンパされる話。
フラフェリ…になるの?かどうか怪しい。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。






 

 

「ここか…」


 薄暗い通りをいくつも抜けたその先に、その店はあった。

 

 ここは夜と欲望の黒街の奥に位置する奈落獣。
ヴォイド・コミュニティが統括する居住区であり、秩序あるラジアータの中で
唯一、独立した運営が行われている。

なんらかの掟は存在しているようだが、無法地帯に等しい……そんな物騒な場所だ。
陽が高いうちは、ひっそりと静まりかえった裏道も、夜になれば世界がかわったように活気付く。
この奥にあるバー、『ヴァンパイア』もその一つで、夜には様々な客が入る。

犯罪者や殺人者までもが出入りするらしい。
しかし、問題さえ起こさなければ、という条件の元でどんな者でも入ることができる。

そう、フードを頭から深く被った身元不明の輩などなにも問題無く
店員からしてみればむしろ犯罪者より易しい存在だ。

 

 そこに目をつけた男がいた。

若くして魔術学院教授である美男子、フェリックスだ。
美男子というには少し語弊があるかもしれない。
何故ならその容姿は女性と見間違えるほど中性的な美しさだからだ。

その容姿を本人はあまり快く思っておらず、 むしろこうやって外に飲みに行くには邪魔でしかないのである。
過去に何度、居酒屋で酔った輩に口説かれた事か…
勿論、顔に似合わず性格は雄々しくも気強く、ナンパした者がこくごとく彼の魔砲
『ヴァッサーオ』の餌食になったのは言うまでもない。

そんな彼は、静かに飲める居酒屋を探していた。
そんなにナンパされるのが嫌ならば家で飲めばいい…と思うのだが、彼は無類の酒好きであった。
酔うのが好きなのではなく、カクテルの色合いやワインの味比べなどなど、
そのような方面で好き、なのである。
彼が外に飲みに行きたい理由はここにある。

しかし、過去に何度も失敗している彼は、
行き付けの店である『黒薔薇』のローズにいい店がないか尋ねてみた。
ちなみに彼がこの店に通うのは、ここの店主であるローズと気心知れた仲だからだ。
いつかストーカーに狙われた時は親身になって話を聞いてくれた。

「いい居酒屋ねぇ」

そう、暫く考え込んで教えてくれたのが、この店だった。
確かに物騒ではあるが、実力のあるフェリならば問題ないないという見解だ。
顔を隠していて、武器を持っていても問題無く入店できるだろうと教えてくれた。

 

 



そして、彼はここに来たのである。

入ってみると、ごちゃごちゃした店内に様々な客がいた。

とりあえず手短にカウンター席の一番端に座ると、バーテンダーの女性にメニューを見せ
てもらい、定番のカクテルとおつまみを頼む。

「お兄さん、ここ初めてかしら?」

世間話を振りかけられて、渋々頷く。
ちゃんと男に見てもらえているあたり、流石女性の勘というところか…。

「ここは素性探るようなヤボなことはしないから、ゆっくりしていってね。ハイ、どうぞ」

彼女はにこりと笑って、綺麗な赤と橙のグラデーションのかかったグラスを目の前にだしてくれた。

味は悪くないし、このような格好でも問題視されず、バーテンは女性。

ここまでは良いが、一つ気に入らないところがあった。
部屋が埃っぽくて汚い、ちらかっているわけではないのだが雰囲気は好ましくなかった。

ちらりと見渡すと、若い男女が数人はしゃぎながらお喋りをしているのが見える。

見たところ未成年にも見えなくもない。
こんな時間に出歩いて危険に巻き込まれたらどうするつもりなのだろう。
自分がその歳なら考えられないな、などと見ていると
不意に男の一人と目が合ってしまった。

とっさに目線を外して、フードを深く被り直す。


―――見られただろうか?


顔を全部見られたわけではないので問題はないと自分に言い聞かせるが、
嫌な予感がして、焦りで渇いた喉を潤そうとカクテルを口につけ、音もなく溜め息をついた。
しかし、人生とは上手くいかないもので…

「やぁ!綺麗なお姉さん、一人かい?」

そのイヤな予感は見事に的中することとなった。


 

背後に先ほどの男の気配を感じる。
その男はあろうことか隣のカウンター席に腰かけてきた。
なんとも図々しい奴だ、とフェリックスは心の中で悪態をつく。

「隣、いいかな?」

などと正に今更なセリフを吐いて、男は朗らかに笑みを向けてきた。

後ろで、例のグループが「またやってる」などとやゆ半分、呆れ半分で
笑い声をあげて、また会話に戻っていった。

「ねぇ、名前は?そんなフード被ってて暑くない?僕が脱がせてあげようか?」

何がそんなに楽しいのか、嬉々として質問攻めにしてくる男を、
鬱陶しく思いながらも、フェリックスは無視することに決めた。

「ちょっと、お客様に手ぇ出すのやめてよね?」

おつまみを作りに奥へ行っていたバーテンの女性が帰ってきて、男に注意を促す。

「そう堅いこと言わないでよ、シルビア。それとも嫉妬してくれているのかい?」

「だれがよ」

即答で否定されている。どうやらこの男、この店の常連でかなりのタラシらしい事が窺える。
またこんな輩にひっかかってしまったと、疲れがどっと押し寄せてくるのをフェリックスは感じた。

「で、さ。良かったら一緒に飲まない?何より楽しい時間をプレゼントするよ?
ほらほら、顔見せてよ、その布の下に、麗しい顔が隠れているのは分かっているよ、仔猫ちゃん♪」

「……。」

よくもそんな身勝手な言葉をスラスラと思いつくものだ。
しかし、タラシ男は喋るだけでは落とせないと判断したのか、フェリックスの白い手を取ると、
そっとその手の甲に口付けを落とした。

ぷちん。

「フランクリン、いい加減になさいよ。と、いうかあなたそのケがあったの?」

「……そのけ?」

 

 パンッ!!!!

 

女性の言う言葉を飲み込み、理解する間もなく店内に、小気味良い音が鳴り響く。

「気安く俺に触るなよ!」

フェリックスは見事にキレていた。フランクリンの頬を叩いたその拍子でフードが脱げ、
薄暗い店内の明かりのなか、ぼんやりと美しい容姿と銀の長髪が現れる。
その秀麗な顔はほのかに赤くそまっていた。
注釈しておくが、キスに照れたのではない。

店内がシンと静まり返り、客達の目が二人に集まる。

「フランクリン、なんぼ美人だからって男性を女性と間違えるのは失礼よ」

あ~あ、とシルビアと呼ばれた女性が肩をすくめる。


 

 


「え……おとこ?」

反復して呟くものの、目の前の顔を見る限り、未だに信じられないのだろう。
ぽかんと口を開けて情けない顔をしている。

「アンタ、表に出ろよ!!!」

フェリックスが立掛けてあったヴァッサーオを手に取り、扉の方を指差す。

「へ?え!?」

「その腐りきった根性、叩きなおしてやる!!」

「間違いとは言え、手の甲にキスまでしちゃったんだから、土下座でもして謝ってくれば?
ここで喧嘩するなら、このお兄さんに私がついて一瞬でキメてあげるけど。」

バーテンが冷たい微笑を浮かべる。
フランクリンはサーーが青くなると、見守っていたかの若い女性が「いってらっしゃい」
と冷たい言葉を残して、フランクリンの武器らしき魔砲を彼に押し付けた。

その後、悲鳴とともに表に氷の像が建ったとかなんとか…。









楽園を求めて頑張っちゃうフェリと、なんぱフランクリンでした。
書いておいてなんだが、誰が読むんだろ…
うちのフェリはほんと雄々しいですね!雄々しい彼が好きです。

ちなみに私はどちらかといえばジンフェリ派なので、フラフェリは
増える事はない……と、思いつつ、続きの話は思い浮かんでいるという。
(でも書かない)

ヴァンパイアのお店の中の人名や口調は忘れてくださいorz
1回メモりに起動させたんだけどなぁ……さっぱり覚えてない!

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