登場人物:ゲブラー、ケセド
CP傾向:ゲブケセ(誤植ではない)
開催期間:20207月中旬~末
ゲブラー姐御と、まさかのゆるほわ青年だったケセドくんの140字SS集。
『LobotomyCorporation』……の過去を十分に詰め込みつつ
時間軸は『Library Of Ruina』の方のゲブケセが多いです。
左右は固定なのでご注意ください。
【幸福な朝】「起きたか、この寝坊助」
光の中、目が覚めた。隣に立つは赤髪のかつての同僚。
「そうか、俺の番か」
やるべき事は漠然と理解していた。
「どうだ、目覚めた気分は?」
人を殺して本にする。その本の管理が今回の役目だ。
人の死は沢山見たが、自ら殺すのは初めてで正直怖い。
…でも
「君がいるから幸せさ」
【誰も欲しくない】「聞いたかい? その内かつてのアブノーマリティ達が力を貸しに来るらしいよ。試練つきらしいけど」
人として、不死の駒として、新たな命を得てここへ降り立った彼は上層階に居る元セフィラに聞いたのだろう。
「あ?」
「また彼らに会えるなら誰がいい?」
「私にそれを聞くか」
愚問だったと彼は後悔した。
【照れ隠しの仕草】「セフィラの時は言えなかったけど」
コーヒーを飲んでいたケセドが沈黙を破る。
「牙を折られた俺にとって、君は英雄だったんだ」
彼は目線を逸してトントンとコップを指で叩いている。
「つまり何が言いたい?」
「君に許されるなら、これからも隣にいたい」
耳を赤く染めて何を今更。既にいるじゃないか。
【誰にも渡さない】「死んでも生き返るなんてびっくりだよね~」
いつもと変わらぬよう努力しているが彼は明らかに震えていた。
それもそうだ。先程彼は初めて人を殺し、そして自らも肢体を裂かれて殺された。
「本にならないだけマシ……なんだよね」
「ああ、もしいつか呪いが解けて、お前が本になっても……誰にも渡さん」
【優先順位】 一番がいい、なんて思ってないよ。
彼女は優しいから、ティファレトやホドやマルクトの事も放っておけないだろうしね。
これから向かう未来に俺は何番目に居させて貰えるんだろう。
できれば、近くがいいなぁ。
そんな事をぼんやり考えていたら彼女の腕に捕まり首を締められていた。 あはは、今日も幸せだ。
【愛される条件】「えっと、これはどういう?」
「見た通りだ、お前が私に押し倒されてるのさ」
「なんっ」
で、と言う前に覆いかぶさる彼女が首筋に甘く噛む。
「どういう意味かくらい解るだろう。嫌なら本気で抵抗することだな」
困惑した男を前に口元を舐めて笑む彼女。
違う、そうじゃなくて条件が揃ってないじゃないか。
【息の根止めて】 やっと捕まえた。
定期的に起こる鬼ごっこにさほど意味はない。
「さて、どうしてくれようか。それともいっぺん死んどくか?」
両の手を首にかけると、ケセドは悲しそうに笑った。
「いいかもね、それでも君には償いきれないけど」
「……!この大馬鹿野郎!」
思わずカッとなって襟首を掴み荒々しく口付けた。
【優しくしないで】 破壊に長けたその指が、優しく頬にかかった髪を梳き、輪郭をなぞる。
獲物を射抜く鋭い瞳は今は見えず、額に温かく柔らかいものがあたる感触に、思わず目を瞑った。
「あ、あの、ゲブラー!?」
「大人しくしていれば可愛いものを」
声まで柔らかく、ケセドは狼狽した。
君にこんなに優しくされたら……。
【愛してはいるんだけど】「ねえねえゲブラー」
ほわほわと幸せそうに笑いながらケセドが話しかけてくる。
話題は他愛も無いものばかりで、何が面白いのかさっぱり理解できない。
「そんなに眉間に皺を寄せてると美人が台無しだよ~」
「うるさい、お前を見てるとイライラするんだ!」
と、言うものの嫌ではないから困るのだ。
【なんだって知ってた】「お前が私に無駄にちょっかいをかけるのは、ビナーが起きた時に傍に居て欲しいからだろう?」
「え?」
コーヒーを淹れて落ち着いた所、煙草をふかしていたゲブラーに問われた。
「アイツはダメで、私ならいいのか?」
「……うん。君だからいいんだ」
今はもう怖くないって、俺は君を知ったから。
【神様なんていない】 体を弾かれるようにして斬られ、壁にぶつかり倒れた。
己の剣が落ちた金属音は聞こえるが、視界は既に真っ暗だ。
痛い。それしか考えられないほど痛く、そして怖かった。
神様がいないなんて一度目の生から知っている。
だが、希望ならある。
「ゲブラー、後を頼む」
そう呟き、彼は光となって弾けた。
【ちょっと黙って】「ずっと昔も、認識フィルターがあった時も綺麗だと思っていたけど、本当に君の髪は綺麗だね」
「はぁ? 血の色だぞ」
「いつか見た夕焼けの色だよ」
「……。お前もそのまま髪、伸ばせよ?」
「う、うん。どうして?」
彼を引き寄せて髪のゴムを奪う。
「お前の髪色は朝焼けの空のように綺麗だからだ」
【痛い】「痛い痛い痛い~ッ!!」
「わざと痛くしてるんだから当然だろう」
今日もあっさりとゲブラーに捕まったケセドが、関節技をキメられながら悲鳴を上げる。
「それに戦いに出たらこんなものじゃないぞ、今のうちに慣れておけ」
「無理ぃぃぃ!!!」
「なら、私が戦い方を教えてやろうか?」
「へっ?」
【世界の終わりに】「図書館が消えたら、俺達はどうなるのかな」
「そりゃお終いだろうさ」
「やっぱり~?図書館から出られない体じゃそうなるよね」
実際に出た事はないが、先に起きたティファレトがそう言っていた。
「じゃあさ、最期の時はここに来て、君の隣でコーヒーを飲んで……」
「コーヒーなしだったら許す」
【来世でもよろしく】 一度目の生は散々だった。
二度目の生はAI搭載のロボットだった。
三度目の生……今度は体を与えられて図書館で戦う司書と来た。
例え仮初の命でも、前居た所より遥かに今は自由だ。
「流石にもう四度目はないよね~。やりたい事、やっと見つかりそうなのになぁ」
光しか通さない窓を見上げて彼は呟く。
「せめて、君だけは覚えていたいな」
現在、早期アクセスプレイ中の『Library Of Ruina』ちゃん。
そんな更新途中でリアル引越しが入り、暫くプレイできなかったんですが
それまでに発散したゲブケセ萌え(※孤独)の140字SSです。
本当はもうちょっと長い話を書きたいんですけど
現在の早期プレイのシナリオ的にどう転ぶか未来がわからないし
ふとした設定が後付で来る(司書はホスト時に前に戦った記憶を失い、復活できることも忘れる等)
事があるので……あまり先走ってもダメかな~と思い。
とりあえず140字SSで飢えを満たして行こうという算段です。
またくっそマイナーに来てしまったよおっかさん。
同志がいない……orz
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