登場人物:幸村 赤也
CP傾向:赤也×幸村 ちゅーまでいきました。
制作時期:2007年6月
赤幸のなれそめ?話の続き。
赤也告白編。短かくも長くも無いSS(´д`)
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
今日は幸村と二人っきりだった。
さり気なく、すぐに怒る真田副部長や小煩い柳先輩や柳生先輩の
見舞いに来る時間をはずしたのだから当然なのだが……問題はそこじゃない。
複数かマンツーマンか、彼にとってはそういうことなのだ。
彼が倒れて気付いた気持ち、それからずっとずっと心の中で言おうと思っていた言葉。
ほんとは元気になって、戻ってくるまで打ち明ける気なんてなかった。
けれど、昨日見てしまった幸村の姿は、赤也の深いところに住み着いてしまった。
涙を流して、腕の中で震え泣く幸村は……そう、赤也に強い衝撃をもたらした。
この言葉を伝えよう。
今なら届くかもしれない。
切原赤也はとても聡かった。
傷心している幸村が、今何を求められたいかを自然と感じ取っていたのだ。
だから、赤也は行動に出ることにした。
「ゆ、幸村部長?」
一人用にしては広い部屋に、二人きり。
言うならば、そう、今しかない。
「ん?なんだ赤也」
幸村が柔らかい声音で名前を呼ぶものだから、つい心が逸ってあがってしまい、声が上ずってしまう。
今日、病院に来るまでに何回も脳内シュミュレートしたというのに!
「あの…おおお俺、幸村部長のことが……」
言え、言うんだ!立海大付属二年エース切原赤也!!!
赤也は己の手を強く握ると、力を込めて全て吐き出した。
「す、好きっス!!!」
「……? ありがとう、赤也。俺も赤也のことが好きだよ?」
そう言って優しい笑みを浮かべる幸村に、赤也は小さくかぶりふる。
違う、その“好き”じゃない、絶対勘違いされてる。
赤也は決心したように口を一文字に結ぶと
勢いに任せてベッドに手をつき幸村にキスをした。
その行為は、ただ触れるだけの……しかし、赤也にとっては想いを伝える為の精一杯の行動である。
「俺の“好き”ってのは、こういう好きなんスよ、部長」
いきなりだったから怒っていないだろうか?
着持ち悪がられたらどうしようか……
恥ずかしがってくれたらかわいいのにな。
そんな事をぐるぐると考えながら、赤也は顔を少し離して幸村の顔を覗く。
だが、そこにあったのはきょとんと不思議そうに自分を見つめる瞳だった。
「そうか、赤也は俺のことがそういう意味で好きなのか」
「だからそう言ったじゃないっすかぁ……一世一代の俺の告白聞いてなかったんすか?」
「あはははは、ごめんごめん。あ~、でも困ったなぁ」
くさる赤也を見て、幸村ははにかんだような笑みを浮かべて頬を掻いている。
「困るってことは……ノーってことなんすか?」
むう、と面白くなさそうに顔を膨らませて赤也が問い詰めると
幸村は違う違うと首をかぶり振って、優しく赤也の髪を撫でた。
「困ると言うのは、特に断る理由が見つからないからなんだ」
「えっ!?……じゃあ」
ぱぁっと赤也の顔が笑顔を飾る。
そんな赤也を見てやはり幸村は困ったように微笑んだ。
「いや、でも好きかどうかと言われてもよくわからないし、やっぱり答えられないな」
「えーーー。」
ぎゅっと幸村の首に腕を回して抱き付いた。
「俺のこと、好きになって下さいよ。俺絶対、幸村部長のこと大切にしますから!!」
腕に力を込めて、顔を病院の匂いのする柔らかい髪に埋めて、赤也は精一杯懇願した。
自分は不良だし乱暴者だし、ふしだらなところがあるけど、でも絶対部長が大好きなんだ。
だからきっと幸せにできる。俺も幸せになれる。
今はまだまだだけど、この人と釣り合う男に絶対なる。
そんな必死に腕を絡めて来る赤也を、困りながらも振りほどけないでいる幸村は、
僅かに震えている赤也の肩を見て、小さく溜め息をついた。
なんだかんだ言って、たとえ困ったとしても
このかわいい後輩を甘やかしてしまうのは、特別な感情があるからなのか…?
キスも、抱き付かれるのも全然嫌じゃない。
ならここで断ることもないかと結論に至った。
「仕方ないか……それじゃどうしてもと言うなら付き合ってあげるよ」
「まじっスか!?じゃぁ、ど、どうしても!!!!」
「ああ、今はまだ好きとは言えないけど」
「ええー!そんなのヒドイですよ!片思いじゃないですか」
「ははは、そうだな……俺を“好き”にさせてみろ、赤也。」
「なんスかそれー」
「チャンスはやるんだ、できないとは言わせないぞ?」
「む」
幸村は赤也の頭をあやすようにポンポンと撫でてやる。
いつも真面目なのかわからないこの後輩が
こんなにも真剣に、緊張と焦りで震えながらも告白してくれたのだ
そりゃぁ、自分だって嫌じゃなかったら応えてやりたい。
朧気な自分の感情も、確かなものにしてくれるんじゃないだろうか……
ちょっと期待して待ってみよう。
「覚悟、しててくださいよ?」
「うん?」
「絶対、俺のこと好きにさせてみせますから!」
そのうち、先輩後輩の壁をぶち破ってくれるんだろうか?
あ、既にそこは今破られたのかな?
二人の想いが通じ合うのはまだ先のお話。
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なんだかんだで続いてしまった赤也×幸村のお話。
次は告白編です。特に面白くともなんともないですね!
幸村の方が強そうに見えるけどあかゆきです。
本当に書きたいシーンはまだちょっと先なんで地味にじわじわ書いていけたらいいなぁと思ってます。
がんばれ赤也!
……がんばれ自分!
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