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だけど傍にいるだけで(赤也×幸村)

登場人物:赤也 幸村

CP傾向:赤幸

制作時期:2008年5月末

相変わらず、のんきな幸村と頑張る赤也。
とってもくだらないけど、ちゅーはしてます。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。

















「……ふあぁ……」

「ちょ」

「え?」


 口を開けたまま、きょとんと見上げてくる目に、赤也はどう反応して良いか分からず、ただ目を丸くした。


ここは部活の終わった放課後の部室。
わざわざ迎えに来てくれた元部長兼想い人(いちおう恋人同士のハズなんスけど、どうもそうは思えないんスよねぇ)を壁と自分の間に閉じ込めて……。
そう、某ゲーム風に言うならば

『逃げられない!』

と、いう状況のはずなのだ。
こんなおいしいシチュエーション、キスのひとつもしたいじゃないスか!と勢いで頑張ってみたものの、まさかそこでの反応はあくびだった。


「『え』じゃないっすよ!!!なんであくびなんスか~!」

この雰囲気で、ありえない!とばかりに赤也は脱力する。
そんな赤也を落ち着いたまなざしで見ていた幸村は

「ごめん、何か赤也が黙ったまま動かないから、考え事でもしてるのかと思って」

そうのんびりと呟いた。
より一層虚しさを覚えて頭を垂れた赤也は「こんなマイペースいつもの事じゃないっすか!」と心中で自分を励ますと、泣きたい気持ちで幸村を見る。

「あの、先輩?」

「なに?」

「俺、そんなに怖くないっすか?」

ちょっと驚いて慌ててドキッとしてくれないかな、なんて意地悪心も含めて壁と腕の合間に閉じ込めたのに……これでは逆に見せものである。

「ぅん?赤也はいつでも可愛いよ?」

そう言って、にこりと微笑むものだから、軽く絶望した。
いや、これまでの行動パターンを考えれば想像できる行動ではあったのだ。
この元立海テニス部部長、通称『神の子』幸村精市は、それはもうびっくりするくらい空気の読めない鈍感だった。
ナニを知らないという類の鈍感ではなく、マスター柳蓮二曰く「そういう空気に本気で気付いてない」のだそうな。

でも流石にホラ、恋人と放課後の人気のない部室で二人きりで壁に押しつけられてってなったら分かるじゃないスかぁ!!!

心で叫んでみたところでどうしようもなく、赤也は思い切って行動に移すことを心に決めて、これ以上ほだされないようにきつく幸村の顔を睨んだ。

「最近は背も伸びて、かっこよくなって来たね……って、赤也?
怒ってるのか?」

力を失っていた腕に力を入れて、より逃げられないように閉じ込める(元より本人に逃げる気は全くないのだが)
そのまま、様子を伺う視線と交えながら顔を近付けて、その唇を塞いだ。

「!」

流石に驚いたのか、目を丸くするも、幸村は怯む事なくすんなりとその行為を受け入れる。
調子に乗った赤也は気を良くすると、幸村の制服のネクタイに指をかけた。

「ンッ!……っはぁ。こ、こら!赤也!!!」

ネクタイを解くよりも先に、幸村は口付けから逃れると、素早く赤也の手をぺしりと叩き落とす。
穏やかだった眉が上がっているのを見て取り、赤也は渋々と身を引いた。

「これ、一回解いたら面倒なんだぞ?」

「これってネクタイっスか」

「そうだ、解いたら結んで貰うからな」

「えぇぇ~……」

珍しく強い口調でそう言われて、また脱力する。
そう、幸村はたまにいるあの人種なのだということを思い出した。

『ネクタイを毎回緩めて使って解かない人種』

赤也も体育や部活で着替える時にたまにする。
でも、こんな時にわざわざ気にしなくったって……。
もっと雰囲気大事にしてくださいよぉ……。

しょぼける赤也をよそに、幸村は緩められたネクタイを苦しくならない程度に締め上げると、腰をあげてズボンの汚れを手で払った。









 流石にあの後、赤也が諦めてしまい、二人は夕暮れの中、部室を後にした。
鍵を職員室に返して、校門まで喋りながら歩く。

「なんだ、そういう気分なら先に言えば良かったのに」

夕日のせいか、それとも照れているのか赤也には判断がつかないが、幸村は頬を赤くしながら困ったように呟く。

「いちいち言って確認とかダサいし、恥ずかしいじゃないっスかぁ!」

「でも言われないと俺、気付かない自信あるよ」

「っスよねぇ」

最終的には自分が折れるしかないのかと赤也は溜め息をつく。
別に少女漫画やドラマみたいな甘い恋がしたいわけじゃない。
少なくとも幸村はそういうものを重視するタイプでは全くないし、赤也もどちらかと言えば直球タイプだ。

しかし、キスひとつ、いちいち知らせてするのも正直微妙だ。
察してほしいと言うのが本音であるが、気付かないマイペースさも好きだったりするので重傷だった。

「赤也」

「ん?何スか?」

「俺はTPOさえわきまえてもらえればいつでも構わないよ?」

「え?」

何がなんて聞いたら、とぼけられそうなので、赤也は「何が」とは聞かなかった。

もう、傍にいるだけで、俺は馬鹿みたいに幸せだ。













相変わらずgdgdで赤也が報われなくて幸村がKYしています。
結局は、より惚れたほうが負けるんです。
久々の赤幸更新がコレって……orz

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