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顔を上げて歩いて往くには 太陽は眩しすぎる(TOA アッシュ×ディスト)

登場人物:アッシュ ディスト

CP傾向:アシュディス

制作時期:2007年6月


光と闇と、影のお話。
暗いかもしれない……?
そして短い。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。










「私にとって、この世界は明るすぎるんですよ」





 不意に、窓の外を見てそう呟く目の前の男が理解できなくて、赤毛の青年は眉をしかめた。

「はぁ?なんだそれは」

 外は、雷雨だ。夕立と言うのだろうか?
 朝は雲一つ無い晴天だった。昼には雲が浮かび出し、そして夕方になって突然振り出し今に至る。

「ほら私、真っ黒の影ですから」

「明るいところの方が目立っていいんじゃねぇのか?お前にとっては」

 割と目立ちたがり屋なディストの性格を考慮して、そう揶揄る。
 しかし、雨の振る窓の外を眺めていたディストは僅かに目を細めただけで、黙り込んだ。ざあざあと音を立てて降っている雨が、更に雨足を強めてまるで外はシャワーのようだ。

「駄目なんです、明るすぎて……影である私は消されてしまう」

 掠れて消えてしまいそうな声をなんとか拾うも、アッシュはもうひとつ意味を理解できずにいた。

「光より闇が強いなんて真っ赤な嘘ですよ。闇は光に照らされて、消えるしかない。闇深いところでも光は存在できますが、光のある場所に闇は存在できない」

「だから何がいいたい? 言いたいことがあるならハッキリ言え、ぐだぐたつまんねぇこと言ってんじゃねぇよ」

 不満そうに声を荒げるアッシュに背を向けたままだったディストは、軽く溜め息をつくと静かに、振り返った。

「いつか、私は光に殺されるかもしれない……」

 光と言うこの世の『正義』に。決して、道徳的に正しいことをしているわけではない六人の神将。闇の濃さは違えど、闇に住まう住人は、いつか強制的に光に照らされ、焼かれるのだろうか?
 聡いアッシュは、ようやく理解した。自分にはそのような迷いはない。自分は生きる為にこの道を選んだのだ、綺麗でも汚くても今更他人に文句は言わせない。言いたければそれ相応の力を見せて屈服させればいい。
 だから、意味は理解できるが感情は理解し難かった。
 ただ解る。彼は、弱いのだ。その正義という光に抗うだけの力を持たない闇、それが彼。故に恐れる。自分が消されてしまう事を。

「その時は、俺が影を作ってやる。だからあまり遠くへ行くなよ」

 手を伸ばして、その病的なまでに白い頬に触れた。

「アッシュ……あなた……」

 振り向いた時には、酷く冷めていた紫の瞳は、微かに目を細めて微笑んでいた。

「物好きですね」

「ああ、だろうな」

 好き好んで、好きな相手を闇で包みこむ男など、他にいないだろう。
 だが、我々は闇。それが望みなら叶えてやろう。



 雷が光り、部屋が明るく照らしだされる。その光から守るように腕の中に納めた、光の当たらぬ真っ暗のディストに被さるようにキスをした。駄賃はこれでいいだろう。

 数秒後、雷の音が届くと同時に、小さく『ありがとう』と聞こえた。









突発的にまたアシュディスです。
暗いのか明るいのかよくわからない話ですね……。

たまにディストの話を書いてしまうのは、きっと私と似たところがあるんじゃないかと勝手に思ってるからです。

アビスの世界は彼にとって「正しすぎる」
故に生きることが困難なのです。

正しいことを理解しつつ、それに背くということは、とても辛い生き方なわけで。
幼き頃に善悪の判断をつけながらも、尚背いて今を生きるディストは
いつか消されるんじゃないかなぁ、なんて思ってる……といいな。

その曲がった正義から守ってあげる役割を持つのがアッシュだといいな!
この役割は正しいことを貫かなければならないピオニーや
その矛であるジェイドにはできないんですよ。
彼らはきっと「正しい」言葉でディストを傷つけるから。

なんかよく解らないかもですが、そういう話なんです。

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