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味見をしたら美味かった (シェゾ×レムレス)

登場人物:シェゾ レムレス

CP傾向:シェレム

制作時期:2012年8月


『彗光のお前はどんな味?』の続きです。
そろそろR-15くらい。ちゅーしてます。
相変わらずゲスいので駄目な方は注意です。






 あれから十日ほどが過ぎた。
何もなかったわけでもなく、一応に様々な事があったのだが、腹がたつので割愛する。
と、いうわけで話はここからだ。


 レムレスのあの家は、森の奥にあると見えて、それほど深くはなかった。
言うならば街の外れ程度で、少し歩けば街に出られる。道も覚えたし、街中ではないから人目に付きにくい。
よって、俺は気がつけば「いいカモだ」などと考えていた。
なんだその視線は、俺は闇の魔導師なんだぞ。欲しいものは奪ってなんぼだ。

 だが、レムレスは魔導師である。一筋縄ではいかない。
それで生計を立てているのだから、一般人や野盗であれば負けることはない強さを……持っているはずだ。いやたぶん。
いつもぽわぽわしているイメージしかなくて、正直危機管理能力なさすぎだろうと思いもするが……。
実際三日前くらい、カモにしようとぷよ勝負を挑んだら負けた。
本当に腹がたつのでこれ以上は書かない。




 とにかく、それからとことん奴を研究して修行して、今日に至る。
修行のために魔力も少し使ってしまったし、研究の成果と修行の成果を確かめがてら、奴の顔を見に行こうという算段だ。
何より、今日と明日は学校が休みのはずだ。
行っても奴が居なければ意味がないのだから、行くなら今しかない。
そう思って、洞窟を飛び出した。

 前回は気がつかなかった呼び鈴を鳴らすと、奴はすぐに出てきた。
最近の家には常備されている「いんたーほん」というものはないらしい。見た目に合った古めかしさという所か。

「は~い! ……て、また来たの?」

 丁度夕食の用意をするところだったらしい。出てきたレムレスはいつものエプロン姿だった。
そんな彼に、まず一言。今日はご馳走になりに来たわけではないのだから。

「お前が欲しい!」

「え~~! またなの? 一昨日も来たじゃない」

「うるさい! あれは忘れた!」

「それに魔力を取られた時は、二日も寝込んで大変だったんだよ~」

「負けた奴が悪い」

 ちょっと困り顔のレムレスを見ると、何だか優位に立てた気がして気分がいい。
ついでに付け足すなら、とても悪役な気分だ。さすが俺。
以前帰る時に、ちょっと悪いことをしたかと思った。あれはきっと俺が弱気だったからなのだ。

「美味しいものをたくさん食べて、ふかふかのお布団で寝てたら、魔力くらい回復するのに……」

「お前を倒すための修行で減ったんだ、お前から奪うのが道理だろう」

「そうかなぁ、横暴だよ」

「とりあえず!! やるのか? やらないのか?」

 既に抜き身の剣を持っている俺を、困ったように見やると、奴は一つため息を零す。

「しょうがないなぁ……なら、ぷよ勝負だ! 僕が勝ったら、帰ってね?」

 毎度の事で、レムレスは三角巾とエプロンを脱いで放ると、渋々と帽子と箒を手に表へ出てきた。
対峙すると、奴の魔力を強く感じた。
優しく、時に鋭く、流れるような、彗星の魔力。
やっぱり……欲しい。せめて一口でも。
心がギラつく。久々に渇望した気分だった。
その思いのまま、剣を振りかざした。





 勝負は逆転勝利だった。
修行の成果か、癖に慣れて来たところからは、かなり余裕を持てた気がする。
そこからは割と無心で、気づけば勝敗は決していた。
リベンジなったか。

「油断したかなぁ……」

「ふん、当然の結果だな」

 這い出て来たレムレスの腕を掴んで、ぷよ地獄から引っ張り出す。
大切な身体なのだから大事にしないと……って今、俺の事ヘンタイとか思った奴ゆるさん!
目が廻っているのだろう、足がもつれるのか傾いだ体を受け止めると、バニラの甘い香りがした。

「では、もらうぞ」

「あ……!」

だが、魔力を啜ろうと歯を立てようとしたところで、いきなり奴に突き放された。

「おい! 約束が違う!」

「わぁ! ま、待って待って! そうじゃなくて~!!!」

レムレスは慌てるも、どうやら逃げるわけではなさそうだった。
申し訳なさそうに縮こまると、そろりと顔色を伺ってくる。

「あの……また噛むの?」

「それ以外にどうしろと?」

「あれすごく痛いんだよ。痛いのはやだよぉ。痕も残るし」

何かと思えば、そんな事。

「その服では別に見えないしいいだろう。それに負けたんだからぐだぐだぬか…………ああ、そうか」

 別の方法にすればいいのか。
他の方法がないわけでもないしな。
確かに、別に俺だって血の味が好きとか、そういう変な趣味は持ちあわせてはいない。
いいか、ないんだぞ? そこは普通なんだからな。だから変態って呼ぶな。


「良い方法、あるの?」

「ついて来い」

 にやりと笑って見せると、顎でしゃくって、先にレムレスの家に勝手に入る。
家の中は、いつもの甘い匂いでなく、煮物のような薫りがした。シチューだろうか?
なんだこいつ、ご飯も作れたのか。菓子だけかと思ったぞ。
っと、やることを忘れてはならない。
 後ろをついて来ていたレムレスが、扉を閉める気配を感じると、すぐさま体を反転させて扉に腕をついた。
その振動で、奴の帽子がふわりと足元に落ちる。
勿論これは、奴を腕で閉じ込めてしまうような体勢だ。
そして顔は、すぐ近く。

「シェゾ……?」

「抵抗はするなよ」

「へ?」

 それ以上言葉を紡げないように、荒々しく口を口で塞いだ。

 魔力を移す方法、その三。体液交換。
体液や粘膜から、魔力を奪い取る方法だった。
口付けは、その中でも取られにくい方法だ。
何故なら、舌を噛み切られる可能性が0ではないため。
恋人同士の魔導師が、たまにするらしいとか、雑誌で読んだことはある。
 ちなみに、俺はやったことがない。ものは試しというものだ。

「んっ……! ……ふあ。しぇぞ、待ってっ! これって……!!!」

「待ってもいいが、やることはやるぞ」

「痛いのはやだって言ったのに、これじゃ……んぅっ」

 押し退けようと出てきた腕を掴んで、扉に縫い付ける。そのままもう一度口を塞いだ。
口が開いていたものだから、侵入は容易かった。舌を絡ませて、無理矢理吸い出す。
 こいつの魔力は、やっぱり美味しかった。なんとなく、どこか甘い。
いや、口が甘い気もするのだが、流石に体液まで砂糖漬けなわけはないな。
言うならば、魔導師としての魔力の性質、生成能力とも言うのか。
それが、ただ単に俺の好みなのだろう。
そんな事を考えながら、気を良く味わっていると、不意に胸を叩いて逃げられた。
と、言っても体位はかわらないが……。

「ぷはっ……~~っ!」

「おい、逃げるな」

「はぁっ……うう……だって! はぁ……息が……続かないよ。……今度は苦しいよ~」

よく見たら肩で息している。
半泣き状態なのは、そのせいだったのか馬鹿野郎。

「お前、キスも初めてなのか?」

「当然……初めてだよ」

 見た目は成人に近いから、すっかり忘れていたが、そう言えば学生だったと思い出す。
容姿は悪くないのだから、そこそこマセてるのかと思いきや、そんなこともないと言うことか。
全く、手の掛かる。
逃げられないように、頬に手を添えて、わざと耳をなぞる。
その腕に、柔らかい毛がかかる。自分のものより、少し違う銀色。白銀と白金の中間、洋白の色だ。
それを楽しみながら、ゆっくりと顔を近づけて、耳元で囁いた。

「鼻で息をしろ。窒息するぞ。したくなかったら覚えろ」

「え、いきなり言われても……んむっ」

言い終わらないうちに、また口を塞ぐ。
やはり、口内も魔力も、程よく甘かった。




 結局、心行くまで魔力を貪っていたら、結構な時間が経っていた。
目の前のレムレスは息も絶え絶えと言うように、ぐったりしながら荒く息をしている。
何かこう、ぐっと来るものがあるのだが、俺もそこそこ疲れたので、今日は見なかったことにしておいてやる。
別に変態呼ばわりが怖いわけじゃないぞ。断じてないからな。

「美味しかったが、この方法は面倒くさいな」

「はぁ……はぁ……も、もっと早く気づいてよ~絶対非効率的だよ~」

「いや、モノは試しだ。やってみないとわからないだろ?」

「えええ僕、実験台だったの? 明らかな失敗なんだけど」

「と、いう事がわかった」

「うう……」

 立とうとするも、どうやら腰が砕けているらしいレムレスは、よれよれと床を這って移動するに終わる。
しょうがないので担いでやったら、背中をぺしぺし叩かれた。……ソファーに捨てておこうか。
これ以上いたら、まずいことになりそうな気がするしな。

「ひどい、初めてだったのに……」

「女じゃあるまいし拘るな」

ぐちぐち拗ねている相手を、ソファーに下ろす。意外と相手は素直に降りた。

「相手が男性じゃなかったら拘らなかったよ」

「それに、あんまり取ってないだろう、魔力の方は」

「そうだけど」

「美味いもの食べて寝てたら戻るんだろう? もう寝ていろ」

 手近にあった卓上のクッキーを、無理矢理レムレスの口に突っ込んで黙らせる。
もごもごしている相手から離れると、置いてあった剣を手に取って、外へ向かった。
これ以上、変な気を起こしたくはない。

「じゃぁな」

 思っていたより、怒られなかった。……ような気がする。意外だ。
また近々来ても大丈夫だろうか。甘いモノを持ってきたら、ちょっとくらい吸わせてくれるだろうか。
やっぱり、味が好みだ。
そんな事を考えながら家を出ると、既に空は暗くなっていた。
 闇の中に浮かぶ、星々。闇の間を駆ける、刹那の彗星の光。対の力。
一番遠くて、でも切っても切り離せない属性なのだろう。
それを思うと、なんとなく満足して、いつもの洞窟へと足を向けた。

 よし、今夜はバニラビーンズたっぷりのケーキでも焼いてやろう。










シェゾがただの変態になりかけています。
おかしいな……私の中ではかっこかわいい闇の魔導師なんですが。
あと変態よりむっつりの方がいいですね。むっつり。

 しかも設定がどこのFateですか?みたいな事になってますね。
本当にすみません。かなり頭悪いです。
続編はさらにゲスくなる予定です。あーあ。

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