登場人物:シェゾ レムレス
CP傾向:シェレム
制作時期:2012年8月
8月25日、レムレスの誕生日祝い小説です。短いw
ちょっと年齢操作してあります。
あと既にくっついてる。
「誕生日を盛大に祝うぞ!」
そう、言い出したのは君だった。
珍しいね、去年は確かお菓子の詰め合わせだったと記憶しているのだけれど。
やっぱり今年は特別かな?
だって今年は……。
「おい、できたぞ」
自信満々の彼が、キッチンから顔を出す。
でも、ここは僕の家だったりする。
今日は僕の誕生日で、お祝いにディナーとケーキを作ってくれるのだそう。
彼が「盛大に!」なんて、言うものだから、たくさん人を呼んでワイワイするのかと思いきや、きっぱりと「二人がいい」なんて言われてしまって……大人気ないよね。
これでも彼は年上なんだよ?
しかも、せっかくお祝いに来てくれたフェーリやクルークも追い返してしまう始末。
ちょっと可哀想だけど、うーん……シェゾはちょっとシャイなところがあるから、しょうがないのかな?
ごめんね、二人には今度とびっきりの美味しいお菓子を持って、お礼に行かなくちゃ。
そんなわけで、誕生日。
ちょっと特別な誕生日。
そう、僕、レムレスは……今日で20歳になるのです。
食卓に並んだのは、ステーキにスープ、サラダ。そしてチョコレートケーキ。
シェゾは自称天才で、本当に大体の事はソツなくこなすのだけれど、中でも料理の腕はいいよね。
僕と会ったばかりの頃も、簡単なレシピだけで、とっても美味しいケーキを焼いていたし。
きっとこれも見た目の通りに美味しいと思うよ。楽しみだね。
「わぁ~、すてきだね! 嬉しいな、シェゾのご飯にケーキ! ケーキ!」
「ケーキだけ二回言うな」
「そう言わないで、作って貰うのが嬉しいんだよ」
促されるままに椅子に座ると、シェゾもエプロンを解いて、向かいの席へ座る。
……のかと思いきや、素通りして玄関へ。
あれ?
「せっかくだからな、買ってきた」
そう言いながら、戻ってきた彼の手にあったものは、ワイン瓶だった。
机に置かれた赤ワインの瓶は、透き通って宝石のように見えた。
けれど、僕の家に勿論ワイングラスなどなく、しょうがないのでガラスのコップで我慢。
見た目がちょっとワインのイメージと違うけれど、初めて飲むものだから、わくわくするね。
ありがとう、シェゾ。
作ってくれた君と、祝ってくれる君と、わくわくのプレゼントをくれた君に、感謝を……
チン、とコップを重ね合わせて、ディナータイムは始まりを告げる。
素敵なグラスではないけれど、そんなの関係ない。
僕は今、とてもとても幸せだよ。
幸せな幸せな、二人だけの誕生日パーティ。
その空気が崩れるのは、意外と早かった。
「……う」
レムレスが不意に眉を顰めて絶句する。
想像を絶する何かが、きっと奴を襲っているのだろう。
ちなみに予想はしていた。
「ぷ…………」
だから、つい吹いてしまったのだ。
「シェゾ……あの……ね」
言いにくそうに、げんなりするレムレスを見て、俺はくつくつと笑った。
「味覚はまだまだお子様のようだな」
言わなくても分かる。
聞かなくても分かる。
これが読めていたのに、わざと甘口のワインを買わずに来たのだからな。
このあたり、自分の性格は悪いと思うが、予想通りで安心したので良しとする。
少しくらい悪戯したっていいじゃないか、それにこういうのは経験だ。経験。
「ワインって、にがすっぱいんだね。思ってたより、あんまりかな……」
「そう言うと思ったぜ」
気を良くして、もう一度、席を立つ。
赤ワインは、言わば自分用だった。
ステーキにするなら、これはないとな。それにお洒落だしな。俺には赤ワインが似合う。
まぁ、今はそれはいいとして、だ。
レムレス用に買っておいた酒を取り出す。
琥珀色に輝く、透明の酒。
それを机に置いた。
「これはなあに? ……みゅーと・ぴとにぃ?」
「蜂蜜酒だ」
「は、はちみつしゅ! わあぁ、飲みたい! 飲みたい!!」
ぱぁっとレムレスの顔が輝く。
さっきのワインでの意気消沈は何だったんだ。流石に赤ワインに失礼じゃないか?
蜂蜜酒も別名はハニーワインで、ワインだぞ……と。
「そのワインは俺が飲んでやるから、こっちに貸せ。あと注いでやるからコップ追加で持って来い」
「はーい!」
レムレスがやたら嬉しそうで、何か照れる。
でも、喜んでもらえたなら何よりだ。
こういうのも、悪くないな。
結局、蜂蜜酒はレムレスにバカウケだった。
飲んだことがなかったので、一口貰ってみたら、だだ甘かった。
……のだが、酒は酒だ。飲めば酔うのは当然だ。
「おい、お前飲みすぎだぞ」
「ひゃあい、らっておいひいんらもの~」
やばいぞ、既に口調が可笑しい。しかも無駄にケラケラ笑っている。
因みに俺の酒癖は説教したくなったり愚痴りたくなったりなんだが、流石に我慢している。
一応、今後の為にレムレスの酒癖でも見ておくかと思ったのだが……早速説教したい。
絶対聞きそうにないがなちくしょう。
しょうがないので、ソファーに移ってうだうだする。
たまには後片付けも後回しでいいだろう。
レムレスは隣にぴったりくっついて、鼻歌をうたいながら左右に揺れていた。
「初めての酒はどうだ?」
「うーんとれぇ。ふわふわひて、ほうきやないのに、おそらをとんれるかんり?」
「……うわ。頼むから吐くなよ」
「らいひょーうらよー」
「……」
ヘラヘラ笑いながらあれやこれやと喋っていたレムレスは、暫くすると、そのままこてんと倒れて、膝の上で眠ってしまった。
その様子をみて、やっと落ち着いたかと息を吐きだす。ああ、説教したかった……。
俺も少しだけ眠るか、と考えながら、マントを手繰り寄せて、その肩にかけてやる。
俺はレムレスにくっつかれてるので寒くない。寧ろ暑い。どける気はないが。
俺も随分柔らかくなったものだと、鈍る思考でぼんやり思う。
こんな近くに他人を置いて、安らげる日が来るなどと、遠い昔には考えた事すらなかった。
孤高に生きてきた俺にとって、レムレスは『希望の彗星』だった。
まだそれが、この先の未来に、何をもたらすのかは、分からない。
だが
「Happy Birthday 俺の彗星」
お前が生まれて来たことには、感謝しよう。
お粗末さまでした。
余談なんですが、蜂蜜酒飲んだことありません! …………てへ。
今度見かけたら買ってみようと思うのですが、おそらく途中でレモン汁ぶちこむ気がします。
ところで、「俺の彗星」を言わせたかったんですが、絶妙にきもちわるいですね。
でもシェゾさんを責めないで下さい。悪いのは……まぁ、私ですね。
本当にすみませんでした。楽しかった^^^
タイトルはまんまですが……見てるだけで私はげほげほします。(砂糖だけは苦手!)
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