登場人物:ゲブラー、ケセド
CP傾向:ゲブケセ(左右固定)
執筆時期:2020年11月~2021年2月
ゲブラー×ケセド(左右完全固定)の短編です。
そろそろ中規模くらいの話だったら書けるくらいまで状況把握ができてきたので……早速……
と、書いたら……いちゃいちゃピロートーク(でも何もしてない)
で過去と未来についてgdgd語り合うだけのゲブケセになりました。
「本当に驚いたんだよ。君に攫われたあの時」
事が終わり、ベッドの中でまどろみながら喋る。言わばピロートークだ。
今回も殆どゲブラーの手の上だったが、嫌な気は全くしない。考えれば最初からそうだったのだ。
「今更、何の話だ」
「昔、君とカルメンに逢った時の話。今日その話をローランにもしてね。ちょっと懐かしい気分になったんだよ~」
改めて口にすると、なんだかとても運命的にも思える。カルメンに惹かれたのは勿論だが、赤い霧として女性ながらに軽々と己を抱えるゲブラーもかっこいいと感じたのだ。
彼女らなら世界を変えられる。本気でそう信じた。
「はぁ?」
「あの時の君、がさつそうだったけどすごくカッコよくも見えたなぁ」
「こっちは目標間違えて大騒ぎだったんだぞ、高そうなスーツを来てへらへら笑ってる青い髪の偽善者面の奴なんてそういないだろ」
「ひどいなぁ……。でも、あの時間違って攫ってくれたから、俺が今ここにいるんだよね。だから攫ってくれてありがとう」
「嫌味か?」
ブラウスを一枚羽織って、座ったまま煙草を吹かしているゲブラーにジロリと睨まれる。
「違うよ~。君に逢えて良かったなって、そういう話のつもりだよ」
「その後にあんな惨劇になるのにか?」
「うん。……それはもう、過去だから。今はとても、幸せだから」
みんな色々失敗して、後悔して、襲撃されて、ぐちゃぐちゃになって、死んで、蘇って、虚無を繰り返してここまで来た。
確かに、あの時のアンジェラは思い出すと腹が立つが、再び世界を取り戻したいと、新たな生を掴みたいと思う気持ちは本物だ。
「命をかけて人の体で戦うことになってもか?」
「うん。……戦うのは怖いけど、ね。君が傍にいるから」
躊躇いなく、口にする。以前の自分なら、絶対にできなかっただろう。
そんなケセドの髪を片手で梳きながら、ゲブラーは呟いた。
「お前は本当に変わったな」
「そうだね。ロボトミー社にいた時は、こんな日が来ると思ってなかったから」
中層管理者として同じ階で働いていても、彼女と自分の差は大きかった。
そもそも前を見て戦っている彼女と、仲間を失いたくないのにどうすることもできなくて、心のない励ましをするだけの中身のない自分。憧れはあれど、それが返ってくるなど考えた事もなかった。
自信というものは人を変える。変えられる未来があると思える事は、ケセドにとって大きな転機だった。閉じられた館内なのに、今は世界が開いて見える。
「ねえ、ゲブラー。もしいつか、ここを出て、外の世界へ行けるとしたら、もう一度俺を攫ってよ」
気づけば撫でている手の温もりを感じながら、ケセドは詩を唄うように軽やかに語りかける。
一度目の生でも見れなかったような、綺麗な海や碧々とした山を一緒に見てみたい。きっとあの汚れて常にどんよりとした空だって、この計画が上手く行けば青く澄み渡るはずなのだ。
「ハァ? そんなもの、お前がついてこればいいだけの話だろう」
「俺が君の後をついていけると思うかい?」
ちょっとずるい言い方だっただろうか。
だが、ゲブラーは一瞬きょとんとすると、すぐにふうと溜息をついた。
「……。ったく、しょうがないな。じゃぁ、手ぇくらいは引いてやるから、それでいいだろ」
「わ~い! ありがとうゲブラー。やっぱり君は優しいよね」
喜びを示そうと抱きつこうとしたら、その前に枕を顔に押し付けられた。
「んむ」
「鬱陶しい、さっさと寝ろ。私ももう寝る」
ベッドに腰掛けていた彼女が、再びベッドに入ってくるのが温もりでわかる。
枕が降ろされて開かれた視界には、既に寝る体勢のゲブラーしかいなかった。
ケセドもうつ伏せでごろごろしていた体勢から、ゲブラーに向き合える方へ体を動かす。
既に上向きに寝る体勢のゲブラーの横顔を見ながら、いつもL社ではこの横顔を見ていた事を思い出した。
目線も合わせてくれない、できる限りの無視をされていたあの頃と今とは違う。
ただ、あの時も今も、誰よりも眩しい存在だったのは確かなのだ。
隣にいたい。それがもっと隣にいたいになって、今はずっと隣にいたいになった。もし未来がないのだとしても、それだったら何も恨まずにいられるほど幸せじゃないか。
「……うん。あと、もしここから二度と出られなかった時は、最期は君の隣で迎っんぶ!?!」
真面目な話のつもりだったのに、不意に脇腹の上に手刀が振り下ろされた。めちゃくちゃ痛い。
「くだらない事を考えてないで、お前も寝ろと言っている。いいか、そんな事にはならない。わかったか」
「げほっ……えほっ、げほごほごほ! いき……こほっ……なり……ンンン……これ……は、げほん! キ、ツい……よ」
「馬鹿な事を言うからだ。このアホ」
むせているケセドを歯牙にもかけず、ゲブラーは思考する。
この世界に神はいない。いたのだとしても、もう既に捨ててしまっているだろうし、残っていたのだとしたら不幸を嗤って遊ぶ神しかいないだろう。
けれども、ゲブラーは信じていた。まだ信じていた。それでも世界に愛は存在していると。例えその為に血が流れていようと、消えてはいないのだ。
ここに来て、やっと思い出した。カルメンが望んでいた世界を。何故かL社に居た時は、心が燃え盛っていて忘れていた。そんな燃え盛るゲブラーは、ケセドを見て思い出したのだ。海の底のような、あるいは深い空のような髪色をした彼は、懐かしい笑顔で目覚めた。
長い悪夢から覚めたような、それでいて新しい自分が始まったような奇妙な気分で居たゲブラーは、そこでやっと安定したのだ。
次こそ間違えない。心に燃える炎を消しはしない。だが、その矛先も間違えない。
ようやく落ち着いたのか、スヤスヤ寝息を立て始めるケセドを横目で見ながら、ゲブラーも目を瞑る。
明日はある。勿論、掴むためにだ。
そうして、一瞬にして意識を手放した。
インスピレーションで出してきたお題は『わかったか、あほ』だったんですが
私だけ楽しいで終わった。ちなみに推敲ほとんどしてません!
誤字脱字、誤表記は見つけ次第直しますメンゴ!
ちょっとルイナちゃんがあまりにも難しいのと
進行できないバグが重なってちょっと離れてたんですが
周囲に私しかLoRをやってないので語るに語れず色々教授するからやってくれ!
とKさんに言われまして、やっとビナ姐が復帰するところまで来ました……。
赤い霧超かっこよかったけど強くて怖かった。
ケセドおまえよく生きてるな?(誘拐されただけだもんね)
ちなみに一枚絵でイェソドが難しい顔で紙と睨めっこしてる隣でコーヒーすすってる青いやつと
わーわーやってそうな隣でボケェーっとしている緑のやつは
まず白衣を着ろ。いや緑は実験体志願者だからいいとして青いの何してんの?
コーヒー煎れる役なの???とか思いました。
ゲブネキもかっこいいし
ビナネキもトラウマを彷彿させるかっこよさだったのに……
ルイナちゃんの男性の右率はほんとヤバいですね?
気をつけろよ、ローラン……。
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