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シカエマのSSまとめ(シカルド×エマネラン)

制作時期:2024年1月31日

シカエマ140字のお題を借りてきて書いた140字じゃない(笑)シカエマの短文集。
情事後とかキワドイ描写もあるので苦手な方は見ないように。
くっついてるかどうかは好きにご想像ください。

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『諦めきれない』
 
 貴族と海賊だなんて、身分差にも程がある。高嶺の花だなどと思ったことはないが、実際はそうなのだろう。
 だが、いつか離れゆく時が来たとしても、こうして何度も顔を合わせて、隣で肩を並べている『現在』が変わることはない。

「何だよ。さっきからオレ様の顔を怖い顔で睨みつけてさぁ。何かついてるか?」

 顔を不用意に近づけてくる男の額を、そのまま指で弾いてやった。気を許し過ぎだバカ。

「いってぇ、何するんだよこのクソ海賊!」

「隙ありすぎ」

 鼻で笑ってやれば、男は悔しそうに何か喚き立てはじめるが、それでも距離は変わらない。それが心地よかった。
 いつか、離れる日が来たら、やはり奪いに行くべきだろうか。
 海賊は、まだ諦めきれない。





『酔っぱらいの戯言』

「ほら、帰ったぞ。ったく、歩けなくなるまで飲みやがって」

 千鳥足のエマネランに肩を貸して、なんとか船まで帰ってきたシカルドは、ようやく自室のベッドに男を下ろした。一回り体躯の大きい男は抵抗はしないものの、道中では陽気に騒いだり歌ったりで、辿り着くまでに散々な目に遭った。
 最初はシカルドも気分良く酔っていたのだが、もう少しで足を踏み外して海に落ちそうになり正気に返ってしまった。

「ったく、ちくしょう。飲み直してやる」

 棚から秘蔵のワインとグラスを取り出すと、コトリと卓の上に置く。だが、耳心地の良い栓を開ける音と共に、エマネランの声が響く。

「よぉし! こっから飲み直すぞーー!!!」

「うるさい寝てろ! お前の分はねぇよ! この酔いどれ貴族!」

「ケチくさいこと言うなよな~。9口、9口でいい~」

「多いわバカ!」

 と、言いつつ口を封じるためにワインを注いでグラスを押し付けてやる。さっさと寝落ちてほしい。

「わ~、サンキュー! ん……っく。うんまぁ~~い!!!」

 一口貰ってきゃっきゃと喜びながら子供のようにベッドに帰っていく様子を、ため息をつきながら見やる。そしてワインを一口。エマネランは枕を抱えながら機嫌良さげにごろんごろんと転がっている。

「なぁなぁ、シカルド~、構えよ~」

「喚くな、寝てろっつっただろ」

 あらゆるウザい要素がふんだんに詰まっていて頭が痛い。いっそ縄でふん縛って床に転がしてやろうか。

「オレ様は今、最高に気分がいいからな~! なぁんでも言う事、きいてやるぜ?」

「は……???」

 その言葉に、思わず男は真顔になった。対する男は、へらへら笑いながら枕に顔を半分埋めている。あざとい。正気か? いや、酔いどれだ。何かがブチリと切れる音がした。

「めんっどくせえな」

 こちらの気も知らないで、好き勝手してくる相手に、何も全良心で合わせる事はない。男は注いであるワインをごくごくと呷るように飲み干すと、空のグラスを卓に置いて席を立つ。ベッドの男に近づくと抱きしめている枕を奪い取り、足元に投げつけて、軋むベッドにゆっくりと膝をかけた。





『愛せるなら愛してみろ』

 別に付き合っているわけではない。ただ漠然と、隣にいると気が楽なのでいたというだけ。愛してなんかいないし、恋もしていない。
 なのに、隣の男は面白くなさそうに膨れ上がりながら「愛が足りない!」などとほざいている。酒の肴に聞いていた同僚のドロドロ身内話のような話だ。女じゃあるまいし、と思うが手を出したかといえば手は出しているのだから、放ってはおけなかった。

「ちょっと手荒くしちまっただけじゃねぇか」

「ぜんぜんちょっとじゃないし! あっちにもこっちにも痕が残ってるし、下半身は怠いし、股は気持ち悪いし、服は破れてぐしゃぐしゃだし、肌はパリパリだし、目は腫れてるし、喉も痛いんですけどォ!?」

 まぁ、昨夜しこたまベッドの上でヒイヒイ言わせたのだ。若さなんてものを理由に、それなりに無茶をした気はする。

「だから、こうして湯を借りてきてやっただろうが」

「ぐうぅ。次からちゃんと起こしてから行けよな。起きた時にいないと心配すんだからな……」

「へいへい」

 湯に浸したタオルを程よく搾り、むくれている男の体を拭きにかかる。船にシャワーなどという、水を使える高級なものはない。怒っている通り、少しやりすぎたかと思うくらいには行為の痕が残っている。しでかした意識はあるので、それはもう丁寧に体を清めていく。施されるのには慣れているのか、当然のように奉仕させているが、まあ良いだろう。

「次からはちゃんと加減しろよな」

「んー、覚えてたらな」

「お、おまえ~! オレ様が大人しくしてるからって調子に乗るな! こっちが挿れる方でもいいだぜ!? 体格的には負けていないし、その手の経験だってあるんだからな」

 高圧的に上からエマネランに睨まれる。全く怖くはないし、恐れることもない。

「ア゛ン!?!!!?!!!!!」

 だが、その手を止めて大声で啖呵を切っていた。それは聞き逃すことができない。

「びえぇ」

 秒で怯えるエマネランの腕を掴み顔を寄せる。別に手荒くしたいわけではないし、いじめてやりたいとかいう気持ちも……いや、それはちょっとはあるか。けれど、抱きたいから抱いているわけで、そこだけは譲れない気持ちが強かった。

「そういう事は俺とやりあって勝ってから言え、このボンクラ」

「む、そこに喧嘩の強さは関係ないじゃん!」

「大アリだ! 俺より弱ぇヤツに抱かれるとか、ぜってぇ嫌だからな!!」

 そのまま抱き寄せて、まだ痕が残っている肩口に歯を立ててわからせるように口づける。流石に一発くらいは反撃されたりしそうなものと感じるが、育ちが良すぎるお貴族様から手をあげられた事は一度もない。

「この傲慢強欲ヤリチンクソ海賊~!!!」

「ハッ、愛せるなら愛してみろよ。その後、お前がどうなるかは知らないけどな」

 そう言ったあと、深く口付けをしたら大人しくなった。





『夢だったらよかったのに』

 あの日、さよならの時の事だった。
 なんだかんだで苦しくも、次第と未来が明るく思えて、清々しく終わる、そんな旅だった。ので、これからもう隣で並んで歩くことはなくなるのは少しばかり寂しい。この繋がった縁は消えないし、連絡用のリンクパールは生きている。
 けれども、ここからはまた、違う道だ。

「じゃ、またな」

「ああ」

 片手をあげて、はにかむように笑むその中に、寂しさのようなものを感じ取って、つい手を引いていた。そのまま、考えなしに手の甲にキスをした。
 一瞬、触れるだけの短いものだが、意図はそれで伝わるだろう。

「ぉわっ!?!???」

 なんとも色気のない声が響く。後ろのオノロワから視線を感じるが、そこまで棘々しくもなく安心した。

「また、な。意味を知りたきゃ、会いに来いよ」

「え、なに。こわ」

 口ではそう言っているが、腕は取られたまま、振りほどく気配すらない。見かねたオノロワに帰りを急かされるまでそうしていたのだから、脈はあるだろう。
 さて、夢を夢で終わらせたくなかったのは、一体どちらなのだろうか。





『こっちの台詞です』

 いつもの言い合いが喧嘩に発展したのはどこからだったか、それでも進行方向を同じにして歩いているのだが。

「ちょっとは気ぃ使えって言ってるだけだろ! お前には配慮が足りなさ過ぎる」

「なんでお前に気を使わなくちゃなんねぇんだよ!」

「オレ様は繊細な貴族だぞ! もっと大事に扱えっての~!!!」

「そもそも、おまえの事なんてどうとも思ってねぇからな!」

「はー!? それはこっちの台詞だっての!」

「……」

「……~っ!!!」

「なんでそこで泣くんだよ、ちくしょう」

 いや、咄嗟に口から出た言葉で、本意ではないのだが。そんな顔をされると流石に焦りが出て、ため息をつきながら頭を掻いた。
 これは完璧に負けかもしれない。





『オオカミさんの味見』

「いや、送ってく」

 仲間内で気持ちよく酒盛りをして、明日もあるからとお開きになったところで声をかけた。

「そんな心配しなくたってオレ一人でも帰れるぜ? お前より道には慣れてないかもしれないけどな~」

 今は宿を取っているのを知ってはいる。場所も知っており、さほど遠くもない。

「いくらリムサ・ロミンサの夜が明るくても、てめぇみたいに弱そうで酔ってフラフラんなってるお貴族様とかただの餌だろうが」

「まだフラフラしてませ~ん! オレ様はもっと飲めるんだからなー!?」

 海に向かって吠えているあたり、完全に酔ってはいる。が、まぁ声をかけた男もそれなりに酔っていた。後ろから肩に手を回すと、同じ調子で声をあげている。

「へえ、じゃぁ飲み直そうぜ。酒を買い足して行くぞー!!!」

「えっへへ、良いじゃん。わかってるぅ~」

 その後、両手に持てるだけの酒を買い、肩を組みながら夜の街を歩く。両方ともに何かこう気が大きくなっていて、酒で気分は最高に良くて、夜が更けこむまでしこたま飲んだ。
 ふと男が目を覚ますと、しっかり酔い潰れてぐーすか眠りこける男が隣にいて、あの時どうして声をかけたのか、ほんのりと思い出す。心配していないわけではないが、まぁ下心というやつだ。酒ですっかり流されていたが、ここに来て思い出してしまった。

「俺の勝ちだなァ、悪く思うなよ。エマネラン」

 そうして、緩んだ首元にゆっくり歯をあてた。





『結論はとうに出ている』

「何をそんなにイライラされてるんですか?」

「え? ……そんな風に見える?」

 なんだか今日は上手く行かない。
 昨日寝る前に、少しだけ声を荒らげて喧嘩みたいな事をしてしまったからか、気がはやってしょうがない。

「はい、見えます。いや、これは……不安? 焦っているような感じでしょうか」

「嘘だろ。マジか。そんなつもりなかったんだけどな~」

 だが、オノロワにも見抜かれているなら態度にも出ていたのだろう。申し訳ないようなもどかしい気分になる。

「大体は見当がつきますよ。そんなに気になさるなら、会いに行けばいいじゃないですか」

「ううっ、確かに暫く会ってないんだけどさ……なんか、癪じゃん」

 ここ暫くは声だけのやり取りで、寂しくないと言えば嘘になる。そんな些細なすれ違いから喧嘩に発展したなど、なんで知っているのだろうか。
 それで謝りに行くとか、なんかムカつく。エーテライトを使うのだって無料ではないのだ。

「今はエマネラン様の方が身軽ですし、屁理屈こねない方が良いと思いますけど」

「でもさぁ、それにオレたち、別に付き合ってるとかじゃないしさ。毎回オレばっかり行ってる気がするし」

 たまには来てくれたっていいじゃん。と言ってやったのだ。今だって思っている。だからむくれているのだ。

「なら、イシュガルドにお呼びしますか?」

 オノロワの至極当然ともいうようなさり気ない提案に、一瞬だけ脳が止まった。

「いや! 待て、オノロワ! まだ早いだろ!?」

 だって家族には言ってない。海賊の友達がいる事は言ってあるが、まさかそんな、紹介とかしていないし。オノロワはわかってくれてるけど、まだそこまでの仲じゃないし。

「いい加減、くっついてくれませんかね。シカルド様~! シカルド様~!!!」

「アーーーっわわわわわ、待って、オノロワーーー!!!!!」

 焦って止めるが既に遅し。オノロワは止まらなかった。





『朝食を御一緒しませんか』

 貴族社会というものとは生涯縁がないだろうと思っていたが、意外な所で繋がった縁のまま、エマネランの住む屋敷にまで来ることになった。
 復興中であるらしいが、石造りの重厚なイシュガルドの街は観光目的で来るなら悪くなかった。この寒さは堪えるが、凌げる温かい家があるなら話は別というものだ。
 暖炉の火が暖かくパチパチと燃えている部屋で、静寂に包まれながら穏やかにホットワインを酌み交わす。
 いつもバカみたいにうるさい男も、実家となればそれなりに落ち着いてリードしたいらしく、今日は貴族の顔をしている。やたら世話を焼いて来るのは構いたいからなのだろう。
 就寝の挨拶をして、出ていく所を捕まえて腕を引き、客用の広いベッドまで連れて行くと、か細い声で「今日はしないからな」なんて釘を刺してくる。
 だが、手は振りほどかれる事もなく、素直にベッドに入り込んだ。

「一緒に寝るだけならいいケド」

「はいはい、姫様の仰せのままに」

 毛布を被せながら、頬にキスをしてやる。とても気分がいい。

「む、オレ様のことかよ。今日だけだからな~?」

 それほど機嫌が悪くない事など、既にお見通しだ。

「明日はさ、うんと早く起きて雲海から昇る朝日を見せてやるよ」
「そりゃ悪くねぇな」

「それで、その後にさ」





『寝惚けてた、寝惚けてたんです!』

 どうにも寝心地が悪くて目を開けたら見知った顔が頭上にあった。
 まぁ、何があったか覚えてはいるし、察せないわけではないのだが、ぎっちりと抱きしめられていて、動きにくかった。

「……あに、うえ……」

 むにゃむにゃと寝言を呟いている男は、すりすりと頭に頬擦りしてくる。目の前に昨夜つけた情事の痕が映りこむ。こんな男に欲情していたのかと思うと何とも言えない気持ちになってきて、くっついてくる顔を手で押して引き離した。

「お前、俺を誰と間違えてやがんだ?」

「……うんにゃ?」

 誰と言うまでもないのだが、とりあえず起こす。甘えてくる姿は可愛いか可愛くないかでいえば可愛い。こんな時代もあったのか。そう考えると今でもこの男はどちらかと言えば弟のような存在だと思う。ま、兄弟がいた事はないのだが。

「あ、あ~~。オハヨー……シカルドじゃん」

 まだ半分寝ぼけていそうだが、夢で何をしていたのか覚えてはいるらしく、少し気まずそうに気恥ずかしがる姿を見て、何か目覚めてはいけない気持ちが立ち上がる。

「よぉ、おはようございます。朝から誘ってんのか!? ァ゛アン!?!!!!」

「んなわけないだろ。って、うえ乗んな! ぎゃ、なんでおっ勃ててんだよ!? 昨日いっぱいしただろー!?!」

「うっせえわ!!! 俺は悪くねぇーーー!!!!!」

 朝から二人の男がギシギシとベッドの上で暴れ始める。隣の部屋には確実に抜けていそうだが、今更この船で隠すことなどないだろうと開き直った。



 結局のところ、朝から元気に致してしまった。顔を見たら萎えるかと思ったが、明るいのも悪くはない、というのが感想だ。
 更に気怠くなってしまったが、そうも言ってられないとベッドを出た。ベッドから出られそうにないエマネランは当然怒っていたので、支度をしながら話を変えたりした。何をどうしたら兄と間違う要素があるのかということだ。そしたら、昔の話をしてくれた。

「小さい頃さ。怖い夢を見た時とか、寂しい時は兄上が一緒に寝てくれたりしてたんだ」

「へえ、随分と可愛い少年時代だな」

「お前に言われるとすんごい複雑な気分なるわ、もうちょっと言う事あるだろーが、ばーかばーか、バかいぞく~!!!」

 全然効かない捨て台詞を吐いて布団を被り、籠もっていったのを見て捨て置く事にした。
 しかし、ここまで甘ったれで隙がありすぎる善良な貴族に育てあげてくれたのは、間違いなくフォルタンの家だ。これなら兄という要素も大きく関わっているのだろう。そういうものに間違われるのは悪くないなと思いながら、一日を始めるために部屋を出た。





『オレの半分』

 気がつけばぽっかりと穴が空いていた。
 少し前まで満たされていたそこは、今は空洞だった。
 満ち満ちていた時の事を思い出すと、あの顔が浮かんできて、どうしようもなく切なくなる。
 こんなはずではなかったのに、本当に困った。
 ああ、楽しかったなぁ、なんてしみじみと過去を振り返る。
 一瞬であったし、辛く険しい旅だった。
 目標もおそろしく高くて、そんな役が務まるのか少し怖かったが、あの時はあの男が側にいて、互いに言い合って競っていたら越えていたのだ。
 いつの間にか心身を満たして、そして当然のようにまた分かたれてしまった。
 また隣を歩きたい。そうするには、どうすればいいのだろうか。
 なぁ、お前もこんな風に、考えてくれていたりはしないかな。





『長く一緒にいた影響』

「おまえ、そんな礼儀正しかったか?」

 ふと仲間の海賊に問われてぎくりとした。
 貴族の作法なんて知るわけがない、のだが……身近なところで最近みた記憶がある。

「まぁ、その方が今後の俺たちには必要な要素なのかもなぁ」

 なんて、変化を笑ってくれてはいるが、乾いた笑いで返してしまった。
 いや、だってあいつが、ああしろこうしろこれはするなとか言うから。



「エマネラン様、最近ちょっと粗雑ではありませんか?」

「え、まじで」

 それを聞いて思わず身が竦んだ。
 貴族として生まれつき、型にとらわれたくないと言いながらもなんだかんだで教養はある方だと思っている。
 何でも華麗で美しく、物腰も靭やかに、穏やかに。兄が父を目指しているなら、エマネランは母の優雅さを目指していた。
 それが真反対の形容をされているのだ。
 どこに影響を受けたかなんて、考えなくてもわかる。
 いや、だってあいつが、ああしろこうしろこれはするなとか言うから。





『そんな顔して言われましても、』

 月明かりが一筋だけ射し込む、暗い船室で、男は男を壁の間に閉じ込めていた。
 この男が酒も入っていないのに、あまりにも堂々と夜に海賊船までやってくるものだから、流石に警戒心がなさすぎるだろうと脅していた。あんまり海賊を舐めないほうがいい。この国のルールに則っていたとしても、根は海賊である。
 すると、この男は「だって、おまえがいる船だし」などとのたまって。
 バカか。そのアテにしている男が、お前を食い物にしたい狼であると何故考えないのか。しまいにゃ食っちまうぞ。
 そういう意味でちゃんと告げてやった。そういう目で見ることもあるし、夜に来ることがどれだけ危険か、懇切丁寧に教えてやった。
 ついでにご自慢の――自慢された事は特にないが――耳をかぷりと噛んで、耳たぶをねっとり舐めてやる。これで横に逸れることなく真意も伝わるだろう。

「で、お前はどうなんだよ」

 腕と壁の間で縮こまっている男に確かめるように聞く。返答次第でどうなるかなんて、少しマセた子供でも分かることだ。
 顔色は伺えないが、ちゃんと動揺している事はわかる。

「お、オレはお前の事なんて、これっぽっちも好きじゃ……ないし」

 心が全く籠もっていない。なんでここで虚勢張ってんだよ。

「でも、お前と話してるのは好きだし。一緒にいると、楽しいし……うえぇ」

 その表情を見れば問いただすのも野暮だと思った。そういう事かよ。

「はいはい、まだ手は出さねぇよ。だが、夜には気をつけろよ」

 決心がつくまで、もう少し待とう。男はそう思わせるような顔をしていた。





『だいたいあいつのせい』

 喜ぶ時は隠すことなく、オーバーなくらい喜ぶし、怒る時は全身の毛を逆立ててるんじゃないかと思うくらい怒る。
 哀しむ時は意外と空気を読んでいたりするが表に出やすい顔をしていて、楽しい時は全力集中するが如くめいっぱい楽しむ主義なようだ。
 まぁ、色々とそういう面でも息があっていたし、互いに何かと文句を言いやすかったのもあり、今ではそれなりに以心伝心だ。
 いや、まさかだろ。十年以上一緒の船に乗っている海賊でもなし、親同然のおじきでもなし、たかがつい最近、偶然レベルで隣にいただけの男にここまで関わること、あるか?

「なぁなぁ、聞いたか? オレの相棒がさ、なんか南の島ですんげぇコトしてるらしいんだわ」

 今日もにこにこ、隠すことなく上機嫌なあいつは、こっちの心境もお構いなしに勝手に会いに来る。予定を入れずにあけておいたと言えばそうなるのだが。
 やれ夏の祭りに参加するだの、冬の祭りに参加するだの、何かとつけて直ぐにイシュガルドからこの男は飛んでくる。毎回、断らないのもあるのだろうが。

「一体次は何なんだ」

「遊びにいこーぜ! 船出してくれよ」

「そんな用事でホイホイ海賊船出させんな」

「何だよ、お前も気になるクセに~」

「行かねぇとは言ってないだろ」

「やった、じゃぁオレ船とってくるわ」

 そしてまたこうなるのだ。
 正直に言ってウザったい時もあるし、心底腹が立つ事もあるのだが、エマネランは距離感を保つのが上手いし、何より一緒にいて楽しいというのはある。しょっちゅう碌でもない事に巻き込まれたりもするが、そういうのも今では悪くないと思っている。






『諦めきれない』……ジャブです。
『酔っぱらいの戯言』……光と闇が両方そなわり最強に見える系の話。
『愛せるなら愛してみろ』……勝てないからやらない話。DVじゃないですか……いや、合意です。
『夢だったらよかったのに』……少女漫画かよ。馴れ初めが好き。
『こっちの台詞です』……短い。
『オオカミさんの味見』……また酔っ払いがいる。
『結論はとうに出ている』……オノロワとエマネランの話。
『朝食を御一緒しませんか』……シカルドが家に来る話。
『寝惚けてた、寝惚けてたんです!』……勘違いついでに男が盛ってる話。
『オレの半分』……誰もが見たくないポエム。
『長く一緒にいた影響』……無自覚が自覚する話。
『そんな顔して言われましても、』……こういう馴れ初めを書くのが好き。
『だいたいあいつのせい』……イベントでつるんでるけど、引っ張ってくるのはエマネランがしてそうという話。
シカエマなさすぎたので何書いてもいいけど色んなパターンあるよね!
馴れ初めもくっついた後の葛藤も好きだし長くは無理だけど書いてみたい。
思いつく限り書いてみたいけどお題があったほうが書きやすそう!
とりあえず書け!!!みたいなノリでやりました。
面白さ?そんなのは知らん……。

そんなにパターン書けた気はしないけど
この世のシカエマ要素を増やしたかったのは本当なんだ。


お友達ください。


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