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寄ってきたお前が悪いんだからな(シカルド×エマネラン)

制作時期:2024年1月21日

シカエマの口喧嘩が書きたーい!!!
というだけで書いた頭の悪い設定のシカエマ。左右固定。
本番はしてないけどちょっぴしえっちなシーンはあります。
普通にシカルドくんがエマネランを襲っているので、対等な二人がいい!
という方はお気をつけください。
何か色々設定とか間違ってたらごめん……。



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 天気晴朗なれども波高し。船首がざぶざぶと波をかきわけ、ゆったりと視界が上下に揺れ動く。空は白い雲が遠くまでまばらに散らばり、頬を撫でていく海風は軽くて気持ちがいい、今日は最高の航海日和だった。
 久々に海に繰り出したが、今回は血なまぐさい依頼ではないため空気が張り詰める事もなく、船員ものびのびと己の仕事に従事している。
 頭代行として実質船長を担っているシカルドもまた、皆の仕事ぶりを監督し、時に手伝い、まだ慣れない航海日誌をどう書くかなどと悩んでいたところだ。
 ばたばたとそこに転がり込んで来た乗組員から声がかかる。

「おかしら代理~! 密航しようとして海賊船に乗っちまうバカを見つけたんすが、どうすりゃいいっすかね」

「はあ? どこの馬鹿だ。運がないにも程があるな。そのまま海に捨てておけと言いたいが……」

 誰だそいつは、本当にバカすぎる。密航するなら行き先くらいは調べてあると思いたいが、とりあえず陸から離れたくて適当に乗り込むやつもいる。とりあえず海賊船に乗り込むような命知らずか、海賊への進路転換のための売り込みか、どちらかだろう。
 そういう輩をどうするかというのは、法にはない。つまりは頭代理が考える仕事というわけだ。呆れ返って連れてくるよう促した。

「それがおかしら代理も知った顔でして」

 それを聞いて、気が重くなった。

「嫌な予感しかしねえが、連れてこい」

 そうして足を引っ張られて連れて来られたのは、真っ青になって伸びかけているエマネラン・ド・フォルタンだった。






 話は数日前に戻る。
 それはイルサバード派遣団としての活動が終わり、終末の世界を乗り越えて、ある程度生活が戻った頃だった。
 気が付けば隣に居て、息を吸うように喧嘩をし、言い合い張り合いながらも最終的につるんでいた男、エマネラン。イシュガルドの四大貴族であるフォルタン家の次男である彼とは、今では全く違う道を歩んでいた。
 元々生まれも育ちも全く違っていたし、山岳国の貴族と海賊など普通に考えれば一生道が交わらなかったであろう組み合わせだ。事実、話しているとイライラするし、目につくし鼻にもつく。それでもあの時、隣で戦っていたのはあの男で、今となっては信頼と呼べるものものが認めたくはないがある。悪友とか腐れ縁的なものだろう。
 結局のところ、そんなこんなでリンクパールで交信するようになっていた。会えば喧嘩しかしないというのに、自然とこの流れになったし、特に不満はない。暫くは毎日のように寝る前にその日の事を互いに話したり、何気ない相談や噂話などで盛り上がった。なんだかんだで軽く言い合いもして、茶化したり馬鹿にされたりしながらも、気分よく日々を過ごしている事に気がついた。気軽に悪態がつける相手というのも悪くないものだ。
 しかし、ある日を境にシカルドが通信を控えはじめた。理由は次の航海が近い事を理由にした多忙であったが、問題はもちろん別にある。毎日のやり取りが嫌だったわけではない。
 理由の一つはエマネランに対して、ぼんやりと特殊な意識を抱いてしまった事だ。愛とか恋とかそんなものは知らない。が、ムラムラして自室で抜こうとした時、ふと顔を思い出してそのままオカズにしてしまった。
あの図体のあの男で!?と賢者タイムになってから愕然としたが、顔だけで言えば好みなのだと解釈する。男など所詮そんなものだ。
 そして理由の二つ目は、その後に奴に惚れた相手がいる事を思い出したからだ。いや、意識している異性がいる事は彼の口から知っていた。一緒に戦っていた時から情報だけなら聞いていた事だ。おまえの恋路など俺に関係あるのかと適当に聞き流していたのだ。その恋は全く叶っているように聞こえなかったが、愛を説いてみせるエマネランは少々自己陶酔しながらも悲しいまでに純粋だった。流石に夜のオカズにしているなど言えるはずもなく、なかったはずの罪悪感がムクムクと立ち始めたのだ。
 海賊とは奪ってなんぼ、という信念もありはするが、この場合は完全に不利であるし、そもそもこの想いを恋に発展させても何も益がない。その虚しさに気がついてしまったのだ。最初は下心などなかったはずなのに、気がついてからはそういう話がやたら耳に触る。
 そんなところに、大きな商会から護衛の仕事を受ける話が舞い上がった。断罪党として、近いうちに遠出の出航をする事となったのだ。それを理由にリンクパールを置いて過ごす日々が増えた。更に言えば、気持ち会話を減らすように努めた。
 何度も鳴るリンクパールを封じて寝た夜もある。今は会わない方がいい。そのうち忘れた頃にまた会うくらいでいいだろう。一気に距離を詰めすぎたのだ。お互いの為だと勝手に割りきった。忙しさで忘れる事もあった。
 そうして断罪党は航海の日を迎え、冒頭に至る。





 連れてこられたエマネランは船酔いをしているのだろう、暴れる事もなく気分悪そうに項垂れている。後ろめたそうではあるが、抵抗せずに大人しく従っているようだ。

「お前な、ここが何処だか分かってやってんのか? 海の上、しかも海賊船に密航だぞ、お前を守る法なんてないも同じだぜ。再び陸に上がれるたぁ、まさか思ってねぇだろうな」

 完全に命を掌握していると言って過言ではない。気分良くおもいっきり見下してやる。泣いて許しを乞うくらいなら考えないでもない。

「いや、でも……おかしら代行。流石に知人を海の上でバラすのは気分が悪いんじゃあ」

 海賊というのは案外身内には甘かったりするようで、連れてきた仲間にそっと諭される。

「……はぁ、ったくよ。これまでの俺たちならバラして魚の餌にするなり、ふんじばって奴隷商人にでも売ってただろうが。……ありがたく思えよ? ってか何とか言えよコラ」

 エマネランは地べたに這いつくばってうつむいたまま、一言も発しない。流石に様子が気になって、足先でこつこつと蹴る。すると身じろぎしながら絞り出すような声が聞こえた。

「うぇぇ……ぎもぢわるい。だずげで」

 そこには半べそをかきながら、完全に意気消沈している男が転がっていた。正直、こんな貴族は嫌だ。それでも必死に吐くのは抑えているのか、堪えるように震えている。これはひどい。

「どうします、おかしら代行? ふんじばって船倉に転がしておきやすか」

「いや、そうなると下なり飯なりで結局人手がいるだろ。ゲロまみれにされても困るしな。……酔い止めを出してやれ」

「いいんですかい」

 当然だが海賊が船酔いになるなどということはない。が、突然の高波で気分を悪くしたり、来客が突然舞い込むケースも考えて、今では酔い止め薬も常備していた。ただし、それなりに高価なのだ。よって使用する場合は許可がいるし、船員が使った場合は買い取り制だ。

「いい、俺が出す。まぁ、後からコイツから回収するが」

「なるほど」

「後は俺の部屋に閉じ込めといてくれ。と言っても自力で出てこれないだろうけどな」

「アイアイサー」

 船倉には牢として使える場所がなくもないが、衛生的に良いとは言えず、だからと言って他の船員たちの使う部屋に入れるわけにもいかない。あと鍵がついているような部屋と言えば、おじきから譲り受けている船長室だった。そも、目の届くところで監視しておきたいはある。
 それだけ告げると、床に沈んだ男に背を向けて仕事に戻った。





 頭代理として船長仕事に切りをつけてから、シカルドはようやく部屋に戻った。突然のことで驚いてはいたし、やることがあったので様子を見に行くのは初めてだ。というか自室だ。エマネランがいようが何も遠慮することはない。彼は船員から薬は飲ませてもらっているはずだが、あの後に部屋で吐いたりしていないかは心配ではあった。主に床やベッドの方だが。
 めちゃくちゃになってたら思いっきり殴ろうと心に決めつつ扉を開けると、そこは見慣れた船長室で、ベッドにはスヤスヤと気持ちよさそうに寝ている男がいた。ちゃんと律儀に靴も脱いで揃えてある。酔い止め薬が効いたのだろう、具合が悪そうだった顔はすっかり血の気を取り戻している。

「おい起きろバカ」

 軽く小突いて揺り起こすと、小さく呻きながらも目を覚ました。

「ん〜〜? ……ああ、おはよう」

 眠そうに目を擦ってはいるが、寝起きは悪くなさそうだ。

「おはよう、じゃねぇよ昼なんだよ! 海賊船に自ら忍びこむ貴族とかバカかよ!? このボンクラ、何しに来たんだ!!!」

 一気にガミガミとまくしたてる。知人でなければ間違いなく命を落としているコースなのだから説教くらいしないと気が済まない。

「うーん、そんな耳元で騒がないでくれよ、まだ少し頭に響く」

「おいコラ、もっかい寝ようとするな」

 もそもそと毛布を被り直そうとするのをひっつかんで止める。

「離してください、こちとら病人なんですぅー!」

「ただの船酔いだろうが」

「ただとかいうな、とてとてしんどいんだからな!? ……あ、でもさっきより気分いいな。ヒュー!さっすがは海賊の出す薬!」

 気分が良くなったのが心底嬉しいのか、男はいつもの様子を取り戻す勢いでガッツポーズをキメている。調子が良すぎる。

「ふざけんな、見ぐるみ剥いででも薬代は払ってもらうからな」

「はいはい、そんくらいちゃんと出しますよーだ。貴族サマ舐めんなよ~」

 こいつ、金くらいしか取り柄がないんじゃないかと思いながらも、一旦は引いておく。それより先につけておきたい話があるのだ。

「で? 何でウチに転がり込んだんだ。よしみだからな、殺しはしねぇが、くだらん話だったら見せしめに甲板に吊って船の飾りにしてやる事もできるんだぜ?」

 くい、と甲板の方を顎で指してやる。ここにこいつの仲間などいないのだ。それくらいは思い知ってから発言してもらいたい。

「うわ、野蛮すぎ。さいてー!!」

「うるせえ、さっさと吐け」

 こういうノリするヤツだ。めんどくさいが過ぎる。
 だが、少し考え込んでから、エマネランはつまらなさそうにぼそぼそと話し始めた。

「おまえがさ、連絡しても無視して出ないからだろー? オレ様、リンクパールが壊れたかとか、なくしたかとか色々心配して、オノロワも置いてリムサ・ロミンサまで飛んできたんだっての」

「……」

 少しむくれたような顔で言われて、思わず返す言葉に詰まった。放置した記憶はある。

「でも壊れたとかそんな話じゃなさそうだったからさ、聞いても答えてくれなさそうだったし、逃げられないように船まで追いかけて聞き出してやろう〜! て思って忍び込んだら、そこで船が出航したってワケ」

「タイミング最悪すぎだろバカか? 俺が助けなかったらどうなってたか、わかってんのか」

 考えなしの貴族らしい計画すぎて目眩がした。

「それはまあ、その時だろ。オレの見る目がなかったって事だし」

 つまりはシカルドがいる船だから、大事はないと判断したのだろう。なんだかんだで信頼されているようだ。気分は悪くないが、こういう男だからこそ危険視していたところもある。世界を滅ぼす巨悪に共に立ち向かったとは言え、断罪党は海賊だ。過去にそれなりにヤバい事も危険な事もしているし、基本的には襲って殺して奪う存在だ。それを少し行動を共にしたからといって、信頼しすぎなのだ。
 絶対にそのうち痛い目みるぞ、と痛い目を見させる側が思うくらい、この男の思考は花畑だった。それと同時に、この男を他の者に傷つけられたくないだとか、そういう願望もある。何かと矛盾しているのだ。だから会いたくなかった。
 こんな閉鎖された空間で、二人きり。誰も間に割りいるものはない。ついこの前までは、そんな状況でも気にしていなかった。それで良かった。

「あのなぁ……」

 それがどうだ。獲物が餌もないのに飛び込んできたのだ。

「オレのことなんで避けてるのか知らないけどさ、理由を教えてもらえるまで、死体になってでも船を降りてやらねえからな! 絶対居座ってやる〜!」

「やる〜! じゃねぇよこのボンクラクソ貴族!!!」

 ぎしり、と手をつくだけで軋むベッドに体重をかける。そのままぐずい、と顔を近づけると、久々に間近で見るエマネランの瞳が見え、すかさず唇を奪った。色々とごねるのは性に合わないのだから、もうこれは一戦やるしかない。
 びく、と少し肩が揺らいだのがわかるが、暴れたり抵抗はしないらしい。薄く開かれていた口の中に舌を入れて、軽く舌を突いて吸ってやるだけで口を離す。ちゅ、とあからさまなキスの音だけが後に残った。見やるとポカンとした顔の男がいた。ざまぁ、という気分だ。

「こっちから手を離してやろうとしたのに、海賊なんかの元に自ら転がり込んで来るからこうなるんだよ」

「どゆこと?」

「あ? もっかいしてやろうか」

「……いや。結構デス」

 行為がどういう意味なのかくらいは察せるようで、エマネランは口元を手で覆いながら俯いてかたまってしまった。だが、ここまで来るといよいよ引き返せないのだ。煮えきらぬ状況など作りたくもない。そのままのしかかると肩を押してベッドに縫い止める。こうしてしまえば、体格差で負けることもない。ギラギラ光るような気持ちを隠しもせず、蒼い相貌を見下ろした。

「言っておくが、ここまで来て自制心なんてあると思うなよ? 死ぬわけじゃねえ、殺しはしないが、せいぜい手荒く慰み物にしてやるさ。お灸だと思って甘んじて受けやがれ」

「ん?……え、え。それってオレ様のこと抱――」

 そこまで言って、エマネランは自分で言葉を飲み込む。

「まぁ、そういうこった。お前のしてるような可愛い恋愛ごっことはわけが違う。ここは既に食うか食われるかの世界ってわけだ。陸に上がったら綺麗さっぱり忘れて、尻尾巻いて逃げればいいさ。だが船の上にいる間は、俺がルールだ。覚悟しろよ」

「うえぇぇぇ〜!? マジかよ~!!!」

「マジだ」

 久々に悪い顔になり、興が乗ってきた。腕を押さえつけて体重をかける。抵抗は相変わらずない。危機管理意識どうなってんだこいつ。何をされるか、分かってないわけじゃないだろうに。

「えっと、お前、オレで勃ったりすんの?」

 上品でお綺麗なそのブラウスを、ボタンごと引きちぎって裂いてやろうかとしたところで、ばっちり目線があった。

「したから疎遠になろうとしたんだろうが、バカみたいに追いかけて来やがって」

 思わず目線を反らして舌打ちする。でなければ、こんな状況になるはずがないのだ。両足で体の動きを封じるように跨りながら、上品な手触りのブラウスのボタンを一つずつ開けて行く。ついでにベルトも抜き取った。

「あー、そっか。ふーん、なるほど。そういう事な」

「嫌に落ち着いてんな」

「逃げ場がないのは俺も一緒だし。うん、でも聞けてスッキリしたしな!」

 この状況で、へらりと男が笑う。いや、絶対に笑う状況じゃないだろう。本当にこのまま手荒く抱かれるとは思ってない顔をしているのが癪に障った。

「でも、全く知らないとかじゃないけど、オレそういうのされるの初めてなんだよなぁ」

「それで今更、引き下がるとでも?」

「そうじゃなくて。本当に俺でいいわけ?」

 質問が質問で返ってきて、口元をつりあげてしまった。はだけたブラウスの間に手を滑り込ませて肌に這わす。

「いいさ。お前は俺の下で無様に喘いでろよ」

「はぁ!? 痛くはすんなよ? 絶対な!? 痛かったらギャン泣きしてやる~~!!!」

 昼間から何をしているのかと思わなくもないが、こんな機会は二度とないだろう。何かなりゆきで残念な想いも全てバレてしまったことだし、海賊らしく過去は振り返らずに前だけを見ることにする。
 すなわち、気の迷いのような一夜というわけだが。





「ぁっ……ン、う……」

 ねっとりと乳首を舐めあげながら、脇腹のあたりを撫でる。感度はいいようで、いつも喚いてばかりいる口からは小さく噛み殺した吐息だけが漏れている。
 本当はすぐに突っ込んでメチャクチャにしてやろうかと考えていたのだが、じわじわと高ぶらせて追い詰めて行くのが楽しくなってしまって路線を変更した。
 エマネランも武器を持つ事もあるが、本来は戦いを得手とはしていないらしい。貴族のたしなみみたいなものなのだろう。その体はたっぱはあるものの筋肉が薄くついた程度だ。筋肉量だけは負けてはいないと確信しながら、そんな肌の上をなぞるように愛撫していく。
 最初からなかったに等しい抵抗だったが、今も拒絶することなくシーツを力なく握りしめている。
 ……いや、待てよ。どこか様子がおかしい気がする。
 あれから飛んで出てこなくなった矢弾のような悪態も、行為に溺れて出てこなくなったわけではなさそうだ。刺激を与えているわりには大人しい体は、感じているわりに反応が乏しい。

「エマネラン。お前、まだ何か隠してるだろ」

「んえっ!? 何? 終わった??」

「終わってねえよ」

 はぁ、とため息をつきながら気怠げに見上げてくる目線を捉えて、顔を近づける。造形だけは悪くないと改めて思った。だが、そこにある違和感にようやく気づく。そういや、さっきまでこいつは病人なのだった。船酔いで死ぬことはないのですっかり忘れていた。

「おい、実はまだ気持ち悪いんだろ」

「ぅぐう……治ったと、思ったんだけど」

 ここまで来て、初めて顔をそらされた。何か後ろめたい事でもあるのだろうか。

「ったく、雰囲気ぶち壊しだぜ」

 ぱっと体を離すと、ベッドから腰を上げる。

「碌でもない雰囲気だったけどなー!? お前がしたいっていうから大人しく合わせてやったんじゃん~」

「寝ろ寝ろ。途中で吐かれちゃかなわんからな。精々今後に震えながら大人しく寝ろ、ほら薬」

 盛り上がっていた気分もすっかり萎えた。枕元の机に残っていた薬箱を手に取ると、中の錠剤を奴の口にねじり込んで水の入った瓶を渡す。起き上がったエマネランは渋々ながらに口をつけて飲み干した。

「っつーか抵抗くらいしろよ。されるがままになりやがって」

「なんだと、抵抗したら殺すみたいな事いったのお前だぜ~!?! オレは命が惜しいから大人しく言う事きいてやったのに」

「嘘つけ、お前がそんな玉かよ!」

 まるで抵抗してほしいかのように言うのも何だが、なさすぎるのも気味が悪い。が、そういえば脅したような気もした。

「それに抱きたいって言ったのお前だし。確かに、ここまで来て迷惑もかけてるし、なんかオレが悪いみたいに言われるとそんな気がしたりして」

「めちゃめちゃ流されてんじゃねーか」

「うるさいうるさ~い! ん、えぶっ……気持ちわるっ!」

「やめろ絶対に吐くな、今すぐ寝ろ」

 再びベッドの上に押し倒すと、そのまま布団をかけて押し込める。すっかりいつものやり取りに戻ってしまったのは惜しいが、こんな状態で抱いたとしても楽しくはなかっただろう。どうせなら全力で噛みつきながらヤるくらいの方がいい。

「さっきまで海賊顔でイキってたくせに~~~!!!」

「いつゲロ吐くかわからん奴を抱くほど趣味悪くねぇよ」

 なので、今だけは優しい顔でもしておくことにした。証明を消して横に転がると、寝かしつけるようにエマネランの目を、手のひらで覆った。狭い部屋は1つの灯りでぼんやりと照らされている。これでも私室としては格段に広い方だ。唯一の窓からは、まだ明るい光が漏れている。

「あのさ、シカルド。……オレ様に怖いものなんてないけど。いや、怖くないって言ったら嘘になるけどさ。声が聞こえなくなってさ、不安になって、ここまで追いかけて来るくらいには心配したんだからな、オレだって」

 覆った手の腕に、彼の手が触れる。抵抗でもするのかと思いきや、袖を掴まれただけだった。

「……そのくらい、わかれよな、ばか」

「はいはい、そうかよ。わかったから寝ろ」

 追ってきたという証言、理解した上で抵抗しなかった体。気が弱っていたところを脅してしまったのだとしても、もしかしたら意外と心は遠くないのかもしれない。その後は沈黙で、まどろみに落ちていく姿を、日が落ちるまで眺めていた。
 まぁ、それはそれ、これはこれとして、暫くは海の上なのだ。そのうち機を逃さずに手を出そうと再び心に決める。何故なら、海賊であるからして。

「元気になったら全てわからせてやる。覚えてろよ」

 警戒なく寝息をたてはじめた額に、そっと口づけをして、シカルドは部屋を出た。








シカエマがこの世に3作品くらいしかないのは知ってたんですが
きっとついったでは大流行してると信じていたら、誰も呟いてなくて……
逆と比べると9:1(たぶん1もない)で笑いました。この界隈誰もオラン。

でもきっと、世の中にはシカエマ派もいて、読みたい時に作品があるほうがいいでしょ!
とか思いなおす事にしました。
書き上げるまでこんなに同志いないとは知らなかったんです。

今日もマイナーな方かぁ!
知ってた。知ってたけどなぁ!!!

畑、耕しておきますね。
ケンカップル超たのしい~

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