登場人物:バルトロメウス マクシミリアン 第一共和軍団本隊の皆様
CP傾向:マクバルへの布石なので特にナシ
制作時期:2008年4月上旬
世にも珍しいマクシミリアン×バルトロメウス。
シリアスなようなそうでないような
山もオチもないが意味だけはある、布石の話。
続くかは謎。
晴れすぎたある日、バストゥーク共和国アルタナ連合軍は獣人血盟軍の連戦を受けていた。
僅かな時間差を作った上での多箇所の連続攻勢に、軍学者達の先読みは、どの拠点を順に攻められるかを辛うじて算出しただけで、バストゥーク側が圧倒的に不利という状況に何ら代わりはない。
バストゥークに滞在している軍隊はあらかた緊急出兵し、今は最初の交戦が始まった時に帰還し、休息に入っていた第一鋼鉄銃士隊。そして先程帰還したばかりの第一共和軍団のみが残っているだけである。
これが最後と予測され、次に狙われるのはパシュハウ沼の拠点であることは明白で、既にクゥダフ軍武装親衛隊ギ・ギ旅団が進発したという報は出ている。刻一刻を争う中、本来六時間の休息を五時間に切り上げ、第一鋼鉄銃士隊は出兵に向けて準備を進めていた。
勿論、第一鋼鉄銃士隊筆頭隊長であるバルトロメウスも他隊員より半分の休息で準備を進めて出陣する予定だった。
この一戦で勝敗が決まるものではない。が、それでも負けるわけにはいかない。バルトロメウスは焦る気持ちを落ち着けるように強く拳を握りながら隊員の待つ場所へと急いだ。
そんな、あらかた兵が出陣し、いつもの活気が消えた静かなバストゥークに賑わう人だかりが見える。
一体何だ……?
今この時にあんな人だかりできるなど。
異常事態があってはいけないと、バルトロメウスは方向を転換させると、更に急ぎ足で人だかりへと近付いた。
「我ら共和の民は~♪ 剣と銃を携えて~♪」
「マクシミリアン!!!貴公はここで何をしておるのだ」
近付いてわかったこと、それは敵でも民でもない、先程帰還したばかりの第一共和軍団だということであった。
勝利を収めてきたものの、無論無傷とは行かず、回復が追いついていないのか、見るからに体力を減らしている者、帰還してから解散されていないのか鎧に血をこびりつけている者が多かった。
どういうことだ?……と、心で問い掛ける。
「よぉ、バルトロメウスじゃねーか」
陽気な歌が止み、一斉に視線が自分に注がれるのが分かる。この隊で自分に友好的な者の方が少ない、何故なら隊長であるマクシミリアンと己が犬猿の仲であるのは有名だからだ。やや棘のある視線の中を突っ切るようにして抜けると、真っ直ぐマクシミリアンを睨み上げる。
「ここで何をしているのかと問うている! 答えよ、マクシミリアン!!!」
彼に凄味がないわけではない。しかし楽天的な猛将には効果はないようで、その剣幕を自然と躱すと、豪快に笑いながら大きな声を上げた。
「見ての通り、出兵の準備だ」
一応は解散していたのか、続々と装備を整え直して集まって来る第一共和軍団の団員に、場所を知らせるように手を掲げる、陽気な隊長を前に、バルトロメウスは睨んでいた目を更に細くする。
「先程戻ったばかりであろう、連続出撃するつもりか?この傷ついた部隊で? 笑止な! 返って足手纏いになるが落ちだ、ここは我ら第一鋼鉄銃士隊に任せてもらおうか」
一気に啖呵を切ったバルトロメウスの言葉を、相変わらずも呑気そうな薄い笑いで受け止めた。
「我ら第一共和軍団は戦うためにある」
「それは我々とて同じことだ。まさかそれを理由に休まずで戦うつもりか!?」
「ハッハッハ、そのまさかだ」
マクシミリアンが剣を抜き、勝ちどきを揚げると、周囲の兵も一斉に剣を抜き、様々に盛り上がる。
「待て、マクシミリアン! 貴公の隊は帰ったばかりで疲弊しておるのだぞ」
この男……この部隊の強さは認めている。だが、どんな名将であっても、勇猛果敢な部隊であっても疲弊していては、負ける。
「あいっかわらずかたいなおまえさんは」
「私が固いという問題ではない!」
剣を柄に戻しながら、聞く耳を持とうとしないマクシミリアンに、適当にあしらわれたと感じたバルトロメウスは、声を荒げる。
「ちゃんと傷の重いやつらは外してある」
「そういう問題ではっ……」
「それにな、バルトロメウス。俺たち兵隊には……絶対に退いてはいけねぇ戦いってもんがあるんだ」
「っ!」
そんなこと、第一鋼鉄銃士隊とて同じだ。このかけがえのない民主国家を守る為なら自分も命は惜しまぬ気持ちはある。
だかしかし……。
「今が、その時だ。まぁ、見てなって」
あの普段、呑気すぎる目があまりにも真面目にギラついているものだから、バルトロメウスは、もう何も言えなかった。
どこがCPw
ホラ吹きも大概にせいよ!
猪突猛進マクシミリアンと
微妙に振り回されてる真面目っこバルトロメウス。
マイナーですか、そうですか、すみません。
続けたら続きます。
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