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星空も飛べたことを(トリオン×ピエージェ)

登場人物:トリオン ピエージェ

CP傾向:兄×弟 と言い張ってみるけどただの兄弟モノ。

制作時期:2006年夏


トリピエ初駄文。
こんな女々しいピエージェ様は嫌!といいつつ
勿体無かったので上げてみる。ほんとゴミ。




  星空も飛べたことを 
 


                忘れていた







「あにうえ、あにうえっ!」

「どうした、ピエージェ。おまえもこの国をすべるかもしれない王子なのだぞ? あまりなさけない顔をするのは、おれとははうえのまえだけにしろよ?」

「はい、あにうえ」



 昔は良かった、未来の事など考えずに純粋に兄を慕っていた。国の行く末などまだ考えなくてもいいと、勉学に共に励むだけの日々。
 しかし、いつだったか、道を違えてしまった。王立騎士を歩むのは兄、王立派の貴族の後押しを強く受け国王候補にのし上がった。対する私は神殿騎士の道に、神官を元に、強い勢力を持つ者達の後押しをつけて国王にと望まれた。
 次第に、勉強の時間はバラバラになり、性格も、考えも、行動さえも大きく、何よりも立場がかわった。
 兄との仲は悪くなっていくばかりで、兄の考えがわからなくなっていくばかりで兄の言っている事がおかしく聞こえてばかりで、顔を合わせるたびに反発を繰り返す日々を送った。

「兄上は間違っておられる! そのような強硬な策に出て、国が持つはずがない」

「黙っていろ、ピエージェ。これは王立騎士の問題、お前が口を挟むべきところではない!」

 そう、優しい兄はもう記憶の彼方だった。

 それでも、でもこの国の王位は兄のものだと、心の底で理解していたのだと、つい最近気づいたのだ。自分が王になるなど、これっぽっちも考えていなかった。そのような力も、器もないのだと。
 自覚した途端、不思議と兄を慕う心だけが浮いて、対立する必要が薄れた。兄の政策は確かに荒い、ならば自分が補佐にまわればいいのではないか。たったそれだけなのだ。
 だが、今更兄との対立をやめても、神殿の神官達が煩いのだろう。
 仕方なしに、影ながら、兄を慕っていた。





 そんなある日に、その報は舞い込んできた。トリオン王子、遠征中に重症を負い、やむなく帰還したという報である。
 全身から、血の気が引いていくのが分かった。

「兄上ッ!!!!!」

 兄の部屋に駆け込む。兄の部屋に入るのは、随分と久しかった。いつも世話をしている女官が、振り向き様に驚いた顔でこちらをみやる。すぐに平静を取り戻して、口元に一本指を当てた。

「ピエージェ様、トリオン王子はもう大事ないそうですよ」

「あ、ああ……そう、か。それはいきなり失礼した。……兄上と面会はできるだろうか?」

「ええ。面会を求める者があれば通せとも言われておりますし。問題ないと思います。ですが、喧嘩して言い争いになるような事はおやめくださいね、傷に触りますから」

 女官は、私の焦り具合を見て微笑ましく笑うと「やはりご兄弟ですのね」と、丁寧に頭を下げて部屋を出て行った。扉が閉まるのを確認し、逸る気持ちを押させて奥の寝室へと向かった。寝室に入る前に、ノックをして確認する。

「兄上、起きていらっしゃいますか?」

「ああ」

 珍しく落ち着いた兄の声が聞こえて、その顔が見たくなって、入室の許可を取る前にドアノブに手をかけた。

「なんだ、ピエージェ。小言でも言いにきたのか? 面倒な話なら今は聞かんぞ」

 入って早々、逆に嫌味を言われて、条件反射のように口が開く。が、兄の姿が目に入ると、本当に口は開くだけで終わってしまった。

「あ……にうえ……」

「……どうした?」

 寝台の横まで行くと、心底兄は不思議そうな顔をしていて。まるで怪我などしていないように見える。
 だが、肩から腹に巻かれた包帯は紛れもなく傷を保護しているものであり、兄の顔はいつもより幾分血の気が足りなかった。

「お怪我の調子はもう、宜しいのですか?」

 素直に、気になっている事を口にした。

「大事無い、これくらいでドラギーユの血を引く者が倒れるはずがないだろう」

 相変わらずどこから来るのかわからない自信の、はっきりとした口調できっぱり告げる。ラギーユの血であろうが、エルヴァーンであろうが、倒れるときは倒れるというのに……。
 しかし、妙にほっとしてしまい、思わずその場に膝を着いてしまった。

「……良かった」

「ピエージェ?」

「兄上がご無事で」

「当然だ」

「そんなわけありますか、土気色の顔をして」

「ここにあるのだから、ある」

「私が報を聞いたときどれほど心配したか」

 不意に目尻に熱いものが浮かんでしまい、慌てて隠すようにシーツに顔をこすり付ける。兄に甘えるような形になってしまうのだが、いい年した大人が人前で泣くなど恥ずかしすぎて耐えられなかった。

「兄上の……大馬鹿者」

 声に嗚咽が混じってしまい、呆れられると思ったが、しかし降りてきたものは暖かい手のひらだった。
 昔にもこんな事があった気がする。まだ二人が仲たがいしていなかったころの記憶だろうか。
再びあの頃に戻れたらいいのに……どうすればあの頃に戻れるのか……?

「私が傍にいれば、こんな怪我などさせませんのに。どうすれば昔のように傍にいられるのか、わからないのです」

「今、もう既に戻ったではないか」

 そう、揶揄るように兄に言われるのは、私が素直に感情を吐露した後の事だった。




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うっわ、中途半端……!!!!
これはまともにサンドMもやってないような時に思いつきで書いたのでそこらに穴空きまくってて恥ずかしいです……。
けど勿体無いので置いておきます。

個人的にもうちょっとピエ様が男らしいほうが好みなんですよ、
もっと罵倒しながら泣くといいよ!(ぇ?)
でもなんだかんだでお兄ちゃん大好きなピエ様だと尚いいです!

トリオン王子も、NOUKINジャイアンで……
こうピエを参謀役として傍におくのが当たり前!
みたいな兄の特権乱用な独占欲とかだといいです。

でもいつもは喧嘩してるといいな、すんごいくだらない事とかで。

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