登場人物:レオノアーヌ ヴァレンラール
CP傾向:レオヴァレ
制作時期:2009年夏
負傷したレオノアーヌを助けにきた公子様。
ちゅーしてます。
遥か遠くで名前を呼ばれたような気がした。けれど、周囲には雲しか浮かんでいない。
光の靄に包まれたまま、霞みのかかった意識で、しかし朧気に何かがおかしいと気付く。
そうだ、さっきまでとても強い何かを抱いていた。
それを思い出さなくてはいけない、そのような気がする。だが、思い出せなかった。
靄の下から声が続く。自分を呼ぶ声だ。ずっといけ好かないと思っていたあの声だ。
だが、あれほどまで必死に呼ばれるのであれば………悪く、ない。
そう、ぼんやりと思い、目を閉じた。
「レ……ノ………ーヌ!」
強く、呼ばれて霧が晴れた。否、意識を取り戻したと言うのか?
視界が薄く歪む中、ぼんやりと顔を上げる。
ああ、何があった?
目の前に、心配そうな愁いの表情を浮かべた朱髪の公子が映る。
「っ!!! 気がついたか、レオノアーヌ?」
何が……とぼんやりと思うと同時に左肩から腕にかけて激しい痛みを覚えた。
痛みに左腕を掴むと、痛みそこから全身に広る。そこで全てを思い出した。
そうだ、敗戦した己の部隊を逃がすために、殿を買って出たのだ。フェミニストではないが、隊員に任せて真っ先に逃げるほど落ちぶれてはいないつもりだった。
そして追い討ちに遇い……情けなく負傷した。その傷は浅くなく、死も覚悟した。
「貴公を見た時、流石に私も血の気が引いたよ」
腕に柔らかく暖かい光を注ぎながら、目の前の男は困ったように微笑む。
「で、どう……なった?」
負けたのは確かだが、聞きたいのはそうではない。経過した時間、そして現状だ。
そんな己の心境を知ってか否か、ヴァレンラールは光を弱めることなく淡々と呟いた。
「……猛狗傭兵騎士団を追走していたオークは、我が部隊が撃退した。今は負傷兵の捜索に当たらせているが、多くの兵は自力で陣営へ戻って来て居るようだ」
「へぇ、そいつぁ良かった」
隊員の多くは戦災孤児を拾ってきた女だ。男と違い、捨てられた女子は色を売らなければ生きては行けない。それを哀れんだつもりはないが、とにかく見捨てはしなかった。見捨てると大嫌いな連中と同じになってしまうと思ったからだ。
だから生きる術である剣術を叩き込んだ。軽くあしらってはいるが、家族のように感じる長い付き合いの奴だって多く居る。自分の部隊にいる限り、面倒は見るというのが信条に、守れるときは守ってやる。
だから無事の報を聞くのは素直に嬉しかった。
「良いことあるものか、私が見た限りでは貴公が一番重傷なのだぞ」
そこかしこが痛くて、既にどこが特に深いのか分からない。肩を竦めて笑ってやろうとすると、指が痺れて僅かに動いた。だが血は止まったし、痛くはない。
「他に痛いところはないか?」
ほとんど魔力を使い切ったのだろう、少し疲れの見える顔が伺うようにこちらを向いていた。
「ん~? あ、なんか利き足動かねぇ」
「脱臼しているようだ、一度戻るしかなかろう」
「あ、あと」
足を調べていた腕を、動く方の手でぐいと引っ張る。どうした、と向けられた顔にためらいなく唇を重ねてやった。
「!」
驚いたのか、掴む腕が強張るが、こちらを気遣ってか抵抗らしいものは一切ない。それに気を良くして、一通り口の中を蹂躙して開放した。
「……血と……砂の味が……」
「だろ? 口の中もめちゃくちゃ切れてる」
だからキスした。と得意気に言ってやると、やれやれと言う顔をされた。本気で嫌がるかとも思ったのだが、想像していた以上に落ち着いている。
「それだけできるのであれば元気だな」
「無理無理、足動かねぇし」
運んでネ、と肩に腕を回すと溜息が聞こえてにやりとした。これは本国に戻るまで楽しい時間になりそうだ。
本当は、運んでもらうのをいいことに
公子の耳舐めたり噛んだり首にキスマークつけたりして
ちょっかい出しまくる狗による羞恥プレイな話
だったんです……が……あれ?おっかしいなー
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