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戦慄き 2 (TOA)

登場人物:雪国三人組

CP傾向:ディスト愛され気味

制作時期:2006年春

ED後捏造。ディスト愛され気味な幼馴染の戦闘訓練話の後編。ややPD。




 

 

「いやーしかし、傑作だな」

「何処がですか!? 馬鹿!!!」

 「最悪ですよ」と呟いてよたよたと足取り悪く皇帝の寝室に帰ってきたディストは、その部屋の主に「座っていろ」と首で促されると備付の豪華な造りの椅子に腰をかけた。
 その利き足の足首はしっかりと固定され包帯ぐるぐる巻きにされている。稽古をつけてもらっている途中、ぐねったその足は見事に捻挫になっていたのだ。

「ははは悪い悪い、まさかお前がそんなにヘタレだとは思ってなくてな」

「準備運動をしないお前が悪いのですよ、ディスト」

 後から続いて部屋に入ってきたジェイドは呆れながらそうながらドアを後ろ手で閉めた。

「ですが、確に面白かったですね。何ですかあれは。笑いを堪えるのに必死でしたよ」

「あの逃げ腰……。しかも柄を強く握りすぎて手の皮ずる剥けだし!」

「きいぃぃっ! なんですか二人して、無理矢理私を狩り出したくせに!! もう一生武器などには触りませんからっ!!!」

 思い出して笑っている二人に対して、ディストは顔を真っ赤にして憤慨しながら俯いてしまった。

「いや、あれのままはまずいだろ。ちゃんと俺が鍛えてやるから安心しろー♪」

「絶対嫌です! 私は学者の囚人なんですよ? 皇帝自ら稽古をつけるとか、何考えてるんですか」

「ああ、じゃあその皇帝勅令っつーことで」

「うはっ! 汚いですよ陛下ーっ!」

「職権乱用は感心しませんね、陛下!」

 ディストと、そしてジェイドまでに反対を食らい、少し面白く無さそうに口を突き出す皇帝陛下の仕草はとても三十路代の中年には見えない。

「ちぇ、まぁ…あれだ。お前が戦えなくとも俺が守ってやるから安心しろ。な♪」

 思考を切り替えてピオニーがにっかり笑みを浮かべて椅子の背もたれごとディストを抱き締めると、気恥ずかしそうにその手をやんわりとつねり返された。 静かに恥じらいながらもなかなか現皇帝に容赦が無い。

「ふむ、それは困りますね。ピオニー陛下は腐っても皇帝ですから」

「腐ってもは余計だ」

「……。」

 抓られた手を残念そうに胸元で組みなおし、すかさずツッコミを入れる。

「ま、とにかくですよ。ディストごときに体を張られては私が困るんですよね」

 嫌味たっぷりにジェイドは肩をすくめて見せた。

「ああ、それなら問題無いだろ」

 別に、私は頼んでなどいないのですけど、と小さい声で同時に口を開いたディストの一言を
聞き漏らさずにジェイドはディストの耳をひっぱる。 黙ってなさい、お前ごときが恐れ多いですよ、などと叱咤している。

「俺はお前達が守ってくれるだろ?」

「……遠回しに、私にもこの馬鹿を守れとおっしゃいますか?」

「おういえ!」

 当然だというように笑顔でガッツポーズをする己の皇帝の予想的中ばちピタな返事に、 ジェイドは先を思いやって深い溜め息をついた。逃れられぬ運命のようだ。

「では、やはりそれなりの護身術は必要なようですね。 これから容赦なく鍛えてあげますから、そのつもりでいなさい。 いいですねサフィール」

 私は学者なんです、運動なんてできません、したくもないです。 などと、あの絶対零度の微笑みの前で言えるものか!
 冷たい微笑みでディストは見下されて、あんなにも願っていたジェイドとの稽古だというのに
全身に嫌な寒気と恐怖が走る。 彼は真っ青な顔に目尻をうっすら涙ぐませて、渋々と項垂れた。

 

 
戦慄きおまけへ



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なんとも情けないディスト様模擬戦闘話の後半部分です。
スランプなのがわかりまくりの文ですがヘタなのはいつもの事なので気にしてはいけません。

その後の話としてやはりヘタレ一直線なディストと
そんなディストに甘いピオニー陛下です。幼馴染万歳!

おまけはジェイディス風味です。

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