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夏祭り≠楽しい(幻想水滸伝3 ユーバー×アルベルト)

登場人物:ユーバー、アルベルト、セラ、ルック

CP傾向:ユバアル

制作時期:たぶん2004年くらい

有兔かりな様よりキリリク「ユバアル夏祭り」
振り回されすぎの可哀相な兄と、楽しそうなユーバー氏。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。


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 夏祭り は 楽しい とは限らない。











「赤毛、祭に行くぞ」

 そう言って、既に暗い藍染めの浴衣を着たユーバーが、部屋に入ってきたのは、
私が大体の庶務を片づけて紅茶を頂いている時だった。

「いってらっしゃい、朝までには戻るようにな」

 この、外に出るのも億劫になるような暑苦しい日中に、暖かい紅茶を啜っている者のセリフではないだろうが…。
よくあんな、蒸し暑い人混みに行く気がするものだ。私は御免被りたい。
面倒くさそうにちらりとユーバーの顔に目をやると、
何事もなかったように読んでいた小説に視線を戻した。

「おい、お前も来い」

「丁重にお断りしよう」

即答でアッサリ返すと、ぶすっとした顔で必殺の一言を飛ばして来た。

「祭で暴れて来るぞ?」

……。
何故、私がお前の保護者をやらなければならないのか…?
げんなり脱力しながらも、渋々行く用意を始める私を見て、奴は満足そうに頷くのだった。

 ここで、自己紹介をしておこう。
確かに髪の色は赤いが「赤毛」などと言われる筋合いはない。
私の名はアルベルト・シルバーバーグ。
相変わらず奴の我が儘に付き合わされ、
300年以上も年上であろう人外のお守りに行く用意をしている男、それが私だ。















 結局、何故かユーバーに『サイズがぴったりな浴衣』まで着せられて、
祭に赴くこととなった私は、
ルック様に「明日までには戻ります」と、かなり白い目線を浴びながら頼むことになった。
 行きたいのは私ではなくユーバーだと言うのに、常々世の中は理不尽だと感じる。




 テレポートで連れて来られた見知らぬ土地は、祭のざわめきが遠くに聴こえる林の中だった。
先程までいたグラスランド方面とは違い、蒸すというわけでなく、
カラリとした陽の熱気が木々の間から降り注ぐ。
 このような気候は何処か懐かしい感じがする、トラン共和国の周辺だろうか?
よく考えれば、何処で祭があるかを聞いていなかったな。
まぁ、いいが。

「ユーバー、一体祭で何をしたい?遊びに来ただけというわけではないだろう?」

人声に向かって歩を進めながら、ぽつりと尋ねる。

「…………」

 だんまりか、これは案外図星だろうな、このお子様め。
やれやれ、といった溜息をつくと。
視界に入らぬ隣で、少しだけ笑われた気がした。…ム。


 開けた道に出ると、香しい良い匂いの露天やら娯楽店が店を連ねていた。
 勿論、祭なのだから、家族連れやらカップルやら人の山々、
伝わる熱気に、思わず尻込みしながらも、嬉々として歩き出したユーバーの背中を追いかける。
こんな辺境の小さな村の祭りであれば、姿を見られても何も問題はないだろう、
少しくらい、勝手を許してやってもいいのかもしれない。

そのような心をふっと湧かしたが、後ですぐさま訂正するハメとなった。




暴飲暴食。



まさにこの言葉がよく合うという食いっぷり。
目に付いたものは、とりあえず注文して食い、飲みこむというブラックホールの胃袋。
 そして何故か、金は全て後を付いて歩く私持ち。
これは私のへそくりなんだが…?












 陽がかたむき始めて、空が黄昏色に包まれる頃になると、夜の涼しい風が頬を撫でる。
 しかし、私はそんな事にもお構いなしに、始終財布と睨めっこをしていた。
もう三食分は軽く使っただろうか?
もとより私のへそくりであって大した金額は持ち合わせていない。
そろそろ文句を言ってやろう思い、顔をあげると…紅と銀の瞳にぶつかった。

 何か、心を読まれていたようでやりにくい…。
 しかし、どうやら私はこの瞳に強く出られないらしく、
とうとういたたまれなくなり、目線を逸らしてようやく一言だけ呟くことができた。

「持ち合わせが少ないのでな、もう金は出せん。気が済んだのなら帰るぞ」

「いや、まだ…」

「気が済んでいなくても帰るがな」

 マズイ、奴はまだ気が済んでいないようだ。
しかし、気が済んでいないから帰らない、などと言われてなるものか。
それならば先手を打って、帰ると告げるまで…。
 いや、実を言えば私に帰還する主導権はないのだが、
ユーバーの目線を無視して、元来た林のある方向へ、スタスタと歩み往く。
こうすれば、少なくとも奴が帰ろうとするまで私が関わることもない。
例え、私をほって帰っても、ルック様かセラが迎えに来るのだから。

「何をそんなに怒っている?」

そんな事は聞かずとも分かっているはずだ…と、そう言いかけたが。
背後から腕を引かれ、
先程までユーバーが舐めていたリンゴアメ味のキスをされたのだから…
言葉に出すことは出来なかった。

「…ん……ッな、いきなり何を…」

「人がイライラしている時は、甘い物を摂ると良いと聞く」

口を離したかと思うと、そのセリフ。
そして、反論でもしてやろうと開いた口に、
残りのリンゴアメを突っ込んできた。

「それと、口やかましい恋人は、キスをしてやると大人しくなるそうだ」

 顔が、怒りと羞恥で火照るのが自分でもよく分かる。
一体、そのような無駄知識ばかりを何処で覚えてきたんだ、この人外は。
大体、誰が恋人だ!?何処の誰が、恋人なんだ!?
リンゴアメをくわえながら、鋭い険相で頬を朱に染めている、私を見て、
奴はいかにも愉しそうに顔のパーツを歪めると、短く

「帰るか、赤毛」

と、呟くと前を先々と歩き出す。
 数歩を行くまで、その背中をリンゴアメを舐めながら睨み据えていたが。
私も早々に帰って片づけねばならない仕事があるのを思い出し、
後を追うように歩き出した。

 結局、私は何の為に来たのか最後まで分からずに…。
リンゴ飴の甘い味を、それなりと楽しんでみた。
















「おかえり」

「おかえりなさい」

 戻った私に声がかかる、それは主君とその伴侶の者の声だ。

「ただいま戻りました。ルック様、セラ」

 軽く会釈をして帰還の挨拶をする、その横をユーバーは興味なさげに歩いていった。
満腹でお休み、ということか…つくづく感に障る男だ。
パタン、と個室へ続く扉が閉まると、ルック様が口を開く。

「…お祭り、だったかな?どうだった?」

 地図の置いてある、机の傍の椅子――お誕生日席だ――に座ると、
片手で頬杖をついて、興味あり気にこちらを向く。

「持ち合わせの金を、全て食費に使われました」

流石に、主の前でおもむろに怪訝な顔をするわけにもいかず、無表情に返答する。

「そうか、君も大変だね」

 無表情でも、やはり奴の相手をする苦労は感じ取れたのか、苦笑いをすると、その後横に立ったままのセラに目配りする。
それで、ルック様の意を感じ取ったのか、彼女はこくりと頷くと、
一歩、私へと踏み出して、痛恨の一撃を放ってくれた。



「して、アルベルト。ルック様にお土産は?」





……。










こんなヘボ小説(なんたって元より文才がない)ですがキリリクです。

どーでもえーですが、ユーバーは確信犯ですよ。(うわー、さいてーだー!)
アル兄の甘さ見込んでやってます。
ウチのアル兄はまた甘い人なんで…(ェセ言わないの)

リクは有兔かりな様より「ユバアル夏祭り」だったのですが
なんか途中からギャグ寄りになってしまってました。
ちょ、ちょっとラブラブっぽいですかね?


有兔かりな様のみ、お持ち帰りくださいましw
焼くなり煮るなりどうぞご自由に^^
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