登場人物:テーゼ、ネロス、ロゼリア、レディ・メーヴェ
傾向:テーゼ愛され気味
制作時期:2004年だと思われる
アイントラート布教のための駄文でした。
本気で駄文。
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
~~黎明を夢見る者~~※ ※
晴れ渡った青空に、金属同士ぶつかり合う甲高い音が響いていた。
「ほら、防戦一方じゃ訓練にならんぞ」
薄く笑みを浮かべ、片手で軽々と鉄の棒を扱う同僚、ネロスの前に、
俺はじりじりと後退を続ける防戦を強いられていた。
重い剣撃を受け流す両手がじーんと痺れて反撃に遅れる。
これでも少しは上達したはずだ、そう思いながら、剣撃を横に跳ねのけた。
その一撃目に加えて左右上下死角を付こうと様々な打撃を叩き込む、
もし当たればそれなりのダメージを与えられるかもしれない――それが目的ではないのだが――、
悲しいことに、まだ俺は一度もネロスに攻撃が届いたことがないのだ。
時々空間をねじ曲げているんじゃないかとも思うんだが…。
次の瞬間、跳ね返しきったと感じた棒の先端が、反対から肉迫してくる。
当たるか…?そう踏んだ俺は、咄嗟に身体を捩って力を軽減する、少し痛い目をみるか、くそっ。
脇腹に鈍い痛みが走ったかと思うと、俺は花壇まで投げ飛ばされていた。
勝負あったか…。
「ぅ…痛っ……ネロス、手加減すると云ったのは嘘じゃないのか?」
鈍い動作で身を起こし、悔しい思いを睨んでネロスにぶつけてやる。
「手加減?ああ、そうも云ったが、俺の「手加減」は「力を使わない」ということだ。
体術で手加減してもお前の力は伸びやしない」
ほら、立て…と手を貸してくれるのは有り難いのだが、
本当にそう思っているのかは怪しいところだ。
何故なら口元の薄い笑みはそのままなのだから。
<アイントラート>本社屋上の庭園、そこで刃を交えて居たのは何も殺し合う為ではない。
当たり前だが俺の稽古をつけてもらっていたまでだ。
数年前、リロイ・シュヴァルツァーやジェイスに護衛を頼んだ時は、
散々なまでに気絶を繰り返し、俺は酷い目に遭った。
そんな俺の脆弱な身体を少しでも鍛えようと、こうして昼休み等に相手をしてくれているのだ。
それ自体はすごく嬉しいし感謝もしているのだが…。
「今日はこのぐらいにしておくか?そろそろ身が持たんだろう」
「いや、ネロス…平気だ。気分がいいとは言えないが…」
そう言葉を紡いだ瞬間、目の前がぐらりと揺れる。
突如襲う吐き気と目眩、そして浮遊感。
ネロスに寄りかかり、倒れこそしなかったものの…身体は動いてくれる気配を見せない。
「ほら、倒れてからでは遅い」
ああ、確かにそうだ…毎回無様な所ばかり見せているが、こればかりは仕方がない。
意識を完全に手放してしまう前に自己紹介くらいはしておこう。
俺の名はテーゼ。
ここ商業都市イグリス随一の力を誇る商業社<アイントラート>の社長代理を務めている。
<アイントラート>は他の会社とは大きく違う点がある、それは社長含む社員のほとんどが、
人間でいう<闇の種族>であるということ。
勿論、俺も含めてだ。
<闇の種族>の全てが決して戦闘力に秀でているわけでもない、
固有差もまた人と同じく激しいのだ。
俺は生まれつき脆弱な身体を持つ血筋…だから、身体も特別弱い。
ああ、もう駄目だ、視界が霞む。
俺を呼ぶネロスの声も頭に反響しながら遠くに消えていく。
ネロスが俺を肩に担ぐのを意識できたのとほぼ同時に、俺は意識を手放した。
※ ※
黒い液体を無理矢理喉に流し込む、舌に乗る液体は苦く喉を通っていった。
もう所々に星が煌めいていて、青かった空は赤く染まり闇に呑み込まれようとしていた。
しかし、まだ遠くの山々はうっすらと紅みを帯びており、丁度夕暮れを指している。
俺はあの後から約2時間後に目が覚めて、再び業務に戻った。
夢を見た、あまり寝覚めがよくなかったのか業務ははかどらず、
気づけば、こうやってまたいつもの屋上に足を運んでいた…という始末だ。
いつも仲間達でにぎやかな屋上庭園には既に人影はなく、降りてきた闇がくすんでいるだけだった。
「テーゼ、眉間にしわが寄っているわ。また、何を思い悩んでいるのかしら」
突如背後に声が現れる。
同僚の<吸血鬼>ロゼリアだ。
「俺はあまり気配が読むのが上手くない、脅かすのは酷いだろう」
そんな俺の皮肉にも、やんわりと優しい微笑みを向けながら彼女は俺の隣に座る。
「あら、驚かせたならごめんなさい?でも、貴方の悲しい顔を見るのが辛かったのよ」
ロゼリアは突然ぽつりと呟く。
そんなに顔に出しているつもりはまったくなかったのだが、何せ生きている年数のケタが違う。
彼女の前に来ると、すべてを見透かされたような気分になってしまって、思わず顔背けた。
別に、彼女が嫌いなわけじゃないが……。
それでも彼女は優しい面のまま俺の頬を手のひらで愛撫する。
「悲しい思いに捕らわれることも、あるわ。
けれど忘れないで、今の貴方には私達がいるのよ…」
俺は小さく頷く、分かってはいるけれど、夢を見るたびに思い出される昔。
遠い遠い話だけれど、決して消えることのない醜い傷跡。
「貴方はとても純粋なのね」
慈しむように、壊れ物を扱うように、優しく長い指先で頬を愛撫する。
彼女はよく俺を「純粋」だというのだ。
俺は、俺自身の事を決してそうとは思わない。
もう、そのように呼ばれる歳でもないし、俺は皆が考えている以上に欲が深い…と。
「またそれか。……俺は、俺はもう純粋なんかじゃない。
ロゼリア、君が思っているほど、俺の心は綺麗じゃないんだ」
そう告げると、彼女は少し目を丸く見開いたかと思うと、ころころと幼女のように声を立てて笑う。
「テーゼ、外面的にそれを判断するのは貴方でなく、今は私の心ではなくて?」
やはり、年の功に適うわけがない。
俺は急に羞恥心を掻き立てられて、困ったように俯いてしまうのだった。
※ ※
冷たい夜風が頬を嬲っていった、春といっても風はまだ冷たい。
カフェテラスに出ている俺の体温を、じわりじわりと奪い去って行く。
コーヒーのおかわりを貰いに降りて来たのだが、売店は閉まりかけで、
ギリギリ一杯だけ残っていたものを貰って口につける。
一気に喉に流しこむと。噎せ返るような苦さが口内いっぱいに広がった。
実のところ…あまり、得意ではない。
テラスから大通りの方にふと目をやると店を閉める露店、帰宅しようとする会社員や、
買い物を済ませて世間話に花を咲かせて通り過ぎる主婦、別れを告げて走り去る子供達。
優しい街の人々の姿が見える。
もし、俺達が<闇の種族>だとばれたら、この平穏は続くのだろうか?
築き上げた信頼が崩れるときは一瞬だと言う。
そんなことをぼんやり考えていると…。
「テーゼ、身体が冷える」
耳元で低いテノールの声音が響く。
誰かは悟ったが、つい反射的に振り返っていた。
風になびく黒いストレートの長髪
黒いカッターシャツにズボンというラフなスタイル。
そこにはいつものネロスの顔があった。…彼も気配を隠しすぎだ…。
「これくらいは平気だ、驚かせるな。
それに、どう見てもネロスの方が冷えそうな格好だぞ」
俺達<闇の種族>にそれほど温度は関係ない、極度の温度変化の場合傷つきもするが、
風邪をひくこともないし、傷の治りは人間より早い。
しかし、気温は感じている。
寒いものは寒いのだ。
「今日、倒れたのは誰だ?あまり自分を虐めるな」
再度、今度は怖い凄みのある声音で囁かれて、俺は渋々頭を垂れた。
ネロスに叱られたのならば仕方がない…しかし、あまり気分も乗らなかった。
また、冷えた風が服を揺らし過ぎ去っていく…。
「ふふ、テーゼ。気分が乗らない、といった風ですね。
…ならば私と共に食事でも如何ですか?」
ふとポツリと少女の声が聞こえる…場所は、足下。
彼女、レディ・メーヴェは、この<アイントラート>の創始者でもあり、社長でもある、
齢数千年の<吸血鬼>だ。
突如現れた気配に俺だけではなく、ネロスも少なからず無表情で驚いている。
「レディ・メーヴェ……は、はい」
「あら?気分が乗りませんか?ここのサラダの自家製ドレッシングは新鮮で美味しいですよ」
ふわりと微笑んでこちらを見上げる仕草はどこから見ても子供だが、
俺は何とも言えない安堵感に包まれる。
何故だろう、俺はこの人に声を聴くととても落ち着いて、心が穏やかになる。
「ネロス、貴方も一緒に如何でしょう?」
ちらり目線をネロスに移して、小さく小首を傾げる。
ネロスも俺と同じなのだろうか…少し押し黙ったあと、その表情を少し和らげて、
「是非に」
と微かに頷く。
レディ・メーヴェは嬉しそうな笑みを向けて同意の頷きを示すと、
くるりと背を向けて、オフィス内のレストランに向けて歩を進める。
「テーゼ、ネロス…私達は共に世界を生き抜く同志です。
その事を忘れてはなりません。
私はいつでも貴方達の味方なのです。
悲しいことがあれば泣きなさい。
嬉しいことがあれば笑いなさい。
それは、私達にも許されている行為でしょう……」
ピタリと止まったかと思うと横顔だけでこちらを見て、にこりと綺麗にメーヴェは笑った。
「だからテーゼ、苦いものを無理して飲んで、耐えることもないのですよ」
俺なりの強がりも、どうやら必要ないらしい。
今更ながらに少し苦い苦笑を浮かべて頷いて見せる。
流石にばればれだったか。
「さぁ、入って乾杯しましょう。」
メーヴェに同じくして歩き出した、俺とネロスに吹き付ける風は、今だけは暖かかった。
過去に出したアイントラート布教本の挿入駄文。
もちろん修正、入れまくりました。
元本持ってる方、違う場所とか調べないこと!!!(焦)
何がいいたいのか分かりませんね。ゴメンナサイ。
キャラ紹介とかをメインにしたのでひどい有様です。
雰囲気は…こうアイントラート社内っぽくしたんですが。
安井先生はあまり描写なさらないのでオフィス内とかわかりません。
とりあえずネロスとテーゼのからみがかけたので私は満腹です。
ベアトリスは扱い辛いので出てきてません。
リロイとラグはどっかで激戦中でしょうから出てきておりません。
ヴァルハラチームも忙しいので出てきません。
はい、言い訳ですごめんなさいでした。
見なかったふりして本編読んで下さい。
安井先生のラグナロクいいです!ちょっぴしグロイけど(ちょっぴしか?あれ…)
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