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さあ、ティータイムをご一緒に(GGST ソル✕テスタメント)

CP傾向:ソルテス

制作時期:2022年10月

備考: STRIVE軸ソルテスの妄想邂逅話。
※ 昔、体の関係はあったような事を仄めかして言ってます。
テスタメント→ソルへの二人称が何なのかわからなくて、長いこと寝かせてありました。
支部では単語変換機能を使って好みにかえられます。
「君」「おまえ」「貴様」「あなた」どれですかねぇ……会話見たことなくてわからん。








「おや、久しぶりじゃないか。どうやら元気にやっているようだな」

 その男は二度見した。いや、そんな事があるはずないと三度見した。
 知っている。その瞳、髪の色、流れる魔力、そして気配。間違いなく過去の記憶にあるギアだ。だが、眼前にいるそのギアは記憶より大きく雰囲気を変えていた。この距離で気が付かぬくらいに、だ。
 絶句している男に話しかけたギアは、優雅に足を組み換えながら頬杖をついて微笑む。

「その顔はひどいな、確かに昔の私はおまえの事をひどく嫌っていたが、今はもう興味ないぞ。だからただの一般人だ」

 ひょうひょうと笑って言いのける声に、思わず男は叫ぶ。

「んなわけあるか!!!」

 咄嗟に声に出ていたが、あの潔癖にして孤高であった彼がここまで変わったのだ。昔から妖艶な所はあったが、あくまで男性体であったと認識している。
 しかし今の彼は……そう、彼女と言うべきか迷うほどだった。濡れるような漆黒の長い髪に、血よりも深い紅の瞳、それを隠す長い睫毛、そして陶磁のような白い肌。ここまでは一緒であったが、薄く色づく頬に、艶のある唇、そして体のラインがわかるスリットの入った服。そう、そうだ。とても女性的になったと言えばいいのだろうか。

「てめぇ、こんな所で何してる」

「見ての通りだよ。ティータイムだ」

「は?」

「相変わらず怖い顔だな。ほら、おまえも座って飲んでいけ。私の茶菓子を少しわけてやろう」

 まるで本当の旧知の者に出会ったかのように、彼は店員にお茶を追加注文している。
 あまりにも突飛すぎて暫く男は何が何なのか理解できず、眉間に皺を寄せて黙って身構えていたが、不躾にじろじろ見るには人通りがありすぎると判断した男はあからさまに溜息をつきながら同じ席へと腰掛けた。
 初動で驚きはしたものの、固まったまま無表情を貫いた事を褒められたい気分だ。

「何がどうなったらそうなる……?」

 これまでもあからさまに敵意を向けてくる面倒くさい相手だと思っていた。その嫌悪はギア同士であるだけではなく、因縁や性格の不一致によるものだろう。そも潔癖と面倒くさがりが仲良くなろうはずもない。
 ただ、どうしようもなくて一夜を共にした事もある。それも一度ほどではない。言葉では表せない奇妙な縁を持っている相手であった。
 はたして、彼に最後に会ったのはいつだっただろうか。庇護していた娘が森を出て、少し寂しそうにしていたのだけは記憶にある。あの事件の後にも何度か会ったからだ。
 そうして数年、多忙に多忙を重ねて人生に振り回されていた結果、すっかり忘れ今日という因縁の日を迎えたというわけだ。

「どうとは? ああ、私のことか。なんてことはない、日常という幸せを享受しているにすぎない老人だよ。おまえも随分と丸くなったな、私を見ても抜刀しないとは」

 彼が己を老人と言うなら自分は何なのか。太古の化石か。
 しかし、人が達観するには十分な時間だったのだろう。心が壊れていた時間を除いても、彼はかなり高齢とも言える。その間に、ここまで心が変わるような縁があったのだろう。
 ギアの戦闘能力というものは、ある程度は格で決まる。年月が経てば衰えるものでもないし、逆に覆るものでもない。言うならば、今も彼は自分よりは下位であり、だからと言って人を遥かに凌駕する程度の力を備えている。
 だが、どうしたことか、あの鋭利に尖っていた牙は今は見る影もない。そこにはただ、穏やかに紅茶を嗜み優雅に笑う淑女がいるだけである。確かにこれでは一般人だと思う。前の彼を知らない者ならば、だが。

「流石にもうそこまで尖っちゃいねぇよ。それよりも何だ? 何を食ったらそんな体になるんだ」

 改めて真正面からジロジロ見る。不躾であるのは理解しているが、そんな事を気にするような相手でもない。かつての彼なら、見るなと怒られたかもしれないが、今の彼は上位ギアの視線すら余裕らしい。
 綺麗に手入れをされた白くて細い指が、流れてきた髪をさらりと耳にかける。柔らかに見える唇が、どうぞとでも言うように弧を描く。スリットからすらりと伸びる脚は、もう少し筋肉質だったように思う。そして女性のようなふくよかな臀部。流石に豊満な胸はないが、ギアはこんな成長もするのかと流石に驚く。顔には出さないが。

「ああ、これか。普通だよ。美味しいものを作って食べて綺麗になりたいと願えば、こうなったのだ」

「そんな簡単に変わるもんか」

「おまえも知っているではないか、私がギアとしてどのように改造されたか。私を抱いた事のあるおまえなら」

「……」 

 クスリと笑われて、思わず黙り込んだ。強烈に求めあったあの日を忘れたとは言わないのだろう。互いにあまり良い思い出でもなかったはずだ。不調で精神が乱れ、破壊衝動に呑まれそうになっている彼を抱いた。ただ欲求を晴らすためだけに何度か。
 別にそこに愛も慈悲のような感情もなく、己も欲情のために動いた。そこで知った秘密は誰にも口外していない。体の関係だけであり、ついぞ気持ちを互いに確かめるような事もしなかった。故に全てが謎のままなのだ。
 ただ、忘れようもなく、その記憶も秘密のままで封じてあった。

「元より素養はあったのだろうな。衣服や見た目というものに頓着していなかっただけで、あのような格好も別に不快ではなかったということだ。自分を受け入れてみたら、意外とストンとこうして着地できたのさ。男であるか、女であるかというのは、今の私にとって些末な話に過ぎない。私は私がこうありたいと願うままに、今を生きているのだよ」

 そうして一口、紅茶を啜る姿は実に優雅で美しい。美しい事は知っていたが、それは優雅さではなくもっと研ぎ澄まされた何かだった。その姿が決して消えたわけではないのだろう。
 しかし、ギアも変わるのだ。否、ギアだからこそ心次第でここまで転ずることもできるのだろう。人もギアも、不変であり続ける事はないのだ。
 このように笑えるなら、悪い変化ではなかったのだろう。関係ないが。いや、本当に関係ないはずだが。僅かにあの時の顔を思い出してしまう。あの経験で雌になったなどと言われていたら、流石に卒倒していただろう。

「ま、前のてめぇよりかはマシだな。もう陰気臭いのは御免被る」

「ふむ。その点については謝罪しよう。だがおまえもけっして陽気なタイプではなかっただろう? お互い様じゃないか」

「俺は無駄口を叩かないだけだ」

「やれやれ、そうやっていつも一言足りないのは相変わらずだな」

 運ばれて来た紅茶のセットが新たに机に加わる。このような店、一人だったらまず入らないのだが、こんな連れがいたら空気に溶け込むこともできるらしい。
 さっさと飲んで席を立とうと茶葉の落とし蓋に手をかけたら、ピシリと軽く叩かれた。

「こら、飲むにはまだ早い」

「チッ、嫌な方向に面倒くさくなりやがって」

「なんだ、急ぎなのか?」

「いや」

「なら良いだろう。少しくらい旧知の仲に付き合ってくれ」

「馬鹿を言え」

「私だっておまえの話が聞きたい。言っただろう、もう嫌ってなどいないのだ。少しくらい老人の世間話に付き合っていっても良いのではないか? そもそも私を今も破壊したいのだとしたら、初手で一撃食らっているだろう。そうでないのなら、おまえも私と同じだけの時間を歩んできたということだ」

 見透かされている。元より洞察力に長けた性格なのだろうが、それを手玉に取れるようになるとここまで厄介になるらしい。男とて伊達に長く生きてはいない。様々な生き様に触れて来た手前、語ることが少ないだけで昔ほど荒っぽくはなくなった……と自負している。
 昔は感情のままにキレ散らかしていたが、怒ってばかりでも体に良くないと考えるようになった。それに無駄なエネルギーは使わないに越した事はない。つまり、時には巻かれる事もあるということだ。このように。

「め、めんどくせぇ……」

「でないと勝手に私がぺらぺらと喋り続けるぞ」

「ああもう、好きにしろ。ただしここの代金はてめぇがつけろよ」

「当然だとも、何ならケーキもセットにつけてあげよう。さあさ、では聞かせてもらおうか」

 不敵に笑うその笑顔が、妖しさは消えていないのにとても幸せそうに見えて目を奪われた。そんな顔、とてもじゃないが見たことはない。存外、可愛いものに思えて己の思考を疑うことになるなど。





STRIVEでテスタメントが参戦してから数ヶ月経ったのちに知りました。
趣味も増えて人生を謳歌しているテスタかわいいじゃん!
で、ソルとはどんな感じになったの?って探したけど……
公式ではなかったです。(VS時は誰にでもするのかしないのか判断ができなかった奴)
しかも嫌いなものから「ソル」が消えてるだと!?
なんだそれ嫌いだったものが消えるとか、それが人物名とかヤバヤバのヤバでしょ!?
嫌いなのも十分ヤバだけど、そこから年月をかけて消える!?!
というわけで軽率に書いた。細かいところは見てはいけない系です。

本当にあの……二人称がわからなくて、わりと気にしてしまうので気になって気になって
上げるか悩んでたけどお蔵入りしそうになったのですが
pixivに単語変換機能(夢小説とかで名前変えられるやつw)を使えばいいんだ!!!
ってなったので上げました。
今回は個人的に一番しっくり来る「おまえ」にしてあります。違う人は脳内変換してください。

ちなみに、GGST内で掛け合いのあるチップに対しては
通常は「君」、怒ると「貴様」を使うし
他の人の二人称では「貴方」も使っています。
過去作でのソルへの二人称は「貴様」であったと思いますが
まぁ「おまえ」っていうの、同等か少しお高く止まってる感じがして個人的に推し。

ST軸のテスタは幸せそうで何よりだし、なんかこうえっちなムードも書きたいんですが
ソルに公式でお相手ができた事によりどこまで書いて良いのか悩んでます。
(他ジャンルでも公式で結婚したりすると書きにくくなるやつあるある)
あと「嫌いなもの」からは消えたけど、マイナスイメージは払拭されてない?
どうなんだろ……仲良くして欲しい。

あとコレ書いてたら過去作テスタも書きたくなってしまったよね……。
時間? どこにあるんですかね?


なお、支部に載せてたオマケ話は小話の方に載せました。→こちら



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