登場人物:跡部 観月
CP傾向:跡部×観月
制作時期:2007年5月
跡部と観月の会話?
観月さんのどうでもいい不満と葛藤。
短いです。
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
「お前は、美人だな」
そう、目の前の男に告げられて、観月は一瞬固まるとすぐに間抜けな声を返した。
「はぁ? いきなり何いってるんですか」
馬鹿じゃないですか、と声の主を怪訝な顔で睨むと、そこにあるのは相変わらずの自信満々の表情だった。
「いきなりじゃねぇだろ? 前から言ってる」
確かに、頻繁に紡がれる言葉ではある。『美人』という形容詞が男性を褒めるものであるかは捉える者次第だろうが、観月にとっては褒め言葉であった。学院内でそう褒められれば礼を言うし、スカウターとしてもマネージャーとしてもこの容姿をそれなりに役立てている。まぁ、この容姿のおかげで逆に大損を見る事も稀にあるのだが、良いと判断されるほうに生まれて来たのだから、武器にしてもいいだろうと知性派である観月は思っていた。
だが、この男に言われるのだけは、何故か無性にムカツク……。
「その冗談も聞き飽きたと言ってるんです」
氷帝の王を名乗るこの男は、自分に対しても他人に対しても大変素直に物事を言う。それを人は自己中だとかわがままだとか、酷ければ横暴だとか言うのだろうが、気品と懐の深さ、あと意外に思われることもあるが情の深さで見事にカバーしているのがこの男――跡部景吾――のすごいところだ。
だから、これはあくまでも冗談でも揶揄でも世辞でもないことは理解できているのだが……それでも、どうしても気に入らなくてついつっかかってしまう。
自分でも汚い性格をしていると思うが、いくらそれなりに気を許した相手だとしても、簡単に素直になれないのが観月はじめだった。
「冗談で俺が言ってると思ってんのか?」
跡部は鼻で笑うと、観月を軽く引き寄せて、その顔に唇を寄せようと薄く目を閉じる。
「……!」
しかし、観月は直前でふいと顔を背けてキスを交わすと、無言で跡部の肩を押して軽く身を引いた。何気なく拒否しているが、観月の心臓は一瞬で跳ね上がり、強く脈を打っている。
顔よ、赤くなるな!
もう何回かキスくらいはしている……否、されているけれど。だからといってあんな綺麗な顔を、いきなり近づけられたらこっちだって驚くではないか。いつも不意打ちばかり食らって、顔を赤くしてはからかわれるのも面白くないし。
そう心で呟きながら、落ちつこうと気づかれない程度に深呼吸をする。しかし、その自問自答につっかかりを覚えて、観月は息をぴたりと止めた。
……え?綺麗な顔?
誰が?
って、跡部しかいない。
観月は確認するように、落としていた目線を跡部に戻すと、面白くなさそうにこちらを見てくる綺麗なアイスブルーの瞳とぶつかって、またドキリとした。
そうだ、この男だって『美人』と形容されてもおかしくない容姿なのだ。美人に美人と言われたところで、馬鹿にされている気がしてならないから嫌なのだ。
「あなたは……僕に『美人』って言われたとして、嬉しいですか?」
「嬉しくねぇな、俺様は『かっこいい』……だ」
当然だろ?というようにご満悦の表情を向ける跡部を、うすら寒い顔で見て観月は声に出して溜息をつく。
「聞いた僕が馬鹿でした」
自分だってできれば『かっこいい』方がいい。だから『美人』って呼ばれるのが、好きじゃないんだ。そう、納得して観月はスッキリ……せずに新たなジレンマを抱えた。
王様×女王様カプ、もといわがまま×わがままカプの跡部×観月です。
観月さんが美人さんかどうかも人それぞれの感性ですが、跡部は美形キャラだから
観月さんも美形キャラで間違いはないですよね?
観月さんは見下されるのとか嫌いなんですよ。
『美人』とか『綺麗』って単語は、人を褒める言葉(なはず)なので
本来観月さんは喜ぶんですが、対跡部だけは
自分が認めるくらい綺麗な相手なので、見下されてる気がして嫌だという……
そーゆー話でした。
観月さん、あくまでも対等に……!とか望みつつ跡部たまに翻弄されてるのがいいです。
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