登場人物:ジェイド、ディスト
CP傾向:ジェイディス
制作時期:2006年雨期
ジェイド×ディスト 「罪狩りたちの舞踏曲」の続編っぽい。
いつもよりちょっとEROくさいので駄目な方は注意してください。
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
「おや?」
あの人影は……。
死神はケテルブルクの夢を見るか? 夕刻にディストと壮絶な追走戦をしたジェイドは、あれから宿に戻りルーク達と夕食を供にした。 野宿と違い、食事当番が食事をつくることもなく、宿でゆったりとした食事時間を送り、
珍しく皆のんびりとした時を送っていた。
緩やかに時は流れ、次第に皆部屋へ戻ってゆく。 ジェイドもエンゲーブ産の白ワインを買って自室――別名男部屋――へ戻った。
順々に備え付けの風呂へ入り、各々が好きな時間を過ごしていた。 ジェイドもガイと何気無い話を交しながら、先程買い付けてきたワインをあけていた。
ルークが眠そうな目を擦りながら日記をつけはじめたころ――彼は日記をつけはじめると質
問が多い――ワインボトルが空になり、飲み足りなかったジェイドは食堂まで酒を買い足
しに行くことにして席を立つ。
背後で質問攻めにあっているガイが、助けてほしそうな視線を送ってくるが、さっくり無視して部屋をあとにした。
日中の暑さは嘘のように冷え込み、砂漠地帯特有の冷たい乾いた空気が、 酒でほどよく熱った体に気持良い。
女将に安くでウィスキーを購入したジェイドは、部屋に戻ろうと顔を上げて、いるはずがない顔を見た。 白銀の髪に細身の体を包む黒のスーツ。 夕方に会ったばかりの幼馴染みだ。
その姿は、すぐに部屋に消えてしまったが、おそらく間違いはない。
「女将さんすみません、記帳を確認させていただいてもいいですか?」
奥に引っ込む前の女将を捕まえてすかさず身元を明かし訳を話す。 職業スマイルを浮かべると、二つ返事であっさりと記帳を見せてくれた。 さっそく記帳を開いて名前を探す。今日最後の行に彼の名前はあった。
『サフィール・ネイス』
現在マルクト、キムラスカ両国で脱走犯として手配されている『ディスト』の名前でないのは賢いのだが、もうひとつ知恵も足りないらしい。 そんな彼はつい先程チェックインした様子だった。
「スペアの鍵はありますか? 事情によっては危険ですし、捕える必要もありますので……」
そう言葉を濁して言うと、女将は頼みます。 と、スペアキーを取り出してきた。
何故彼がこの時間にこのような場所にいるのか、まぁ、だいたい予想はつくのだが。 軍人たるもの憶測だけで脱獄者を見過ごすわけにも行かない。 女将に礼をいい、後は任せて下さいと言い残して、彼の部屋へと向かった。
案の定掛っていた鍵を開錠し、その部屋に歩み入れる。 そこに人影はなく、乱雑に荷物は投げ出されており、備え付けのシャワールームから水の流れる音が聴こえた。 どうやら当人は真っ先に身を清めに行ったようだった。
確にここは砂漠地帯に隣接した街であるから、昼間あれだけ動けば汗に砂埃に不快感が強く、真っ先にシャワーを使いたくなる理由も理解できる。
しかし、彼はこんなに大雑把な性格であっただろうか? 部屋を見渡して少し首を傾げる。 多くはないが手荷物は床に投げ出され、口の開いたままで中をかき乱したように雑貨が散らばっている。
彼の性格で言うと、急いでいる場合においても、身に付けていた衣服をたたんで、 綺麗に整えてから臨んでいたように記憶している。 ああ見えてなんとも潔癖なのだ。
それとも自分と離れている間に、変わったのだろうか? 昼間の彼は、敬語を使い、反抗的に振る舞う以外は記憶のままであったというのに?
とりあえず、シャワーくらいは待ってやろうと、これまた備え付けの椅子に腰かける。 静かにウィスキーの栓を開けて、その液体を喉に流し込んだ。
暫くすると、シャワールームのドアが開く音が聞こえ、曇り硝子の向こうでぱたぱたと着替える陰が見える。
「ふぅ……」
まもなくして、 自分が居るとは知らず、一息つけたとばかりにスッキリした溜め息をこぼして、彼は出てきた。
「どうもー」
「ッッ!?」
ウィスキーのボトルを片手に、嫌味満点の笑顔で声をかけると、彼が止まり、その顔が見
事に引き攣るのがわかる。
「……っっきやーーーーーーー!!!!!!」
一瞬、空気が止まり、二人の間に沈黙が流れる。 ようやく私が目の前に居ることを認識した彼は、とても不細工な黄色い悲鳴を上げると、 その腰帯で縛っていない羽織っただけのバスローブを前で逢わせて、再びドアの奥へ勢い よく引っ込んでいった。
その様子は、まるで覗きをされた女子学生のようだ。失敬な。 ドアは荒々しい音をたてて閉まると、中から混乱した悲鳴のような叫びがきこえる。 てんぱりすぎて、所々がよく聞こえないのだが……
「ひゃわァァッァ………なっなんで貴方がこんなところに!?!!??」
「いゃぁ、先程ここに来たのを見掛けましてね。こちらも見過ごす訳にもいきませんし?」
「出ていきなさい! 出ていけ!! 今すぐに~~~ッ!!!」
「見過ごせないと今いったと思いますけど?」
ゆっくりと席を立ち、彼が潜む扉へと向かう。 足音を立てず、気配を殺して気付かれずに近寄る事も可能だが、あえて彼を脅えさせる為に、しっかりと音をたてて、ゆっくり歩く。
「ななななら、貴方が帰るまでここに籠城してやりますからァ!!」
声を震わせながらも、頑に意地を張っているらしい。 実に言ってることとやっていることが合っていなくて鼻で笑ってしまった。
「バカいってないで出てきなさい。いきなり殴ったり魔法で吹き飛ばしたりはしませんから」
「よく平気でそーんな嘘つけますね! もうその手には乗ってあげませんからッ」
出てきたら問答無用で床に叩き付けてやろうと思案していたところだ。 最近は実に的確に嘘だと見抜くようになった、などと考えながらドアの前に立つ。 曇り硝子に、こちらに背を向けてもたれている銀の髪が透けて見えていた。
「仕方がありませんねー。こちらも何時までも待っている訳にもいきませんから」
ドアノブに手をかけて勢いよく捻り、その扉を強く蹴り押す。 あちら側も、後ろ手でドアノブが捻られないように守っていたのだろうが、帝国軍人とただの学者風情の握力など比べるまでもなく、容赦なく蹴り押されたドアは、彼ともども押し開かれた。
「はぶぁっ!!」
幸い扉は壊れなかったらしく、激しく何かが倒れる音とともに中に踏み込む。 彼……ディストは案の定、腰をさすりながら床に座り込んでいた。
「ぃやあ、何とも弱い籠城ですねぇ」
「ッ……ぁたたた……」
「素直に言うことを聞いておけばこんな事せずにすみましたのに」
「う、うるさいですよ! この乱暴者!!!」
「おやおや、今の貴方がそんなセリフ吐いて、無事でいられると思ってるんですか?」
勝ち誇った笑みを浮かべて、見下してやると、恨めしそうに睨み返して来る瞳とぶつかった。 そういう目が男の征服欲を掻き立てると知っているのだろうか、このバカは。
「思いませんよ。けど貴方に媚びるより痛い方がマシですから!」
どうやら逃げることは諦めたようで、己の腕で体を抱くようにして守り、顔を伏せると、 全く拭かれている様子の銀髪から雫がぽたぽたと溢れる。 よく見ると彼は、ずぶ濡れに近い状態だった。
「そうですか。しかし、凄い格好ですね」
帯の締められていない、前を腕で押さえただけのバスローブに、ずぶ濡れのままの髪。
「まさか私以外の人が部屋にいるなんて思ってませんでしたから」
「まぁ、それもそうですね」
まあ、確に一人で部屋を借りていたのだから、他に気を使う必要もないと思っていたのだろう。
しかし、昔の彼はそれでも何事もきっちりしておかないと気がすまない性格だったはずなのだが?
「とりあえず、立ちなさい」
少し気にかかるが、脱衣所で話すのもなんだと思い直し、あまり立ち上がる気がないでいる、座り込んだままのディストの腕を掴んで持ち上げる。軍人としてこういうケースはたまにあり、どの箇所をどれくらいの力をこめて引っ張れば 立ち上がれるか理解しているつもりでいた。
が、まさか、力をかけて前屈みになり、悲鳴を上げられるとは思ってはいなかった。
「ひぁっ………くゥ…ッ」
息を呑み、何かを堪えるようなうめき。 この反応は……怪我?
よく見ると、右手で左の脇腹を庇うようにうつむいている。 無言で目の前に屈むと、こちらの様子に気付いたのか、弾けるように彼が顔をあげた。
「ぁ、ジェイド…これは何でも……」
「馬鹿ですか貴方は、自分で指しながら何もないはずがないでしょうが。いいから見せなさい」
左手でこちらを退けようと抵抗されるが、軽くねじ伏せてその庇っている右手を掴む。 そのまま勢いよく、バスローブをはだけさせると、そこには血のにじんだ切り傷が一筋ついていた。
まだ、血が乾いていないのかじくじくと傷口は煌めいていて、バスローブの裏側には鮮血
が付着している。 命に関わるような酷いものではないが、治療を怠っていいものではない。
そうか、なるほど。 慌てて散らかしたままシャワーに駆け込んだのも、 帯を締めないまま出てこようとしたのも、傷口を洗い治療をするためだったのだ。
こんな馬鹿の体調を気にするのも面倒なのだが、このまま連れて行くわけにもいかない。 捕虜や犯罪人でも傷や病の治療をできる範囲内で行なわねばならない。 マルクトの法でもそう定められているのだから。
正直、面倒なのだが。このまま見ぬ振りもできず
「!?」
片手で肩を抱き寄せ、もう片方で両膝を抱え上げる。 あくまで傷口を考えての処置だが。いわゆる、姫抱きという格好だ。 いきなり体が宙に浮いた事に驚いたディストは、情けない悲鳴をあげて首に手を回してきた。
「ひぎゃあっ!! ちょ、ジェイド……自分で歩けますからっ! お、下ろしてくださ」
下ろせと言いながら、しっかり首に手を回しているクセに。 ただ単に、簡単に持ち上げられてしまったのが恥ずかしいらしく、弱々しく名前を呼ばれて思わず苦笑した。
一応気を使い、傷に響かぬようにベッドにゆっくりと横たえさせる。 すぐさま、身を起こそうとするのをすかさず制して肩を押さえ付けると、不満そうに眉間に皺を寄せるのが見える。
「ジェイド、これくらいの処置、自分でできます」
「いいから。……貴方に任せると、痛いのを恐れてまともな治療しなさそうですしね」
「ぐ……包帯巻いておけば何とでもなりますよ」
「んなわけありますか、消毒があるでしょう」
見事に一番染みる手順が抜かされていて、つい呆れてしまう。 この世界の住人は、あまり生傷というものに縁がない。 小さな傷は自然治癒に任せるが、ある程度のものは治療型グミを用いてある程度まで回復させたり、癒しの力を持つ者に見せたりするからだ。
「そういえば、あなたグミはどうしたのですか?」
真っ先にグミに頼りそうな男だと言うのに……。
「貴方がそれを言うんですか?……昼間、貴方なんかに会うから落としたんですよ!」
悔しげに顔をそらされて、彼はぽそりと呟く。
ああ、そういえば彼の購入した雑貨の中にグミがあったと思い返す。 それと同時に昼間何をしていたかも思い出して、ディストの胸元にある紅い痕を見、口許に笑みを浮かべた。
「そういえば、そうでしたね。ちゃんと預かってますよ。私の部屋に……ですが」
「む……か、返しなさいッ!」
「考えておきましょう」
貴方のせいですからね?などとぶつくさ言っている彼を横目に、ウィスキーを一口、口内に含むと、その血のにじんだ傷口に舌を這わせて酒を擦り付けた。
「全く、貴方なんかに会わなければホーリィボトルを落とす事もなくこんな傷を負うこと
もなかったんですよ? て、ジェイド何して……っっっ!!? いったぁーーー!!!!」
「………。」
もう少し雰囲気を読んで色っぽい声を出すとかできないんですかね?この男は。 頭で冷静な事を考えつつ、傷口を消毒するように舐め回すと、すかさず制止の声が上がり髪を軽くひっぱられた。
「ァ……いた。ゃめッ! ぃ、痛いって言ってるじゃないですかー!」
「うるさいですね、少し黙りなさい」
退けようと、髪をひっぱ肩を押す、その手首をひっ掴んでシーツに押し付ける。 そのまま体重を腕にかけ、空気を読まずに煩く動くその口に、自分の唇を重ねた。
「痛いものは痛いんで……んむッ!?」
驚きに目を見開き、思考停止しているようだが、勿論そんのもの待ってやらない。 すかさず舌をねじ込み、口内を蹂躙する。 きっと血と酒の濃い味が、私を酔わせたのだ。
鈍い頭で状況をやっと理解した彼は、何とか逃れようと後ろに引くが、そこはすでにシーツの上で、逃げることさえ叶わず、より深く舌を侵入させるだけに終わる。 逃げる舌を絡めとって、吸い上げて、甘噛みする。
「ん……ぅ……」
段々と、抵抗していた腕から力が抜けていくのがわかり、気を良くして口を解放してやる。
「っ、はぁ……」
苦しそうに空気をむさぼる彼の唇と、己の唇に銀の糸が引いて、きらりと光る。
「ぅう……ジェイ……まさ、か………」
やっと空気が読めたようで、頬をうっすらと染めながら、真っ直ぐこちらを見返してくる。 ああ、ついつい悪戯心がでてしまう。
「その、まさかですよ」
手負いの獲物と寝室で二人っきり。 この状況まできて、供え膳を食わぬはもったいないでしょう?
彼をより煽るように、己の唇をぺろりと一舐めすると、妖艶に微笑みかけてやった。
こんのチキンめがぁああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!! もっとEROいの期待してた方すみません、ごめんなさい。
どうでもいいですがタイトルと話の内容がさほどリンクしてな………… ごふん。
そういう細かい事は気にしないでおきます。
舞台はケセドニアのつもりなのに一言も出てこないし!
もうわけがわかりません(おまえが一番わからんわー!!)
これに続く裏な話を考えてたんですが、エロ難しくて放置プレイ中。
タイトルだけ決まってた……『笑み曲ぐ夢魔とある愛のうた』
みなさん脳内補完で【はい、お願いします。】
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