登場人物:ピオニー、ディスト
CP傾向:ピオディス
制作時期:2006年初夏
ED後捏造、恒例のマルクト研究員ディスト。
ギャグ風味のほのぼの(?)ピオディス。
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
カツカツカツカツ
ガチャ
「ジェイド、おかえりなさー…」
「よぉ、サフィール元気にしてっか~♪」
ここはおやつな時間のグランコクマの城、研究部部室。
今日も穏やかに時は流れ、マルクト帝国は平和そのものだった。
「て、なんだピオニーですか…」
様々な研究器具が立ち並ぶ中、優雅に椅子にすわり書類を両手に持ってこちらを見てくるのは、いわくつきのマルクト研究員、元六神将がひとり死神ディストだ。
「今日も、冷たいな。俺を『なんだ』扱いするのはこの国でもお前だけだろなぁ」
「はいはい、どうでもいいですからさっさと帰って下さいね」
いつもどおりのやりとりをして、ピオニーは嬉しそうに部屋に踏み入れる。
「ちょ、研究の邪魔だと何度言えば……」
「ん?いい匂いだな」
「……え?」
扉を閉めた途端、開け放たれた窓の風に乗って、ふわりと鼻孔をくすぐるのは、芳ばしいコーヒーの香りだ。
「コーヒーか、俺にも煎れてくれよ」
「はぁ? 皇帝様のお口に合うような良い豆はありませんよ」
彼、ディストは嫌そうに皮肉たっぷりに言い返すと、そばにあったビーカーを手に取り、その中にたまっているベージュ色の奇妙な液体を、その喉奥に流し込んだ。
「え?」
皇帝がそれを見て目を丸くする。
「なぁ、サフィ。それ、もしかして…」
「ん?……ああ、コーヒーですが何か?」
「ぃや、そっちじゃなくて………お、おまえ、ビーカーで飲んでるのか?」
「だから言ったじゃないですか、皇帝様に出すような上等な豆もカップもないと」
けろっとした顔で言われ、「そんなこと一言もいってない」とつっこむのも忘れて脱力してしまった。 が、そこでおとなしく引き下がるほど、この皇帝も神経は細くなかった。 理解したのなら帰りなさいとばかりに、もう一口ビーカーをあおるディストを見やり
「じゃ、サフィから貰うことにするか」
すかさず近寄って、その唇に同じものを重ねた。
「っ!?」
突然の行動に、多少驚きながらも、嫌そうに身をよじる彼を上手いこと封じ込めて、 その味を楽しむかのようにピオニーは角度をかえて、深く口付ける。 暫くなされるがままに受けていたディストだが、いつまでたっても離れるそぶりを見せない皇帝にとうとう煮えきらせて、脛を軽く蹴り上げた。
渋々といった感じで、キスから解放されると、酸素を取り戻すように息を吐き出す。
「はぁっ……。っていきなり何するんですか! こんの馬鹿皇帝ーッ!!」
手の甲で口許を押さえながら、既に涙目になっているディストなど怖くもなく。 ピオニーは蹴られた箇所をさすりながらげっそりした顔で素直に感想を述べた。
「あんまーー……なんだこりゃ」
「しっつれいな!! コーヒーですよ!!……クリームと砂糖はおやつ仕様ですけどね!」
「うぇ……入れすぎだろ。それはもはやコーヒーじゃない」
「だーー! 勝手に人から奪っておいてなんなんですか貴方は! そんなに気に入らないなら戻って女官に煎れてもらいなさい」
「えー」
「えー、じゃありません」
ディストは軽くあしらうと、今の事は忘れたかというように書類を整理しはじめる。 ピオニーは、それをつまらなさそうに見ていたが、彼の耳が赤く染まっているのに気付き、その口許を弛めて笑った。
「あー、でもやっぱりもう一口貰うことにする!」
「はあ!? そんなに飲みたいビーカーごとどうぞ」
「いやだーい、俺はサフィールの口移しがいいんだーい」
「あんなこと二度もしませんよ、バカ言ってないで戻りなさ……」
追い出そうと、振り返るとすぐ近くに皇帝の顔があって、蛇に睨まれた蛙のようにディストの動きが止まる。
そんな様子の蛙を見て、蛇はニィと笑うと、机の上のビーカーを手にとって、勢い良く一口、口に含み、 そして、そのまま覆いかぶさった。
口を伝って、甘い液体が二人の間を流れ、やがてこくり、と白い喉が動き、それを飲み干す。
しかし、それでも皇帝の合わさった唇は離れて行こうとはせず、甘く余韻の残る口内を楽しんでいるかのようだった。
「ふぁ、ちょっ……ん、まちっ」
押せ押せで屈んでくるピオニーに対し、ディストはとてもバランスが微妙で苦しいのだろう、 状況を打破しようと抵抗し、その手が宙を掻く。 そんなもの、体格的に勝っている皇帝には微々たるもので、全く気にせず追い込んで遊んでいたのだが。
「……ぅ…ッ! ピオ……ゃめ」
「少しは黙ってろよ」
だが、まぁ。 そのまま甘い時間は続くことなく……
カタン。
ガシャーン パリーン ドサ、
バサバサパリーンバサバサ
「ぇ?」
「あ。やっべ、今なんか割れたぞ」
「っあああぁあぁぁあぁぁあぁああぁぁぁぁぁああぁぁぁーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!!!」」
そこに散らばるのは、抵抗する彼の手に当たって落ちた試験管や実験器具。
連鎖で落ちた書物類に、しっかり付着した「おやつ仕様のコーヒー」に、何に使うのか解らない謎の液体その他諸々。
「なななな、なんてことを……ああ、もうこの下劣変態痴漢魔皇帝ィイイィイイ!!!!!!
どーーーしてくれるんですか、ジェイドが帰ってきたら怒られるじゃないですかぁ!!!」
「いやー、悪い。じゃぁ俺帰るわ」
「さ、最ッ低ーです! さっさと帰れそして二度と来るなバカーーー!!!!」
ひょいっとディストから離れると、先ほどより顔を真っ赤にして完全にプッツンしている彼の顔を見ないように皇帝は退散していった。
残されたのは、悲惨なことになってしまった部屋と、甘い甘いコーヒーの香り。 ディストは部屋を一望し、紅かった顔を、さぁっと白くさせると、力なく座り込んだ。
その夜、研究部室から青紫の雷がほとばしったのは言うまでもない。
ピオディスなギャグでした…。
ビーカーでお茶飲んだり、ラーメンつくったりは
研究員の日常だと信じてるんですけど、どうなんですか?w
拍手お礼にしよかなーとも思ったんですが、既においてあるのが
似た様なノリのPDだと思い出して(痛いな)
普通にあげていっかーと。
つかピオニーが最低になった、どうしよ……
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