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明日へ往く黄昏の恋人たち(跡部×観月)

登場人物:跡部 観月

CP傾向:跡部×観月

制作時期:2007年5月

跡部と観月がテニスしている話。
全国大会終了後、二人の関係と行く末……
もしかしたら微妙に続くかもしれない布石。

※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
 本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
 それでもいいよ!という方のみお読み下さい。










 夕暮れ時のテニスコートに、心地よいラリーの音が響く。長めに伸びた二つの影は、ボールを追いかけて無駄なく左右に動いていた。少し荒いだ息が、力を込めるたびに小さな声を発し、また次の行動へと移る。

「腕、落ちたんじゃねぇか?」

「はっ、そんな事あるわけないでしょうッ」

 薄い茶色の髪をした少年が、挑発するように強い打球を打ち込む。対する黒髪の少年は、その球を難なく、軽々とバックハンドで返すといつもの調子で不敵に笑った。


 観月と共に、放課後を利用して打つようになったのは、氷帝が全国で負けた次の週くらいからだったろうか。
 コンソレーションで惚れた時から、しつこいほど言い寄って、わずか一週間。時間的に言えば全国出場の前に渋る相手を口説き落とした。学校は違えど、好きな相手と共に更なる高みを目指す喜びを得たことは大きかった。
 しかし、間もなくして観月は引退宣言をしてしまったのだ。聞くところによると、マネージャーとしてテニスは続けていくが選手としてコートに立つことはもうないのだと言う。

「俺に負けたから辞めんのかよ」

 そう、嫌味と苛立ちを込めて聞いたら

「君に負けたから辞めるわけではありません」

 とさっぱり返された。
 深い理由はまた今度話しますと流されて、未だに理由は聞かされていない。ルドルフのメンバーにも探りを入れてみたが決定的な理由はわからなかったから、いつか話すまで待つしかないらしい。
 けれど、観月はこうやって放課後、テニスに誘えば付き合ってくれるし、今も後輩の為に様々なデータを集めたり、指導している。こうして観月と打ち合えるのはこの時間しかないのだと思うと妙に寂しくもあったが、それでもラケットを手に向かい合ってくれているのは素直に嬉しかった。

「跡部くん、右サイドががら空きですよ!」

 制服のネクタイを翻し、観月の研ぎ澄まされた一撃が宙を切る。

「フン、これは誘い込み戦法って奴だ」

「ッ!」

 ネット側へ出てきた観月を確認し、素早くショートクロスで返す。観月はその球を拾おうとすぐさま軸足を動かした。その判断は早い。恐らく不意を付かれていながらも、最低限の予測はしていたのだろう。このような咄嗟が判断が的確にできる観月は、やはり知性派というべきか。まだまだ自分には届かないが、かなりの実力者であることは確かなのに、テニスを辞めるなんて本当に勿体無いと思う。彼が望むなら、練習の場も活躍の場もいくらでも自分は与えてやれるのに
 確実に返して来る打球を、今度は打ち返しやすいように戻す。観月はどう思っているか知らないが、跡部は観月とのラリーを一回でも多く繋げていたかったのだ。一秒でも多くラケットを握っていて欲しかった。
 だが、そこはやはり抜け目のない観月である。攻撃の手を緩める事無く容赦なくスマッシュが打ち込まれる。あの細い体の何処からそんな力が出てくるのか、その打球は予想以上に重かった。咄嗟に打ち返した球は、高く上がる。
 ロブだ。高く上がったが、あの軌道ならばラインを超えることはないだろうと読んで

「飛べば取れるだろ? あーん?」

 テニスとはミスを誘う競技であるのに、ついラリーを楽しんでいた跡部は、そう口走る。いつかどこぞの生意気な一年が言っていた。曰く、テニスは背丈でするものじゃない……らしい。
 しかし、高く上がった打球は、後退し、尚且つジャンプした観月のスイートスポットには当たらず、ラケットの枠に軽くコツンと当たるとそのまま落ち、ついでに観月も着地のバランスを崩して尻餅をついてしまった。

「っつ~……」

 むすっと不貞腐れている観月に駆け寄って、手を差し出すとパシリと叩かれる。自分で起き上がれます、と息の上がった顔で睨まれた。

「6-2。……僕の負けですね」

「俺の勝ちだな」

「誰ですか? 『飛べば取れる』とか言った人」

「あ? 俺だな」

「目いっぱい飛んだのに届かなかったじゃないですか!」

「はぁ? そりゃぁ、お前がちっこいからだろ?」

「なっ!!!」

 ラケットを片付けながら、軽く言い合いする。
 付き合いだしてから、会えば小競り合い、これだけはやむことがない。時たま本気でムカつく時もあるが、跡部はこの時間が大好きだった。からかえば、素直に怒ったり、虚勢を張ったりする観月が本当に可愛いと思う。本人にそんな事を言えば、漏れなくグーで殴られるだろうが。

「あ、もしかしてちっこいからテニス辞めんのか?」

「バカなこと言わないでください、テニスは背丈でやるもんじゃないでしょう」

 どこかで聞いたセリフだが、彼もそう思っているらしい。

「はっ、どうだかな」

「君こそ、越前君に負けたからよく解ってるんじゃないですか? そこのとこ」

「うるせーよ」

 面白く無さそうに返す跡部を見て、観月がしてやったりという顔になる。

「まぁ。背丈なんか、すぐに君を追い越しますから」

 そう告げて、そのままとテニスバッグを肩に担ぐ。まだ片づけが終わらない跡部を待っているあたり、これでも二人の仲は進歩した方なのだ。

「いーや、お前はちっこいままで居ろ」

 ご無体な言葉に、入れ替わるように観月が怪訝な顔をする。

「は? 嫌です。……そもそも」

「なんで君にそんな事いわれなくちゃいけないんだ」というセリフを言う前に観月は硬直した。

 目の前に見えるのは間違いなく跡部の体で……。
 前髪を軽く除けている手は間違いなく跡部のもので……。
 額に当たるのは、間違いなく彼の唇で……。
 耳に響く音は、間違いなくキスをした時のもので……。

 あれ?

「ちっこいお前も、結構気に入ってるんだぜ?」

 そう耳元で囁かれた言葉に、怒りと羞恥の感情が入り混じって這い上がってくるのを感じる。気がついたら、テニスバッグを跡部にぶつけていたわけで。

「バッッッカじゃないですか! じょ、冗談もほどほどしてくださいよっ」

 観月は焦りの色が浮かぶ怒声を跡部に浴びせると、背を向けてスタスタとコートを出て行ってしまった。軽く片腕で防御していた跡部は、ふっと鼻で一つ笑うとすぐにその後を追いかける。
 とりあえず追いついてこう言おう。






「俺は本気だぜ? 本気でお前に惚れてんだ」








 きっと、彼は更に赤くなって怒るだろう。










あんまり恋人とかいう文字が合わないですよね、跡部×観月。
え?そう思いませんか?

そんなわけで始終喧嘩モードな言い争い跡観です。
なんかぐだぐだ書いてますが


観月さんが背丈足りなくてロブを打ち返せない

ってのがぶっちゃけ書きたかっただけです、スミマセン。
20.5の調べでいくと、観月さんは三年生の中で四番目に背が低いです。
観月は166cm、跡部様は175cmなので9cm差です萌え!!!
テニスは背丈でやるもんじゃないとはいいますが
背丈が足りなくてとれない打球があるのもまた確かだと思います。

てか、この作品だけで原作軸の時間を軽々と追い越してしまったショック……。

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