登場人物:ディスト、ピオニー、ジェイド
CP傾向:ジェイディスにピオニー横恋慕
制作時期:2006年春
ED後捏造話。D視点は独白。J視点は逆に会話ばっかり…
※ この作品は古い作品なため文章が稚拙です。
本来なら削除したいのですがマイナーなので残してあります。
それでもいいよ!という方のみお読み下さい。
楼閣の下に
「……ぎゃあぁああぁぁぁぁぁっっ!?」
それはあまりに突然で、脈絡なんぞ全く無く。 理解する前にディストは、一目散に部屋を飛び出していた。
不意打ちで、ジェイドにキスされた。
意味がわからない、感情がついていかない。
いつものように、研究の合間にたわいも無い口論をしていて、問い詰めるように顔を寄せたら、腕を捕まれて……。
あ!殴られる!と焦ったら近くに手でなく顔があって。
そのあと……
思い出すと、顔が赤くなって目尻が熱くなる。 わけの解らない感情に怖くなって全速力で自分の牢屋まで逃げた。
牢屋番の、今ではすっかり顔馴染みの兵士は、不思議な顔をしながらも何も言わずに通してくれた。 自分の牢屋の、他と比べて小奇麗な、簡素な寝台のシーツにしがみついて座り込む。
走ってきたため、息が整わず、ぐるぐると色んな言葉が出てきては消えていき、まともに思考すらできない自分に、更に焦りを感じた。
ジェイドの馬鹿!何故あのような事を?
自分がジェイドに見て欲しいと思っているのは確かだった。
友情ももう何もいらないから、全てを無くした自分をその近くに置いて欲しかった。 からかいでも、罵りでも何でもいいから、見て欲しかった。 そこに優しさや愛情なんてものがあるはずないと、解っていたからそんな事を考えた事すらなくて。
この知らない感情が怖くてたまらない。
キスというものを知らないわけではない、恋人同士や夫婦、親子の親愛行動、又は恋愛行動だと理解している。
しかし、言葉の意味を理解するのと、感情を理解するのでは大きく違うのだろう。 ジェイドの気持ちがわからない、私はそんな気持ち知らない…… 。
怖くてたまらない、私はどうすればいい?わからない。 大丈夫、ジェイドは私なんか好きにならない。 こんな小汚い、堕ちに堕ちた幼馴染なんてきっと好きにならない。
今回もまたからかっているだけに違いない。 そんな優しい行為、私は知らない。だから認めない。 あれは嘘、きっと冗談。
脈が治まり、心臓の音が聴こえなくなった牢屋は、いつものように冷たく静まり返っていた。
ジェイドのところへ帰ろう、帰ったら「ごめんなさい」と謝ろう。 きっといつものように、迎えてくれる。 あれは嫌味だったと蔑んでくれる。
戻ろうと決心したのに、心のどこかで怯えている自分を叱咤して、私は立ち上がった。
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