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キャンディ・ハピネス(シェゾ×レムレス)

登場人物:シェゾ レムレス

CP傾向:シェレム

備考:くっついた後。短文。





 小春日和の暖かい休日の午後。
特に何もすることがないシェゾ・ウィグイィは、先日やっと思いが通じたレムレスの元へ遊びに来ていた。
 遊びに……といっても、突然だったので、悲しいかな放置プレイを食らっている。しかし、来たときには既に、レムレスは例のエプロン姿だったから、やめろとも言えない。仕方がなく、ソファでうだうだしつつ、もう何度目になるのか分からない溜息をついた。
 意中の彼は、料理中。もっと詳しく言えば、配るお菓子の製作中だった。キッチンからは甘い香りが強烈に漂っていた。
 本当は「菓子作りなんかやめて、俺に構え」とか、言う気だったのだが、『俺』か『菓子』かどっちか選べと言ったら、間違いなく負けると察したシェゾは、大人しく居間で待っていることにしたのだった。

 しかし、面白くない。
 せっかく来てやったのに。
 後でおしおきしてやる!

 などと不遜な事を考えていたシェゾだが、巡り巡ってようやく正しい選択を見つけた。
すなわち

「手伝えば早く終わるよな?」

で、ある。今更だ。
 思い立ったが吉日。即行動だと勢い良く立ち上がった彼は、今度こそ迷うことなくキッチンへ足を向けた。
 こっそりと中を覗くと、甘い香りに包まれて、いつものエプロン姿のレムレスが背を向けて立っている。今はデコレーション中なのか、一心に何かを搾っていた。

「おい」

「あ、あれ? シェゾ。ごめんね構えなくて。ゆっくりしてていいよ。何ならお菓子とお茶でも出そうか?」

「いや、いい。それより手伝うことはないか? 暇だ」

「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、後はデコレーションしかなくって、すぐ終わるよ」

 むむう。
 本当にすぐ終わるのか、はたまた戦力外通知だったのかははかりかねたが、笑顔で返されてしまっては、引き下がる他ない。

「そうか……」

 だが、今更手をこまねいて帰る気にならなかったシェゾは、そっとレムレスに近づいた。背中から覗き込むと、キャンディーに可愛らしい絵柄が描いてある。ファンシーだな、とシェゾは心で突っ込む。
 生活力なら自分もあると思うが、こういう細かいところまで女子のように気を配ったりはしない。……こいつは女子じゃないが、お菓子への気の配りは……異常だ。
 そんな事を考えていたら、目の前の首筋から、キャンディーとは違う甘い香りが流れてきた。バニラのような、甘い香りだ。
 それに吸い寄せられるように、気がつけば首筋を舐めていた。

「ひゃぁっ!!!」

 流石に驚いたのか、肩が跳ねる。
 しまった、無意識に舐めてしまった。

「ダメだよ、シェゾ! くまさんの顔がいがんじゃったよ~」

「ふん……」

 怒られてしまったではないか。
 しょうがないので、次は離れてキッチンの上を見る。どれどれ、どんなキャンディを作ってるのか見てやるか。
 卓上のトレーに並べられたキャンディは、トレーごとに雰囲気が違うように見えた。一つのトレーには、リボン型やこいつの校章。全体的に可愛い。もう一つは星や月などの天体を模したキャンディのトレーだ。……何かもやっとしたものが、何処かで引っかかる。
 そのまま視線をずらして気がついた。本の形とペンの形。そしてプリンプの学校の校章。

あいつか……!!!

 その隣には、赤いぷよ帽子を被った少女用だとか、あの得体の知れない先生用だとか、アルル用だとか……確実にもらってくれる奴には専用なのか。
 俺は貰ったことすらないのに。
 いや別に欲しい訳じゃないが!子供じゃあるまいし!
だが、何となく腹がたったので、あの高慢ちきな眼鏡学生のキャンディを、一つ口に放り込んだ。ら、見つかった。

「あーー! シェゾ、つまみ食いはダメだよ!! それはクルークのキャンディなんだから」

「味は一緒だろ」

「違うよ~」

「ん……」

 そう言えば、スッキリしてきた。甘さの中にハーブが香る。心なしか落ち着く気がする。

「クルークのは、落ち着いて勉強できますようにって。たくさん想いを込めてあるハーブキャンディなんだよ。こっちのアコール先生のは目が冴えるほろにが珈琲キャンディ。アミティのは、元気が出ますようにって、フルーツキャンディだよ。フェーリは、優しい気持ちになれるミルクキャンディ。で、こっちが……」

「……」

 延々と続く解説を聞いているうちに、口の中の飴を噛み砕いてしまった。
 くっそー、別に悔しくなんかないぞ!!

「って、あれ? 参ったな、ご機嫌ななめ?」

 そ、と顔色を伺ったらしい、レムレスが困ったような笑みを向けていた。この男、お気楽そうに見えて、こういう所は敏いのだ。
 まるで自分が子供のわがままを言ってしまっているようで、急にバツが悪くなった俺は、思いっきり顔を背けてしまう。

「ふんっ! どうせ俺はお前の飴なんざ貰ったことはないさ!」

「あ。……ああ、ごめんね。忘れてたけど、君のは今日持って帰ってもらえたらって、冷蔵庫に冷やしてあるんだよ~」

「は?」

「待ってね。直ぐに出すから」

「それを早く言え!!」

 キャンディが嫌いな人間なのだと思われているのかと思った。そうでもないのか。
 いそいそと出されてきたトレイの上には、比較的シンプルな飴玉がいくつか乗っていた。レムレス曰く、好きなカタチがあれば工夫するらしいが、今回はわからなかったのであまり触っていないらしい。

「でも、ちゃんとキミ用に工夫してあるから。さぁ、ひとつ食べてみて」

 一口含むと、控えめなカフェオレ味だった。好きな味だ。しかしそれより何より……。

「これ……」

「ふふふ、そうだよ。僕の魔力入り。回復できるほどではないけれど、それで心が落ち着くならって。ね、どうかな? 美味しい?」

 これは黙って頷くほかない。一番好きな味。魔力の香り。不味いわけがない。ちょっと照れくさい。
 そんな表情を見て、レムレスはご満悦だ。

「こんな飴、他の奴には絶対渡すなよ」

「作るのに疲れるんだから、君にしかあげないよ」

 この味が知れたら大変だ。
 だから、この味は俺のものだ。絶対に他に渡すまいと心に誓った。







先に馴れ初めを書き上げるべきかと思いつつ、放置続行されそうだったので、こちらを先にあげてみました。
くっついた後の仲良しシェレム。まだちょっと距離があるといいな……。

だからどうした!って感じの話ですみません。
一体何を書き表したかったのか記憶にないでござる。

タイトルは『飴と幸せ』って感じでしょうか?
キラキラしい感じにしたくて、適当につけました。てへ。

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